67
前回の66は保存忘れで短くなってしまいました……!すみません!
「……言いたいことはそれだけですか?」
「ああ?」
「てめえ、何を言って……」
「貴方達が僕達に言いたいことはそれだけか、って聞いているんです。他に言うことがないのであれば、いい加減どけてくれませんか?」
「……っ、お前、俺達にそんな態度を取って良いと思ってんのか?!」
「そうだ、俺達はBランクのパーティだぞ?!」
Bランクといえば、Sランク、Aランクに続く上から三番目の階級だ。
……そのはずなんだけど……。どうしても、この人達がそんなに強いとは思えないんだよね。「Bランクのパーティだぞ」って、だから何?って聞きたくなるよね。
「だから何なんですか?Bランクだろうが何だろうが、こうやって人の邪魔をしている時点で、冒険者以前に人としてどうなのかと思うんですが」
思ったことをそのまま言ったわたしの口調が荒いのは、この人達のせいで苛立っているからだ。
リーナのことを美女さんだと言っていることに関しては否定などあるはずもない。けれど、ユリウスのことを「ほっそい兄ちゃん」と言ったことについては不満しかないのだ。それは別に彼が痩せていないということではなくて、その言葉が嘲りの意味をふくんでいることを分かっているからだ。それぐらいは流石に分かる。
つまり、この目の前の男性達はユリウスのことをからかう意思を持ってそう言ったということ。わたしがそれを知った時点で、わたしのこの人達への印象は最悪だ。
……まあ、わたし達がここに入ってきた瞬間に絡みに来たし、そんな人達に対して好印象を持つ方が難しいとも思うけど。
まあ、彼等に対する態度が悪いのにはそんな理由がある訳だが、わたしの言葉は当然のことながらこの人達にとって癪に触るものだったらしい。分かりやすく気色ばんでいる。
「てめえ、いっぺん痛い目見ねえと分からないみたいだな?!」
「後で泣いても許さねえぞ?」
「お前だけじゃねえ、そっちの兄ちゃんもだ!その余裕ぶった顔、涙で歪ませてやる」
ユリウスが余裕ぶった顔をしていると言うが、この人達はユリウスだけでなく、リーナからも殺気が発せられていることに気付いていないのだろうか。
……結構殺気立ってるんだけど、それに気付けないて冒険者としては致命的じゃない?
「後ろの姉ちゃんは俺の女にしてやるよ。可愛がってやるぞ?」
「ちょ、おい、リーダーずるいぞ」
「ははっ、早いもん勝――」
そう言って下卑た笑みを浮かべていた彼等の上に、大きな水の塊が現れる。そしてそれは落下し、わたしの目の前の三人をずぶ濡れにした。言わずもがな、わたしの魔法である。
「うわっ、何だ?!」
「冷ってえ!」
「何なんだ?!」
何が起きたのか分かっていなさそうな彼等。髪や服から水滴が零れ落ちて既に水溜まりが出来た床を更に濡らしていく。
ちなみに、水を落とす瞬間のみ三人の周囲に空気で作った壁のようなものを張っておいたので、落ちた水によって濡れていた範囲はそこまで広くは無かった。もともと、ただ単に彼等の不快な言葉を止めさせたかっただけなので、他のところをびしょびしょにするつもりはなかったのだ。
わたしは無言で彼等に洗浄魔法をかける。いつまでもこのままにしておくと、ギルドの職員さんに迷惑をかけてしまいそうだったからだ。乾かすだけであればとりあえず熱風を浴びせておくだけでも良かったのだが、その場合、彼等の後ろにいる人達にまでその風が届いてしまう。そうすると、上着や紙などが飛んでいってしまう恐れがある。だからわたしは洗浄魔法を使ったのだ。彼等の身体や服が洗浄魔法で綺麗になっているのは意図してやったことではない。断じて違う。
未だに状況が理解できていないのか、彼等は呆然としている。今の内に、わたしはそのすぐ横を通り過ぎようとした。この場を離れようと考えたのだ。
「……おい、待て!」
ところが、そう簡単には逃がしてくれないようだ。リーダー格の男性に手首を掴まれてしまった。
「……放していただけませんか?」
相手は成人男性なので、力が強い。そのせいで、わたしの腕力では振り払うこともできず、鈍い痛みを感じる。それでも、それを顔に出すことはせずに自分の腕を掴んでいる男性を見る。
「はっ、放す訳あるか。ほっせえ腕しやがって」
「……っ」
そう言いながら、彼は力を強めた。感じていた痛みが更に強くなる。我慢できないほどではなかったけれど、絶対に跡は残りそうだ。締め上げられる腕からの痛みにわたしは少しだけ顔を歪めた。
……どうやったら放してくれるんだろう。最終手段はこの人達を空間魔法でどこかに飛ばすことだけど、それをしたらまたいつか会った時に絶対絡まれそうなんだよね。ユリウス達のことを馬鹿にしたことは許してないし、変に恨まれるのも嫌なんだよなあ。
そんなことを考えていたわたしには、わたしが表情を変えた瞬間のリーナの表情を見ていなかった。
「……?!」
突然、わたしの手首を掴んでいる、男性の右腕が蹴り上げられた。その衝撃でわたしの腕は解放される。
勢いよく腕を蹴られた男性はというと、痛みに呻いていた。また蹴られることがないようになのか、少し離れたところにいる。
「っ、いってえな!」
「黙れ、下衆が。これ以上、この御方に触れることは許さない」
わたしは顔を上げてリーナを見る。いつもと全く雰囲気が違う彼女に驚いたのだ。普段のリーナは基本的に落ち着いていて、あまり表情を変えることがない。わたしの魔法を見てユリウスと一緒に驚いていた時でさえも、あからさまにではなく少し目を見開くくらいの変化だった。もしかしたらそれは、それほど驚いていた訳ではなかっただけ、ということもあるかもしれないけれど。
それに比べて、今の彼女は目を細めてわたしの手首を掴んでいた男性を睨んでいた。けれど、その顔からはリーナの気持ちが何も読み取れなかった。それでも、一瞬で怒っていると言うことが分かる。彼女が涼しげで整った顔立ちをしているからこそ、何の感情も読み取れない無表情というのは結構怖かった。
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