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 リーナとユリウスはギルドの中に入ると、そのまま受付へと進んだ。わたしもそれに続く。


「こんにちは。冒険者ギルドへようこそ。本日はどのようなご入用ですか?」

「素材の換金をお願いします。量が多いので、別室を用意してもらえると助かります」

「素材の換金ですね。では、ただいま部屋のご用意をさせていただきますので、少々お待ち下さい。ギルド登録証をお持ちでしたら、そちらもお預かりいたします」


 リーナとユリウスの受付に座っていた女性との会話を、わたしはすぐそばで聞いていた。


……なんか二人共、なんかやけに慣れてない?っていうか登録証ってなんだろう。身分証みたいなものかな?


 ギルド登録証と言っていたし、ギルド会員の人は皆持っているものなのかもしれない。


「お預かりいたします」


 わたしの考えは当たっていたようだ。女性……受付嬢さんがカードのようなものを五人分受け取った。そう、五人分である。


……え?ジャン達はいいとして、なんでリーナとユリウスまで持ってるの?


 ジャン達三人はBランクのパーティだと本人が最初に言っていたので、彼等がギルド登録証を持っているのは全く不思議ではない。けれど、リーナとユリウスに関しては全く意味が分からない。


 驚いて固まっているわたしには気づかれずに、受付嬢さんが更なる爆弾を投下した。


「Bランクパーティトライアドのアンディー様、ジャン様、トーマス様、そしてAランク冒険者のリーナ様、ユリウス様ですね」


……ちょっと待って、Aランク⁉え?初めて知ったんだけど⁉


 驚愕しているわたしだけれど、表情の変化は目を見張るくらいで済ませられた。「セレスティーナ」として生活し始めてから、貴族として自分の表情をあまり出さないようにしていた成果だ。


 ちなみに、ジャン達は「そんなこと知らないぞ⁉」とでもいいたげな顔でリーナとユリウスを見ていた。Aランクではあっても二人はあまり知名度は高くないのだろうか。


 受付嬢さんは五人分の名前を紙に書き写すと、登録証を五人に返した。


「こちら、登録証をお返しします。ありがとうございました。……そちらのお子様はお付き添いでよろしいでしょうか?ギルド登録はなさっていませんよね?」


 受付嬢さんがわたしの方を向いて怪訝そうな表情を浮かべた。どうすればよいのか分からないわたしはリーナとユリウスを見上げた。


「……はい、そうです」

「かしこまりました。では、準備が整い次第、再度お声がけいたしますので、そちらの席で座ってお待ち下さい」


 わたし達は受付嬢さんの言葉に従って受付から離れる。そして、空いている席を探した。


 この場には、一人席、二人席用のテーブルの他にも何人かが一緒に座れる丸テーブルもある。だから、わたし達六人でも余裕で一つのテーブルで収まるだろう。


 今の時間帯は少し混んでいたようであまり空席はなかったけれど、幸いちょうど一つだけテーブルが空いていた。七つ椅子があるので、本来は七人向けなのだろう。


……まあ、他に七人グループの人もいないし、わたし達だって六人だから、使う分には問題ないでしょ。


 そう判断したわたしは空いている席に座った。それから他の五人もそれぞれ着席し、トーマス、アンディー、ジャン、ユリウス、わたし、リーナ、空席の順番で席についた。


 皆が座ったことを確認し、わたしはリーナとユリウスの方を向いた。


「二人って、冒険者だったんだね。全然知らなかった」

「そいつの言う通りだ。……俺達もBランク冒険者としてそれより上のランクの冒険者達と話したこともあるが、リーナとユリウスなんて名前、全く聞かなかったぞ?」

「あんた達がAランクなら、Bランクの俺達なんてもとから勝てるわけねえじゃねえか……」

「最初から教えといてくれよ。やべぇ奴等に喧嘩売っちまった……」


 訝しげにわたしの言葉に追随して発言するアンディーと、テーブルに両肘をついて頭を抱えるトーマスとジャンの差が分かりやすい。


「……そうですね、確かに私達は冒険者として登録はしています。ですが、今の職に就いてからは滅多に冒険者としての活動はしていなかったので、まあ知られていなくても無理はないでしょう」

「私とユリウスが今の職に就いたのは五年前ですから、それより後に冒険者になったのでしたら知らないでしょうね」


 わたしとアンディーの言葉に答えてくれたリーナとユリウスだったけれど、言い終えたリーナがアンディーを睨んだ。


「……そしてお前、レナ様のことをそいつなどと呼ぶのは辞めなさい。レナ様はお優しいから普通に接してくださっていますが、レナ様を侮辱したことを忘れたとは言わせないませんよ?」

「リーナの言う通りです。レナ様に失礼ですよ」


 リーナとユリウスがわたしへのアンディー達の態度を指摘した。そこを二人が気にするとは思わなかったので、びっくりだ。


「って言われてもよ……俺等はお前等の名前を知らないんだが」

「お前以外に何と呼べと?」


……ああ、確かに自己紹介とかしてなかったね。わたしが三人全員分の名前を知ったのも今さっきだし。


 初対面での彼等の第一印象は最悪だったし、リーナとユリウスを馬鹿にされて怒っていたから、名前を知ろうとも教えようとも思わなかったのだ。


 ついでに言うと、わたしが今彼等に普通に接しているのは彼等の態度が普通になったからだ。一回ダンジョンで謝られて反省の気持ちが感じられるようになったから少し態度を怒りを緩めたというのも理由の一つだ。


 それはともかく、お互いに名前を知らないのは不便なので、今の間に軽く自己紹介をしておくべきではないだろうか。


 わたしはそれを提案しようと口を開いた。



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