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 わたしは次に、火魔法を使うワームアゴッととミュートガンをまとめて片付けることにした。


 先程も言った通り、魔力属性はお互いに相克関係にある。魔法を使う時に込めた魔力の量の差でその効果の強度は変わるとしても、今のように大勢の敵と戦う際には魔力効率も考えながら戦わなければいけないのだ。


 結論から言うと、火属性の魔獣には水系統の魔法がよく効く。火を操る魔獣にとっては、水は天敵で、相性が最悪なのだ。


水獄(すいごく)……それで最後に、水鉄砲(ウォーターカッター)!!」


 水獄とは、その名の通り、物体を水で包み込むため魔法だ。込めた魔力の分だけ出てくる水は増える。


 わたしは周りにいるワームアゴットとミュートガンをまとめて捕らえる。彼等は水中で激しく動いているけれど、わたしの魔力で作られた水はわたしの魔力が尽きるまで、またはわたしに意識がなくなるまでは消えることはない。魔獣も呼吸をしているので、あとしばらくすれば気絶してくれるだろう。


……後はブートリオとブロクスーンだけだね。結構早く終わりそう。


 今の時点で、戦い始めてから十分も経っていない。全部を魔法で片付けているからだ。


 わたしがブートリオとブロクスーンに視線を向けると、彼等は次が自分達の番だと悟ったのか、群れとなって真っ直ぐこちらに突っ込んで来た。


 数を減らしたとはいえ、未だに残った魔獣の量は多かった。それらが一つの塊になって突撃してくるのだ。結構怖い。


 それでもわたしは慌てずに魔法を発動した。


「…地盤軟化(ソイルソフター)


 そう言った直後、液体のように柔らかくなった土を踏んだ魔獣達が地面に沈む。その時点でわたしは地盤軟化を解除して土を元の状態のように固めた。当然のことながら土に足を絡め取られていた魔獣達もその状態のまま固定される。


 動けなくなったと理解したブートリオとブロクスーンが、水の塊を出した。そしてそれを土にかける。恐らく、水によって地面を柔らかくし、脱出しようと考えていたのだろう。


……でもそれ、多分無理だと思うよ。

 わたしは現在地盤硬化(ソイルスティフェン)という地盤軟化とは反対の効果を持つ魔法を使っている。だから、彼等が水を出すために使用した魔力量の合計がわたしのそれを超えない限り、地盤硬化が破られることはないのだ。地面が柔らかくなりそうであれば、また魔法をかけ直せば良いだけだ。

 それに、わたしが地盤軟化と地盤硬化で彼等を今の状態にしたのは、「動きを封じるため」だけではない。


「……慈悲の祝福(マーシーブレス)


 わたしが放った魔法は、目の前にいる地面に埋まったままのブートリオとブロクスーンだけでなく、水の監獄に囚われていたワームアゴットやミュートガン、更には後方でリーナとユリウスが戦っていた魔獣達の命までを一瞬で奪った。全ての魔獣が倒れ伏し、辺りが急に静かになる。


 慈悲の祝福は、超上級レベルの風魔法。相手に苦痛を与えることなく敵の命を刈り取る魔法だ。


 これを使えば、自分敵と認識した者の命を奪うことができる。ただし、相手によっては防ぐことができる。攻撃が当たらなければ効果は出ないので、魔法で相殺された場合には不発となってしまう。


……まあ多分、この魔法を防ぐだけでも骨が折れると思うけどね。


 魔法を相殺する場合に同等か、あるいはそれ以上の魔力を使わなければならないからだ。


 この魔法は大量の魔力を使うので、数回使えば確実に魔力不足になってしまうだろう。それは遠慮したいので、魔獣達が魔法を防ぐことができないようにする必要があったのだ。


 つまり、わたしのもう一つの目的とは、魔獣達の意識を他のことに向けさせること。もう少し細かく言うと、わたしに対して攻撃魔法を使えないようにすることだった。


 彼等は水魔法を使うので、火魔法も風魔法も相殺できてしまう。わたしが魔法で攻撃したとしても、当たる前に魔法で防がれてしまうだろう。そうされないように、いくつもの属性の魔法を連続してぶつけるという手もあった。


 けれど、それほどの時間はなかったし、一刻も早くこの戦いを終えたかったのだ。だから、確実に魔法を当てるための布石として、他のことに手を取らせたのだ。


 基本的に、魔獣は魔獣は一度に同時発動はできないらしい。わたしは……実際に試してみたことはないけれど、多分できる。


 いつも空間魔法は発動しているし、その上で魔法を使っているのだからそれは同時発動と同じようなものだと思うのだ。もしかしたら空間魔法の収納は別なものなのかもしれないので、今度やってみたいはと思う。


 とにかく、わたしの攻撃を確実に当てるためには、彼等に魔法を使っていてほしかった。だからこそ足場を封じたのだ。


 自分の身体が土にはまって動けなくなった場合、普通なら抜け出すために何かするだろう。もしくは、その原因であるわたしに攻撃をしてくるかもしれない。


 どちらにせよ、何か魔法を使ってくれればそれで良かった。魔法を発動させてからのほんの数秒を稼げさえすれば、攻撃されようが自由になろうと足掻かれようが、わたしの優位性は消えないからだ。


 わたしの最後の魔法で、その場にいた全ての魔獣は息絶えたのだった。

いつも最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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