プロローグ~その青年、攻略者につき~
懲りもぜずに新作を投稿しました。
こっちに関しては、読まれなくてもある程度は更新していく予定です。
ローファンタジーの現代ダンジョンものです。
後にダンジョン配信要素もありますが、今の時点ではないです。
【カテゴリー・廃ビル、ダンジョン名:北別府ビルの攻略を確認しました。 攻略者名:坂本 謙二】
「ふぅ、あとは市役所に構えるダンジョン対策庁の支部のカウンターに向かうだけだな」
廃ビルの屋上に佇む一人の男性。
彼の名は、坂本 謙二。
謙二は今、大型の剣を背に仕舞い、スマホで攻略されたという証明の送信を確認した所だ。
廃ビルに佇んでいた魔物は、すでにこの男によって倒されており、戦利品が転がっていた。
これも回収して、市役所に構えるダンジョン対策庁の支部に一部を買い取ってもらう予定だ。
「しかし、15年前……。 俺が4歳の時からだよな……。 日本に【ダンジョン】や【エネミー】が発生したのは」
戦利品を集めつつ、謙二は今の状況になったきっかけである15年前の事を思い出していた。
15年前。
事の始まりは、福井県の東尋坊という有名な場所で、空間の歪みが発生し、そこから化け物が発生した事件だった。
その化け物はすぐに福井県全域に侵食し、多くの住民を殺害したと言う。
警察も出動したが、化け物の強さに手も足も出ず、瞬く間に殺されたとも言われている。
それが引き金となり、日本各地にも空間の歪みが発生し、化け物が徘徊し始めた。
同時に複数の女神が現れ、日本人に化け物に対応できる能力を与えた事で、何とか対応できるようになった。
さらに、そこで女神からその歪みが発生した場所には【ダンジョン】として生まれ変わり、そこが化け物の住処となっている事も教えられたようだ。
その際に、当時の理解ある政治家は、何種類もいる化け物の事を【エネミー】と呼称するようになった。
女神の半分は神界から見守り、残りは日本に残って偽名を名乗って、サポートをする役回りを買って出た。
半分の女神が日本に残った理由は、お花畑頭の知事たちや政治家が存在しているためだ。
それらは、平和憲法を盾に『化け物でも武器を取るな』と騒いだり、『化け物とでも話し合え』とデモ行進をしたりしているからだ。
今の首相は、保守寄りの人間なので、彼らを無視して化け物対策に乗り出し、【ダンジョン対策庁】を新設した。
さらに、ダンジョン攻略者用の専門学校を設立して、戦力の強化を図った。
ダンジョンの発生原因は、公式に伝えられていないが、15年前までによく発生していた学校の生徒の多くが行方不明になった神隠し事件が引き金になっているのではと推測する者もいるらしい。
(複数の女神が出現した位だし、間違いじゃないのかもしれないが……)
謙二はそう思案しながら戦利品を集めていたが、それもようやく終えたようだ。
「さて、市役所に行ってからアパートに帰るか……」
そう独り言ちながら、謙二は廃ビルの屋上から下って行くのだった。
市役所に構える対策庁の支部で、戦利品を買い取ってもらってから、自分が住むアパートに戻るために。
これは、紡ぐ変わり果てた日本で、ダンジョン攻略を本業とする一人の男の物語である。
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