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「セレスティーナ様、ブロクフォーンの解体をしてしまいましょう」


 ブロクフォーンとは、今わたしが仕留めた魔獣のことで、キツネのような見た目をしている。ただし、色は黒だ。鋭い歯を持っていて、魔法はほとんど使わない。


 上位種になると魔法を使える個体も出てくるのだが、その魔法も多くが風系統の魔法なので、それさえ分かっていれば対策するのは簡単だ。


 つまり、ブロクフォーンに遭遇した時には噛まれないようにだけ気をつけながら遠距離系の魔法や槍などで迎撃すれば良いのである。だから、ブロクフォーンは魔獣の中でも比較的弱いとされている。


「次からはわたしも一緒にできるように、教えてもらってもよいかしら?」

「もちろんです。……まず、ナイフで皮を剥ぎます」


 普通の剣では長くてやりづらいのだそうだ。わたしの場合は剣しか持っていないので、ユリウスかリーナに借りる、または先程のように魔法で氷の刃を作り、それをナイフとして使うかのどちらかだ。


 そして、皮を洗って綺麗にしたら、心臓の近くにある魔石を取る。


 その後は、もう肉や骨、内臓しかないため、そのまま自分達で食べるも良し、肉屋さんで売るも良し。わたしの場合、基本的に後者になる。


……もし一人で来ることがあったら焼いて食べてみても良いかもね。焼き魔獣、みたいな?


 わたしは大体の魔獣に関する知識を本から得ている。だから、その場で食べて良いものとそうではないものとを見分けられる。


 肉屋さんでは、毒などの影響でその場で食べることができない肉も、特別な加工をすることで安全に食べることができるようにしてから売っているらしい。


 だから、このダンジョンに訪れる人達は普通はすぐに食べることのできる魔獣の肉を自分で食べ、それ以外の肉は売るという方法でお金を得ているのだそうだ。


 または、冒険者ギルドに登録している「冒険者」と呼ばれる人々は、ギルドに依頼される魔獣の討伐依頼や素材採集などを引き受け、このダンジョンなどで達成することが多いという。達成すると、報酬がもらえるらしい。


 冒険者ギルドとは大体一つの町に一つあって、何人もの冒険者志望の人達が登録をしている。登録は誰でもできるけれど、その際に試験のようなものがあるのだそうだ。冒険者の中にもランクがあるので、試験の結果でランクが決められる。


 ダンジョンで魔石を集めると決まった時に、ダンジョンのことも教えてもらったのだが、それを聞いて、わたしはそのギルドに登録して、冒険者になることで自分の実力を試してみたいと思った。


 けれど、冒険者になると基本的に依頼を受けることがメインになってしまうので、個人的に魔獣を狩っている時間がなくなってしまうかもしれない。そうすると孤児院の皆が検査をするための魔石を採り終わるのが遅くなってしまうかもしれない。


 それは困るので、ギルドへの登録などの話をルーナやユリウスにするのは後で良いか、と思っている。


「それで解体終わりよね?じゃあ、それは売る時までわたしがしまっておくわ。……でもその前に、わたし、自分の適正がある属性が知りたいの。だから、魔石を一つここで使ってしまっても良いかしら?」

「もちろんです。ここなら他に人はいないですし、誰かに見られることもないでしょう」


 リーナとユリウスの許可を得たわたしは、ブロクフォーンの皮と肉をしまうと、魔石を両手に取った。

 その途端、手の中の魔石が大きな光を放った。


「ひゃっ?!」


 その眩しさに思わず目を瞑る。


 けれど、光は少しすると消えた。瞼の奥に残っていた光が消えたことに気づき、恐る恐る目を開ける。

 

「……え?」


 魔石を持っていたはずの右手の掌には、一握りの粉があるだけだった。


「これは……どういうこと?リーナ、ユリウス、分かるかしら?わたし、何かやらかしてしまったの?」


 わたしの質問に、リーナとユリウスは再び顔を見合わせた。


「いえ……そういう訳ではないでしょう。恐らく、セレスティーナ様の込めた魔力が多すぎたことが原因で飽和状態になり、魔石が崩れたのだと思います」

「魔力量が多い方が魔石に魔力を込めた時によく起こるそうですよ。お嬢様だけでなく、ウィリアム様やアルバート様が初めて魔石に魔力を込めた際にも同じ現象が起こっていましたから」


 ユリウスとリーナからの説明に、わたしは首を傾げた。


 わたしは特に魔力を込めるという言葉に当てはまるようなことをした覚えはないのだ。


……魔力を込めるって言葉の意味が、わたしが思っているのと違うのかな?


「……ねえ、一応確認したいのだけれど、魔力を込めるというのは、自分で意識して魔力を魔石に送る、っていうことで良いのよね?」

「そうです」

「それなら、わたしは魔力を込めてはいないわ。だって、魔石に触れた途端に勝手に魔力が引き出されたもの」

「……はい?勝手に、魔力が引き出された、ですか?」

「ええ、そうよ。魔石を両手で持った瞬間に急に魔石が今さっきみたいに光ったのよ」


 わたしがそう言うと、ユリウスとリーナが目を見開いた。


……え?何か驚くようなことがあったの?……まさか、本当にわたしやらかしちゃったんじゃ……。


「リ、リーナ、ユリウス?わたし、何かまずいことしちゃったのかしら?」

「……申し訳ございません、セレスティーナ様。何もしていないのに魔力が吸われるなど、聞いたことがなかったもので混乱してしまいました」

「いえ、謝ることはないけれ、ど……って、ちょっと待って」

「……お嬢様?どうかなさったのですか?」

「大量の音……多分足音ね。それがここに近付いてきているわ。もしかしたら、今さっきの光に反応したのかも……」


 わたしの耳に入ってくるもの凄い量の足音。その間隔は短く、走っているのが分かる。


 わたしの言葉を聞いたリーナとユリウスが、即座に警戒する。わたしもしまっていた剣を取り出して、いつどこから何が来ても対応できるように構えた。


「……嘘でしょ」


最後まで良んでくださり、ありがとうございました。

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