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「賭けるか?俺は、失敗するに銀貨八枚」

「じゃあ俺は、大銀貨一枚」

「おお、結構やるねぇ」


……えぇ……。何か賭け(ギャンブル)始めたんだけど。まあ良いか。


 実害がある訳でもないので、わたしはそれを放置しておくことに決めた。


……でも、冒険者になれたかどうかなんて、テストを受けた人以外に分かるものなの?


「……俺は、なれるに銀貨四枚」

「え、お前マジか⁉」

「いいだろ。なんかあいつはテスト受かりそうな気がしたんだよ」


 わたしが不思議に思っている間にも、賭けは続いている。そんな彼等の様子を見て、リーナは眉間に皺を寄せていた。ユリウスも、浮かべた笑みが怖いものになっている。


「……レナ様、どうなさいますか?」

「黙らせた方がよろしいでしょうか?」


 わたしは「自分達だけでやるならお好きにどうぞ」という感覚で眺めていたけれど、リーナとユリウスはそんなこともなかったらしい。


 わたしは怒りのオーラを漂わせている二人を宥める。


……二人共、凄く静かに怒るからなぁ……。寒気が……。


「別に良いよ。わ……僕達に直接関わってこないのであれば、反応する必要はないと思う。アンディー達の時みたいに、またそれで余計な時間を取られるのも嫌だから」

「了解しました」

「レナ様がそうおっしゃるのであれば……」


 わたしの言葉に、ユリウスは大人しくリーナは渋々といいたげな様子で引き下がった。ユリウスはともかく、リーナはすぐにでも彼等に向かって刃物を投げかねない勢いだったのだ。「よろしいでしょうか」と確認の形を取ってはいたけれど、相当頭に来ていたらしい。


……なんだろう……リーナの沸点がよく分からない。


 そんなことを思いながらも、二人が納得してくれたことに安心していたわたし。けれど、今度は周りの人達がざわめいた。


……今度は何?


「アンディーって、トライアドのアンディーか⁉今、あいつ呼び捨てしたよな⁉」


 どうやら、わたしが口に出した「アンディー」という言葉に反応したらしい。面倒くさくなりそうな展開に、わたしは小さく溜め息を吐いた。


「そんなことして、あいつ大丈夫なのか?Bランクパーティに喧嘩売ってるようなもんだぞ⁉」


 どちらかといえば、最初に喧嘩を売られたのはわたし達の方なのだが。


「そういえば、三時間くらい前にトライアドがあいつらと勝負するって言ってたような……。負けた方は勝った方の言うことを聞く、だったか……?」

「何だって⁉」


 この中に、わたし達がギルドに来た時の騒動を見ていた人がいたようだ。


……それにしても、一気に騒がしくなったなぁ……。


 アンディー達は先程、「顔が売れている」と言っていたけれど、それは本当のことのようだ。少なくとも、今ギルドにいる人達の中では有名人なのだろう。


……アンディー達、今頃くしゃみしてるんじゃないかな?


 そこまで考えて面倒くさくなったわたしは、そこで周囲の声を拾うことを止めた。すると、しばらくしてから一人の女性がやってきて、わたし達に声をかけられた。


「ユリウス様方、大変おまたせいたしました」

「あ……ミューアさん」

「覚えていてくださり、ありがとうございます。冒険者登録テストの用意が終わりました。申請書はご記入になりましたか?」

「はい」


 わたしが申請書――先程書いた紙をそう呼ぶらしい――を渡すと、ミューアさんはそれを一瞥いちべつし、手に持っていたクリップボードらしきものに挟んだ。


「レナ様のテストは、ダンジョンではなく、ギルド内で行わせていただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか」

「大丈夫です」

「ありがとうございます。では、ご案内いたしますね」


 その言葉に、わたしは椅子から降りる。そして、ミューアさんの後ろをついていく。換金の時には二階に行ったけれど、今回は地下に降りるようだ。


 感覚的に二階分ほど階段を降りると、目の前には扉があった。


「こちらです」


 ミューアさんが鍵を開けると、そこは一面が白い壁で囲われた部屋だった。かなり広くて、横が縦よりもやや長い長方形のような形をしている。正面には、四つの大きな檻のようなものがあった。


 そこまで考えて、わたしはあることに気づいた。


……ああ、一階分のスペースをほぼ全部使ってるのか。それは広い訳だね。


 ふと上を見上げたわたしは、目を丸くした。


「……あの、ミューアさん」

「はい?」

「あの人達は……」


 天井があるはずの場所には、たくさんの人達がいたのだ。その中には先程受付で賭けをしてた男性達の顔もちらほらと見える。


 長方形の四辺にあたる部分に、バルコニーのようなものがついていて、そこから何人もの人が見を乗り出してこちらを見下ろしていた。大きく口を開けて何かを叫んでいるようだけれど、天井が高くて距離があるからか、よく聞こえない。


「あそこでは、テストの様子を観覧することができるようになっているのです。結界が張られているので、あちらからは何もできませんし、声もこちらには届きません。ご安心ください」

「そうなんですか……」


……何もされないなら、まあ良い、のかな?


「レナ様、これからテストについて詳しく説明させていただきたいのですが、よろしいでしょうか」

「はい、お願いします」






評価、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

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