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「じゃあ、俺達はこれで。いろいろありがとうな!」
「何か困ったことがあったらいつでも言ってくれよ!俺等にできることならなんでもするから!」
「……さようなら。気をつけてくださいね〜」
ヴォルーゾンの素材を分け、男の人達は去っていった。その様子を見送ったわたしは後ろに振り返る。
「……では、僕達はギルドの方に戻りましょうか。これらの換金もしなければいけませんし、そうしないと勝負がつきませんから」
わたしの言葉に、この場に残っていた三人組――ジャン達――が下を向いた。そこには、わたしがもらうことになるヴォルーゾンの素材があった。
ジャン達や先程の皆さん達と分けても、あれだけ巨大だったヴォルーゾンの素材はたくさん余っていた。
……皆さんに渡したのは皮だけだからね。魔石もお肉も残ってるんだもん。そりゃ多くもなるよ。
「いや、でもこれは確実に俺達の負けで決まりじゃねえか……?」
「俺達だってヴォルーゾンに見つかってからはろくに魔獣を狩ることもできてなかったからな。これだけでももうすでにお前等は勝ってると思うぞ……?」
「そうですか?」
「ああ。それに、お前等は俺達を助ける前にも動いてたんだろ?どう考えてももう俺等には勝ち目はねえよ……」
よく考えていなかったけれど、確かにそうかもしれない。
……この人達もヴォルーゾンに遭遇する前までは魔獣を狩ってたんだと思ってたけど、そうじゃないのかも?
「それでも、どちらにせよギルドには戻らなければいけませんよね?ずっとここにいる訳にもいきませんし……」
「……そうだな。じゃあお前等、行くか」
「ですが、その前に。目を瞑って息を止めてくれますか?僕が良いと言うまでです」
「は?」
「良いですか?」
面食らっている彼等に向かって確認をすると、三人は慌てたように目を瞑った。そんな彼等に洗浄魔法をかけ、「もう良いですよ」と伝える。
「おい、一体何を……って」
訝しげにしていた彼等は、自分の身体を見て驚いたように息を呑んだ。
「綺麗に、してくれたのか?」
「はい。その格好のままギルドに行くのも良くないですし、汚れを落とさないと衛生的にも良くないでしょう?」
「は、はあ……。まあ、ありがとう」
何故か納得していないような雰囲気を醸し出しながらも、お礼を言う彼等。
「……じゃあ、行きましょうか」
ギルドへの戻り方は、ここ――ダンジョン――に来た時と同じで、今わたし達がいる場所と、ギルド付近の人数が少ない二箇所の空間を繋げるだけだ。
わたし達が移動する様子を他の人達に見られなさそうな場所を探す方法は簡単だ。旧孤児院長のアンザについていってヴァンスター商会の部屋を覗いた時に使った魔法をここでも使うだけだ。
普段から上空を見て歩いている人はいないだろうし、もしいても水で空気の穴をぼやかしているから、見つかりはしない。
ついでに、多分ジャン達にはわたしが何をしているのかは、わたしの近くまで来て一緒に穴を覗き込まないと分からないと思う。彼等がわたしの魔法について理解する必要もないし、それで良い。
怪訝そうにわたしを見ているジャン達の視線をスルーし、わたしは人一人が余裕を持って通れる大きさの門を空気中に開ける。そして、そのままそれをくぐり抜け、リーナとユリウス、そしてジャン達が来るのを待った。
……この魔法、分かりやすくするために何かそれらしい名前を付けたほうがいいかな?
待っている間、そんなことを考える。
わたしが今使っている魔法は、魔法の本などには基本的には載っていない。わたしが空間魔法をアレンジして日常生活で更に便利に使えるようにしたものだからだ。
もしわたしと同じ考えをしている人がいた場合は、どこかの本に載っているかもしれないが、我が家――ウェルストン公爵家――の図書室で今までに読んだ本の中には似たものは載っていなかった。
今の時点で全部の本を読んだ訳ではないけれど、五分の三くらいの量はすでに読み終わっている。魔法の本に関しては、大半は読んでいる。それなのに見つからないということは、恐らくもう見つからないのではないだろうか。
そして、一番最初にこの魔法を見せた時のリーナとユリウスの反応を見ても、あまり知名度の高い魔法だとは思えない。
それなら、わたしが仮の名前を考えても良いのではないだろうか。
……別に広める訳でもないしね。わたしがやりやすいようにするためっていう理由しかないんだから。
もしかしたら誰かに説明する時が来るかもしれないけれど、その時に名前がないとやりにくい。そんな単純な理由だ。
そうと決めれば早速名前を考えたいけれど、今はそこまで時間がない。という訳で、それを考えるのは屋敷に帰ってからだ。多分、寝る前になると思う。
……自分の部屋でだったら紙に書いて保存しておけるしね。この際、自分でアレンジした魔法は全部名前と仕組みを書いちゃおうかな?
魔法の名前に関してはそれで良いだろう。とりあえず、今はギルドに移動する時間だ。
わたしはずっと出していた門を消すと、目の前にいたリーナとユリウスについて歩き出した。
しばらく投稿ストップしてしまい、すみませんでした……!
明日からはできるだけ投稿できるよう、頑張ります。




