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 しばらくすると、わたしのところにも魔石を持った人達が来るようになった。わたしはその魔石を見て名前と共に紙に書いていく。この孤児院にいる孤児の皆の名前は大体覚えていたので、一人にかける時間は比較的短くて済んだ。


 ちなみに、わたしが魔石を自分で持っておくか聞いた時に、大半は自分で保管すると言ったのだが、マリアやハリー、アリスなどの以前まで地下室で暮らしていた面々はわたしに預けることを選んだ。それも、ネラ達のような理由で。


 これには普通に驚いた。けれど、預かるからにはきちんと責任を持たなければいけない。失くすことが絶対にないように、先程ネラ達からもらった魔石を入れた場所に、同じようにしまった。


 それぞれの属性は覚えたし、たとえ忘れてしまったとしても、記録はしているのでどれが誰の魔石なのかを忘れることはない。


……結構たくさん「収納場所」を増やしてるなあ。今の時点で五つだよね。まあ、特に魔力面でもそんなに問題はないから良いんだけど。


「セレナ、できたよ。……一色にしかなんなかったけど」

「大丈夫よ。一色でも全く問題はないわ」


 最後にわたしのところにやってきたのは、カイだった。


「一色にしか染まらなかった」と不安そうにしているカイにそう返す。


 彼等は孤児で平民で、貴族ではない。だから属性が一つしかないのは当たり前だなんて言うつもりはない。別にわたしは属性の数なんて言い方は良くないかもしれないけれどどうでも良いし、その量で人を判断したりもしない。そういう価値観の人も、いるにはいるのだろうけれど。


 むしろ、何人か属性が二つ以上あった人がいたことには、とても凄いことだと思っている。ネラやミラだけでなく、他にもいくつかの属性を持っている人はいた。それには驚いた。


「……カイ、魔石を見せてもらっても良いかしら?」

「うん。はい」

「ありがとう……って、ひかり、ぞく、せい?」


 わたしの手元にある魔石は、金色に輝いていた。光属性の魔力の色は金色だ。間違えようがない。つまり、この魔石を染めたカイが光属性に適性があるということ。


 わたしは昨日の夜に魔力を特に使っていなくても持っているだけであれば制御できるくらいまでには練習したのでこの金色がわたしの魔力も入っているということは有り得ないのだ。まず、もしそうだったのだとしたら魔石の状態は少しとはいえ変わるはずだから、カイが何か反応するはず。それをしていないところからも、カイの魔力が光属性であることは間違いないだろう。


……いやいや、一色にしか染まらなかったって言ってたけど、その一色が光魔法なんだから、その時点でもう凄いことなんだけど。カイは知らなかったんだろうから何も言えないけど。


 光魔法は闇魔法と並んで貴重な属性だ。この二つの属性を持つ人は、滅多に現れない。怪我を直したり、人の病気を治したり、そういった人を直接救うことのできる属性は本当に珍しいのだ。


 ちなみに、光属性を持つ女性は「聖女」候補とされる。光属性を持つ人が女性しかいない訳ではなく、きちんと男性もいるけれど、女性の場合だけは更に優遇されるのだ。この国を作った初代王と共に行動し、国のために力を尽くした女性が光属性を持っていたからだと言われているけれど、本当のところは分からない。


 とにかく、今分かったカイの光属性というのはとにかく重要で、このことを公にした場合、恐らく誰からも必要とされることになるだろう。


 本人が良いならばそれでも良いのだけれど、カイがどう思うのかが分からない。ので、本人に尋ねてみることにした。


「……ねえ、カイ」

「何?セレナ」

「……あのね、カイの属性は、光属性って言って、凄く、珍しい属性なの。悪い属性、とか、そういう訳ではないのだけれど……」


 言葉を濁してしまうわたしを、カイは魔石と同じ、金色の目でずっと見ていてくれる。彼ならきちんと聞いてくれる、と安心したわたしは一気にすべてを打ち明けてしまうことにした。


「光属性は、使う人の技術によっては人の怪我を治したりすることができる、とても凄い属性なの。……でも、使える人が少ないから、光属性を持つ人はとっても大切に扱われる。カイはどうしたい?カイが光魔法を使えることを、世の中の人に知らせれば、多分、孤児院から出ていくことになると思う。貴族の養子とかになるんじゃないかとは思うけれど……。カイは、どうしたい?」

「ここから出ていかなきゃいけなくなるってこと?皆は会えなくなるの?」

「……カイが望めば貴族のところに引き取られる、ということはなくなるかもしれないけれど……無理でしょうね。それほどに光属性というのは皆から望まれるものだから。人によっては、定期的に外出する許可もいただけるかもしれないけれど、はっきりとは言えないわ」


 わたしの答えに、カイは少しの間何かを考えるようにうつむいていた。わたしは彼の中で答えが出るまで静かに待つ。


「……セレナ、俺は皆と会えなくなるくらいならこのまま孤児院にいたい。貴族になれるとしても、それは嫌だ」

「……そう。カイが自分で考えてそう決められたなら、わたしは何も言わないわ。それなら、わたしはカイの属性のことは誰にも言わないでおくわね」

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