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いよいよ孤児院の皆の適性検査です……!
「こんにちは~!」
「セレナ様。こんにちは」
「セレナ、おはよう」
現在、わたし、ユリウス、リーナは孤児院に来ていた。残っていた魔石はきちんと全て持ってきている。
そして、今わたしの左右には相変わらずネラ達がくっついている。若干動きにくくはあるけれど、可愛いから特に問題はない。
……なんかわたし変態っぽくない?でも、本当に皆可愛いんだもん。もう少し経ったら絶対に美人さんになるんだろうな。羨ましい。
「今日は、皆の適正のある魔法の属性を調べます」
マーサに皆を集めてもらい、わたしは彼等の前でそう言った。
今回検査をすると決めた上でやり方や注意事項を調べた結果、適性検査をする際に、魔法が使えるかどうかということは関係ないらしい。だから、この孤児院にいる皆……それこそネラやミラ、マリア達のようなまだ十歳にもなっていない子達でもできる。
わたしは近くの床の上に大量にある魔石を置いた。一瞬で、魔石の山ができあがる。
皆は驚きはしたようだけれど、わたしが魔法を使えるということは知っているので、特に訝しんだり、魔石が突然現れたことに怖がったりはしていないようだった。
「今から、皆はここにある魔石を一つずつ取っていってください。その次にすることは、全員が魔石を取って元の場所に戻ったら教えます」
わたしのその言葉に、皆が列になって魔石を取っていく。そして、それが終わると魔石の山はだいぶ減っていた。ちなみに、孤児院の皆が取っていっても、まだたくさん残っている。だいたい五十個くらいはあるだろう。
……まあ、最終的に余った魔石の使い道は後で考えよう。魔力を込めて売るのも良いかもしれないし。
「それでは、これからやってもらうことを言いますね。魔法の属性を調べるためには、今皆が持っている魔石に魔力を込める必要があります。魔力は皆の身体の中を流れているので、自分の身体に意識を向けてみれば、何となくその存在を感じることができる人もいるかもしれません。魔法を使うときには、その魔力を消費しているんです」
そう言うわたしの話を、皆はしっかりと聞いてくれている。その真剣な瞳に少し緊張する。
「そして、魔力を上手く流せると、魔石に自分の魔力が移ります。……リーナ、ユリウス、貴方達の魔力をもらうことになってしまって申し訳ないのだけれど、ちょっとお手本を見せてもらえるかしら?」
「分かりました。大丈夫ですよ」
「ではお嬢様、魔石を一つ頂いても宜しいですか?」
「ええ、もちろんよ。お願いするわね。……じゃあ皆、今からこのリーナとユリウスが一度やってみてくれるので、見ていてください」
わたしは今日はあまり魔法を使っていないので、今魔石に触ったら多分、というより確実に砂になってしまうだろう。それは良くない。
ということで、わたしはリーナとユリウスに見本を見せてもらうことにした。わたしの両斜め後ろに静かに経っていた二人は快く引き受けてくれて、魔石を手に取ると少し前に歩み出た。
そして、数秒後。二人が持っていた魔石は、わたしがした時のように砂になることはなく、綺麗に染まっていた。二人が皆に見えるようにしてくれたおかげで、わたしにもその色が見えた。
リーナの魔石は透き通っているような薄い茶色と水色。つまり土魔法と水魔法に適性があるということだ。水色の方が割合が大きいので、土魔法よりも水魔法の方が得意なのだろう。ユリウスの魔石は水色とオレンジ色。同じく水魔法と火魔法が彼の属性ということになる。こちらはどちらも同じような割合だ。
「きちんと染めることができれば、このような魔石が淡い色合いに染まります。属性は最低でも一つ以上なので、もし一つであれば魔石は一色に染まります。けれど、二つ以上であれば二人のように色が分かれます。……では、やってみましょうか。最初はできなくても全く問題ないので、もし周りの人が先にできたとしても、焦ったりしないでくださいね」
そう言うと、皆は一斉に自分が持つ魔石を握り、じっと見つめながら魔石を染めることに挑戦し始めた。
「何か分からないことがあったら何でも聞いてくださいね。……リーナ、ユリウス。一応確認しておきたいのだけれど、二人はどんな色がどの属性なのか判断できるかしら?」
「はい」
「私もです、お嬢様」
「それなら、魔石を染めることができた人が出てきたら、その人が何の属性なのかを魔石を見て判断して、記録のために紙に書いてくれるかしら。わたし一人だと多分追いつかないと思うのよ」
「分かりました」
この人数の魔石の色をわたし一人だけで判断していくのは、絶対に無理だと思う。だから、わたしはリーナとユリウスを頼ることにした。魔法や魔力について教えてくれた二人ならば、それぞれの属性の色が何なのか分かるはずだと考えたからだ。
またしても二人はわたしのお願いを引き受けてくれた。わたしはいつも持ち歩いている紙の束を取り出す。そして、肝心のペンがわたし用の一本しかないことに気づいた。
……いつもわたししか使ってなかったから、予備を入れておくのを忘れてたよ。後で屋敷に戻ったら追加しておこう。
「……マーサ、ペンを二本貸してくれませんか?終わったらお返ししますので」
「もちろんです。少しお待ちください。取ってきますね」
マーサからペンを受け取ると、わたしはリーナとユリウスにそのペンと、紙を差し出した。
「これを使ってちょうだい。書いてほしいのは、名前と年齢。そしていちばん大事なのがその人の属性よ」
そう言ったわたしは、そばにあったテーブルに近づいて、椅子に座る。そして魔石に魔力を流している皆に向かって声をあげた。
「魔石を染めることができた人は、わたしかリーナ、ユリウスのところに魔石を持って来てください。わたし達3人の内、誰のところに来てもらっても構いません」




