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「登録証は身分証明にも使えますので、持ち歩いていると何かと便利です」
それからわたしは、二人に冒険者の仕組みについていろいろなことを教えてもらった。
一、冒険者は国に所属する。国内であればどの領地での活動も認められる。
二、冒険者はクエストを達成することで報酬を得ることができる。
三、クエスト以外で魔獣討伐などを置かなった場合、その結果得た素材等はその個人のものとなる。
四、クエスト以外で素材を換金する際には、ギルドと店のどちらを利用しても良い。
まず、一つ目について。
この国では、ほぼすべての人が戸籍を持っている。魔力の適性検査をする時に、その個人の魔力が登録されるのだ。魔力が全く同じ人というのは存在しないので、ある意味魔力は前世での指紋や虹彩と似たような意味を持つのかもしれない。
生まれた土地で検査をすることがほとんどのため、その人達は住んでいる領地に登録がされる。
ちなみに、検査は最低でも一回あたり銀貨一枚はする。だから、それすらも出せないという人達は、適性検査ができない。
話を戻そう。冒険者ギルドは国の管轄内なので、適性検査を行って領地が固定された後だったとしても、冒険者にさえなれば、自分が住む領地の外でも活動できるようになるのだそうだ。
他の領地に入るためには、領地と領地の境界にある門で手続きをしないといけない。昔の関所のようなものといえば分かりやすいだろうか。
冒険者は国内で起こった危険――魔獣が出現した、など――には、基本的には対応する義務があるらしい。そんな時に、その領地の民ではないからと手続きをしていては、迅速な対応ができなくなってしまう。
そのため、冒険者はその登録証を見せればすぐに領地に入ることが可能なのだそうだ。そして、平常時でも、ある程度の活動が許されているらしい。
……まあ、わたしみたいに魔法で離れたところでも簡単に移動できる人なら、その門もあんまり意味がないんだけどね。
そして、二つ目。冒険者になると、ギルドでクエストを受けることができるようになるという点について。
クエストとは、一般の人からの依頼だ。「素材を集めるために魔獣を狩ってほしい」、「旅の護衛をしてほしい」など、その内容は多岐に渡る。自分のランクに合わせて、受ける依頼を決めるそうだ。
報酬は、お金だったり素材の一部だったりするけれど、基本はお金で払われるのだそうだ。成功した時に払われるのがほとんどだけれど、稀に事前に契約金のようなお金をもらえることもあるらしい。
ギルドの方はというと、依頼主から仲介料をとることで、利益を得ているらしい。
……まあ確かに、お金が入ってこないとギルドも運営していけないよね。
一応言っておくと、クエストは常にある訳ではない。あったとしても、ランクの問題でできなかったり、もう既に他の人が受けてしまっていることもあるのだそうだ。そんな場合には、クエストではなく魔獣討伐などを行って良いのだという。
最後、三つ目。先程述べたダンジョン以外での活動についてだ。
クエスト以外で魔獣狩りを行い、換金が必要な場合に、以前わたし達が行ったようなお店――初めてダンジョンに来た時に、得た肉を売ったお店――かギルドのどちらを利用するかはその人の自由なのだそうだ。
ただし、ギルドを使う場合には、手数料が取られるのだそうだ。
……それなら、お店に行ったほうが良くない?
わたしはそう思ったのだけれど、人によってそれは変わるらしい。「何を目的にしているのかによって、どちらを選ぶかが変わるのです」とは、ユリウスの言葉だ。
どういうことかと不思議に思ったわたしだったけれど、その後の二人の説明でその疑問は霧散した。
お店よりもギルドを使った方が良い点は、主に二つある。
一つ目。ギルドに魔獣を持っていく際には、解体をしておく必要がないのだそうだ。
お店を使うのであれば、絶対に肉と皮、魔石を分けていかなければいけない。その手間が省けるのだ。個人的に欲しい部位がある場合は別だそうだけれど。
二つ目。ギルドを利用した場合、その魔獣によってランクの昇格が早まるらしい。
冒険者としての階級を上げたい人は、ひたすらクエストを受けるしかない。ギルドの人達にとっては、クエストでしかその人の活動が分からないからだ。
けれど、ギルドに自分が狩った魔獣を素材換金も兼ねて出せば、クエストの内容に加えてその人の実力が分かるようになる。ランクの高い魔獣をたくさん狩ってギルドに持っていって換金すれば、必然的にランクの昇格が近づくのだという。
「ランク上げを進めたい者にとっては、解体をせずにひたすら魔獣を狩る方が効率的なのでしょう。力技が得意で器用なことが苦手だという冒険者も少なくはありませんから」
「そうですね。ですが、セレスティーナ様のように、狩った魔獣を魔法で収納しておける者はほとんどいませんから、一度に狩ることができるのはせいぜい個人で三体といったところだとは思います」
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