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「まず、受付に新たに冒険者になりたいという旨を伝えます。担当者が来次第、ダンジョンでテストをしますします」

「……テスト?」

「場合によってはダンジョンではなく別の場所で行うこともあるそうですよ。ですが、私はダンジョンでした」

「別の場所……。ユリウスもダンジョンだったの?」

「そうですね」

「ということは、基本的にはダンジョンに行くと考えていても良いのかしら?」

「それについては私からは何とも……。申し訳ございません、お嬢様」


 リーナがそう言って頭を下げようとしたので、慌てて手を振る。


「あ、全然いいのよ。気にしないで。別にどこでやろうともテストを受けるのは変わらないみたいだし……」

「そうですか……」


 それから説明を再開してもらった。


 テストの内容は、魔獣の討伐、だそうだ。倒すことができた魔獣のランクによって、どの階級ランクから冒険者を始めるのかが決まるらしい。


 ちなみに、最低ランクであるDランクの魔獣すら倒せなかった場合、冒険者になることはできないらしい。ただ、それは“今回は”というだけだ。一生再挑戦ができない訳ではなく、またテストを受けることはできるらしい。


……まあ、多分その心配はしなくても大丈夫だよね。リーナとユリウスも大丈夫だって言ってくれたし。


「テストが行えるのは、最高でもAランクまでなのですが、お嬢様はそれよりも前の時点で棄権された方がよろしいかもしれません」


 Dランクを突破できるかを考えていたら、リーナがAランクのテストまでは受けない方が良いと言い出した。


 わたしは首を傾げる。


「……理由を教えてもらっても良いかしら?」

「はい。注目されてしまうからです。それに、お嬢様が冒険者になられたことが、旦那様に知られてしまう可能性もあります。お嬢様は、それは避けたいとお考えなのですよね?」

「ええ。でも、どうしてAランクのテストを受けるとそれがお父様に知られることになるの?それがよく分からないわ」


 首を傾げたままのわたしに、ユリウスが「それは私がご説明しましょう」と手を小さく挙げた。わたしはユリウスの方に顔を向ける。


「冒険者ギルドは、ほぼ全ての領地に存在しています。これはご存知でしょうか?」

「ええ、知っているわ。公爵領や侯爵領などの大きな領地にはいくつか存在するのよね?ギルドが複数あるのは伯爵以上階級をもつ貴族の領地、だったかしら?そう記憶しているのだけれど、合っている?」


 わたしが本から得た知識をまとめて簡潔に告げると、ユリウスが頷いた。


「その通りです、セレスティーナ様」


……良かった、合ってて。


 実は、冒険者になりたいと決めた時に、図書室で調べたのだ。冒険者ギルドというマイナーなことが詳しく載っているのかは分からなかったので少し不安だったけれど、辞典のようなものに載っていた。


……この世界の辞典ってすごく詳しいんだよね。公爵家のちゃんとしたものだからなのかな?


 詳しく書かれていたので、結構助かった。


「全てのギルドは、その国の管轄なのです。このギルドは、アリステアの管理するギルドとなります。そして、毎月、新しい冒険者は領主に名前と合格したランクが報告されるのです。その一覧に一定以上のランクの者がいた場合には、国王陛下への報告義務も発生するそうです」

「国王陛下というと、アルフォンス様のお父様、よね」

「そうですね」

「ええと、ということは……。もしも最初のテストの時点で高ランクになってしまったら、お父様にわたしだと知られる確率が上がる、ということ?」

「はい。私はAランクで冒険者になったのですが、領主様……旦那様にご挨拶をさせていただきました」

「私もユリウスと同じです」


 それは絶対にバレる。顔を合わせてあの(・・)お父様が気づかないはずがない。もしこの“レナ”の格好で会おうとすれば、マントは取らなければいけなくなると思うのだ。


……この身分社会でフードを外さなかったら無礼だって言われるだろうからね。


 領主、しかも現公爵に会うとなれば、きちんとした態度で接することが求められる。厄介だなとは思うけれど、それが身分というものなのだ。


……っていうか、フードを外す前にお父様なら声だけでわたしだって気づきそうだけどね。


 何があっても断固拒否である。お父様に知られたら冒険者など辞めさせられる気しかしない。


「分かったわ。テストはBランクくらいでやめておくことにするわね。ありがとう、二人共。凄く助かったわ。……それで、その後は?テストを終えたらどうするの?」

「その後は、ランクに合わせて登録証が発行されます」





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