表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/116

58

 それからわたし達は、一時間もの間ひたすら魔獣を狩って解体する、ということを繰り返していた。


 わたし、リーナ、ユリウスに分を全て含めて、その数は三十以上。今日で手に入れた魔石の数は恐らく、というか確実に百を超えているだろう。


 今日一日で孤児院の皆が使うための分を揃えることができたことに安心する。実を言うと、もっとかかるだろうと思っていたのだ。


 ユリウスだけでなくリーナも手伝ってくれたこと、ダンジョンにいる魔獣が思いの外多かったこと、そして魔法を連発しているはずのわたしが全く魔力不足にならなかったことなどが理由だ。


……ユリウスもリーナも凄い強かったなあ。どんどん魔獣が減ってくんだもん。


 わたしが魔法で、時には剣で魔獣を仕留めている間にも、彼等は恐ろしい程の勢いで魔獣を殺していった。


……わたしも二人と同じくらい、強くなりたいんだけど……。うん、まあ、稽古と自主練頑張ろうっと。それしかないよね。


「これで良し。リーナ、ユリウス、お肉屋さんに行ってこのお肉を売ってもらってから帰りましょう。……というより、この量を全部買ってくれるかしら?」


 大量すぎて、一度に買い取ってもらえるのかが分からない。


「大丈夫だと思いますよ。もし売れ残ったものがあれば、屋敷の料理場に差し入れしましょう。きっと喜んで使ってくれるはずです」

「そういう手もあったのね。全然考え付かなかったわ。……それじゃあ、早速行ってみましょうか」


 わたし達は、ダンジョンを出て肉屋へと向かったのだった。


「……あんまり残らなかったわね」

「今回は、珍しい魔獣が獲れましたからね。ブートリオなどは上位種ですから、まず遭遇した場合には逃亡する者が多いんです」

「……そうなの?全く知らなかったわ。ブートリオが強いということは知っていたけれど…」


 ブートリオやミュートガンが上位種で、戦闘面において強いということは知識として知っていた。けれど、戦うよりも逃げたほうが良いという判断をする人が多いことについては初耳だ。


 わたしは貴族だからいろいろな魔法を使えるので、ある程度簡単に倒すことができたけれど、確かに水魔法を使うブートリオやブロクスーンは今回わたし達が倒した魔獣の中でも厄介だったような気がしなくもない。


……地盤軟化と地盤硬化は土魔法に適正がないと使えないし、慈悲の祝福は風魔法に適性がある人しか使えないからね。ブートリオ達に手間取っても仕方ないのかも。


 無駄な戦闘をするくらいなら魔力や体力がなくなる前に逃げようという考え方をする人がいてもおかしくはない。


「でも、少しもったいないような気もするわね。ブートリオとかは意外と高く売れるのに……」

「今回お嬢様が仕留めた魔獣は食用の肉として獲れるのが珍しいですからね」

「それに、味も美味しいので、たとえ倒すことができた人がいたとしても自分で売らずに自分で食べるのではないでしょうか」


 今回わたしが得ることのできたお金は大金貨が九枚と金貨二枚、大銀貨が八枚だ。全部で約百匹分だったので、一匹につき大銀貨九枚くらいの値段になる。


 肉屋の店主はわたし達が持って行った肉の数々に、喜んで買い取ってくれた。


「それじゃあ、この残ったお肉をヴァイス達に差し入れとして渡すことにするわね。屋敷に帰りましょう」

「もしかしたら今晩か明日のご夕食に出されるかもしれませんね」


 そう話していたところで、わたしはあることに気づいた。


「……あ」

「お嬢様、どうかなさいましたか?」

「あの、リーナやユリウスが戦闘面において強いということは屋敷の皆は知っているの?」


 思わず声をあげてしまったわたしを見て、不思議そうな表情をしたユリウス達にわたしはそう尋ねた。


「……そうですね。だいたいの人は知っていると思います。まず、ウェルストン公爵家に仕えている者は基本的にある程度の戦闘能力は持っていますよ。セレスティーナ様がお生まれになってからは、人相手でも戦える者、ということが使用人になる条件として追加されましたし」

「そうなの?!……いや、まあそれは今は良いわ。申し訳ないのだけれど、料理場にお肉を持って行くのはリーナとユリウスに任せても良いかしら?わたしがダンジョンに行ったことはもちろん、剣術を習っていることが皆にばれないように、誰が魔獣を狩ったのかをどうにかして誤魔化して欲しいのよ」

「分かりました。万が一の時には料理人達には私とリーナが狩ったのいだと伝えましょう」

「ありがとう」


 今まで知らなかった衝撃の事実を耳にしてしまったわたしだけれど、今はそこまで重要ではない。


……というかそれ、わたしが知っちゃっても良いことなの?まあ、知っちゃったことは仕方ないか。


 とにかく、今回わたしは魔獣達を倒す時に、剣術ではなく魔法しか使っていない。剣術のことは、わたしが誰かに伝える気がない。それに、わたしが魔法を使えるというのは誰にも言わない、という約束になっている。魔法はダンジョンだけでなく、屋敷の中でも何の遠慮もなく使いまくっていたので、今更なような気はするけれど。


 それでも、わたしが魔法を使っているのは周りに誰もいないところだ。ユリウスとの剣術の稽古で使っている訓練場も、稽古の時には誰かを目にしたことがないので、見られてはいないだろう。


 つまり、今の時点では誰にも……リーナとユリウス、そしてこの領地では孤児院の皆以外には知られていないと思うので、今のところは隠しておきたい。リーナとユリウスが言っていたように、お父様を初めとした皆に打ちあけるのはもうしばらく後にしようと思っている。


……八歳になってからだから、三年後以降かな?それまでに皆の前で魔法を使わざるを得ないようなことが起きなければ良いんだけどなあ。


 わたしは先程にも言った通り、目の前にわたしが魔法を使う、またはわたしが身につけた拙い剣術の技術だとしても、それをを使えば救えるとまではいかなくても助けられるような人がいた場合には迷わずに魔法を使うだろう。


 けれど、その機会はできるだけない方が良い。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ