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 テストの説明をしてくれる、というミューアさんの言葉に、わたしは上にいる観衆の皆さんのことを一度頭から追い出した。そして、ミューアさんの声に耳を傾ける。


「今からテストを行わせていただきますが、レナ様にはあの檻から出てくる魔獣を倒していただきます」


 正面にある檻には魔法陣が組み込まれていて、右からD、C、B、Aと、それぞれのランクの魔獣がダンジョンから転移されてくるのだそうだ。


 ランクだけしかわからないので、何の魔獣が出てくるのかは全くわからないらしい。運も実力のうち、ということだろうか。


 今の時点では何もいないけれど、担当者ミューアさんが壁にはめられた魔石に魔力を流すことで、魔法陣が発動して魔獣が転移させられてくるらしい。


 Dランクの場合にはその魔獣の名前などを教えてもらえるらしいけれど、それ以降は自分の知識を頼りにして行動するしかないそうだ。


「倒し方には何か制限はあるんですか?」

「いいえ。魔法でも武器でも、倒し方は自由です。お好きな方法でどうぞ。……説明は以上ですが、何か質問はございますか?」

「ありません」

「分かりました。リーナ様とユリウス様、お二人は壁際までお下がりください。助太刀は禁止となります。……テストを開始します。レナ様、もしも倒せそうにないと感じた場合には、声をおかけください」

「はい」

「ではまず、Dランクの魔獣からいかせていただきますね」


 そう言ったミューアさんが魔石に触れる。その直後、檻の中に一体の魔獣が現れた。


「あれは……ギガロークですね。体が大きい分、動きが遅いので、討伐は簡単とされています。属性は土です」


 ミューアさんは、そこまで言うと、口を閉ざしてもう一つの魔石に触れた。その瞬間、檻が消え、ギガロークがこちらに向かって走ってきた。動きは遅いと言われたけれど、確かにゆっくりに感じる。


……このぐらいの速さだったら、防がれることはなさそうだね。風刃で大丈夫でしょ。


 ミューアさんは土属性と言っていたし、風刃であればよほど早い時点で反応されない限りは一撃で倒せるはずだ。ギガロークの今の行動速度であれば、十中八九反応はできないと思う。できたとしてももう遅いのではないだろうか。


 そう考えたわたしは、無詠唱で風刃ウィンドカッターを発動させる。予想通り、一発でギガロークは息絶えた。


「Dランク合格です。次はCランクですが、挑戦なさいますか?」


 ミューアさんからの問いかけに頷くわたし。今日はBランクでテストを終わらせる予定なので、スムーズに進めたい。


「分かりました。では、ただ今片付けを行います」


 ミューアさんはそう言うと、少し離れた場所にはめ込まれた魔石に触れた。数秒後、ギガロークが消える。


……おお。これも魔法陣なのかな?何の魔法なんだろう。


「Cランクです」


 転移されてきたCランクの魔獣は、少し大きいハムスターのような形をしていた。名前はモンテスト。見るのは初めてである。


 本からの知識によると、属性は風で、鋭い爪を持っているため、捕まるとその爪で引っ掻かれて体の皮膚をむしられるらしい。見た目を裏切る怖さである。


 けれど、要は捕まらなければ良いだけである。それならまだ簡単だ。


……魔法だけじゃなくて、剣も使ってみようかな?


 そんなことを考えていると、目の前の空気が揺れた。竜巻のような強い風が前方で発生したのだ。モンテストの攻撃だろう。


 わたしは念のため、自分を空気の箱で囲うと、相殺のためにモンテストが放ったのと同じ、風魔法をぶつけた。


 わたしが使ったのは、風の祝福(ウィンドエンブレイス)という魔法。やわらかいけれど強い風でものを包み込み、中のものの動きを封じ込める、という効果がある。モンテストの魔法は、これによって相殺されて消えた。


 わたしはそのままモンテストの方に近づいていく。そして、逃げられないように“箱”の中に閉じ込めた。


 わたしの接近を警戒している様子のモンテストだったけれど、何故か何も攻撃してこない。飛びかかってこないのは当たり前として、魔法も仕掛けてこないのだ。


 不思議に思いながらも、わたしは収納していた剣を取り出すと、モンテストの首元に向かってそれを振り下ろした。


「Cランク合格です。おめでとうございます。Bランクテストには挑戦なさいますか?」

「はい、お願いします」


 これで最後のテストだ。これまでの二回と同じようにして、ミューアさんが魔石に手をかざした。







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