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お風呂に入り終わり、今わたしはリーナさんによる香油を使ったマッサージを受けている。
マッサージなんてものをしてもらうのはこれが初めてで、最初は緊張していたけれど、慣れると気持ちよくて眠くなってきた。
マッサージが終わると、あらかじめ用意されていたドレスに着替えた。
プリンセスラインの水色をしたドレスだ。丈はだいたい踝あたりまで。ドレスを着たのは初めてでもちろん着方は分からないため、リーナさんにお任せした。
プリンセスラインのドレスというと、コルセットを使うというイメージがあったのだが、セレスティーナが子供だからかそんなことはなく、普通に着るだけだった。つまり、次からはわたし一人でも着ることができると思う。多分。
靴は、ドレスと同じ色のおよそ二㎝のヒールがついたものを履いている。四歳の子供なのにヒールを履くの⁈と思ったけれど、そういうものなのだと割り切ることにした。
リーナさんに髪を結ってもらい、用意は完了した。
リーナさんに連れられて左隣の部屋へ移動する。そこは、衣裳部屋だった。ドレスが何着もかけられている。まるでお店のようだ。
その部屋には全身鏡があり、リーナさんはわたしにそれで自分の姿を確認させるために移動したらしい。
わたしは鏡の前に立った。鏡にセレスティーナの姿が映る。
セレスティーナは緩くウェーブがかかった金髪に、濃い紫色の瞳を持った、超絶美少女だった。目は大きく、肌はとても白い。日本はもちろん、海外の女優さんやモデルさんも真っ青になるほどの美少女だった。
あくまで日本や海外でも目線で考えただけでなので、この世界でどう評価されるのかはわたしには分からない。
でも、この世界の人達は顔が整っている人が多いような気がする。何故なら、リーナさんもお父様も顔面偏差値は高かったからである。そう考えると、セレスティーナのこの顔も、この世界では普通なのかもしれない。
支度が終わったわたしとリーナさんは、寝室へと戻った。
「お嬢様、なにか食べるものをお持ちいたしましょうか?」
そう言われて初めて、自分が空腹であることに気づいた。でも、この後に兄の部屋に行くという予定があるので、なにかを食べている時間なんてあるのだろうか。
「時間は大丈夫なんですか?」
「ええ。旦那様が急がなくてよいとおっしゃってくださったので、一時間以内で用意を終わらせるとしても、まだ30分以上余裕があります」
確かに、お風呂にはそこまで時間がかからなかったので、お父様と別れてからまだ三十分も経っていない。ということは、食事をする余裕もあるのかもしれない。
「ではお願いしてもいいですか?」
「もちろんです。少々お待ちくださいませ」
そう言って、リーナさんは部屋を出て行った。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。