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「父上、叔父上がまだいらっしゃっていませんが……」

「そう言えば、確かに言っていなかったな。ヴァンは遅れるそうだ」

「そうなんですか……」

「ああ」


 そうして、少人数での誕生日パーティーが始まった。


 このパーティーは昼食会も兼ねているそうで、どんどん料理が運ばれてきている。


 パスタなどの主食、サラダ、肉料理、揚げ物、デザートなど、色々な種類の料理が並べられている。


デザートはケーキやゼリー、マカロンなどなど、デザートだけでも沢山ある。甘いみにが好きなわたしからすれば、よだれが出そうな光景だ。


 立食形式のパーティーなので、取り皿もテーブルに置かれている。料理を運ばなければいけない使用人の皆も大変だろうが、一番忙しいのは、恐らくこれらの料理を作らなければいけない料理人達だろう。


……でも、本当に凄い量。食べきれなかったらどうなるんだろう。


 もし捨てられてしまうのであれば、個人的にもらって孤児院の皆に差し入れしたいくらいだ。


……あ、良いかも。もう少ししたらヴァイスに聞きに行こう。


「……ヴァン。もうパーティーは初めていたからな」

「遅れてごめん、兄さん。ありがとう」


 後ろから聞こえてきたその会話で、ヴァン叔父様が到着したことが分かった。


「……ひゃあっ!」


 声がした方に振り向こうとしたその時、わたしの身体は浮かび上がった。正確に言うと、後ろから伸びてきたヴァン叔父様の手によって、抱き上げられたのだ。


「……ヴァン叔父様、この前にも言いましたけれど、急に抱き上げるのはやめてください。心臓が止まるかと思いました」


 首を後ろに回して叔父様に顔を見た。


「ははっ、悪い悪い。出来るだけ気をつけるようにするよよ」


 不安にしかならない叔父様の言葉に小さな溜息を吐く。


「せめて、わたしの前に立って、正面からにしてくださいませ」


 前回と全く同じことを伝える。


 わたしが前世を思い出してから、叔父様は二回この屋敷を訪れている。


 その時にも、わたしのことを後ろから抱き上げてきたのだ。それも、二回とも。


 叔父様は背が高いので、一気に目の位置が上がる。感覚的には、ジェットコースターに似ている。


 わたしは元々ジェットコースターは苦手だったので、本当に勘弁してほしい。


 抱き上げられると理解してからならばまだしも、不意打ちは止めてくれ、と伝えているのに直してくれていない。


 次回も同じことをされそうだな、と思った。


 叔父様は、お父様と同じ金髪にオレンジ色の瞳の美丈夫だ。細かいことにはあまりこだわらない性格だ。


……何て言うか、野性味が溢れてるよね。


「叔父上」

「お、ウィリアムにアルバート。元気か?」

「はい。叔父上もお元気そうでなりよりです」

「俺はいつでも元気だぞ。今はセレナに会えたから特にな」


 兄様と話し始める叔父様。


 今の間、叔父様はわたしのことは自分の肩に乗せている。肩車の片肩バージョンだ。


 叔父様の肩は広いし、しっかり支えてくれているので安定はしているけれど、殿下方もいらっしゃるのだから早く降ろしてほしい。


 まだこちらに来てはいないけれど、見られていることは確かだ。何故なら、こちらを向いているから。


「叔父様、そろそろ降ろしてくださいませ」

「ん?」

「お願いですから。恥ずかしいんです」


 わたしがお願いしていると、兄様も味方してくれた。


「叔父上、降ろしてあげてください」

「セレスティーナに嫌われてしまいますよ」

「それは困るな」


 ウィリアム兄様のその言葉を聞いて、叔父様はようやく地面に降ろしてくれた。


 靴越しに感じる硬い土の感触にほっとして、息を吐いた。


「ありがとうございます、叔父様。……兄様も、ありがとうございます」


 ウィリアム兄様とアルバート兄様にお礼を言って、わたしは叔父様に向き直った。


「セレナ、今日は誕生日おめでとう。来るのが遅くなってしまって悪かった」

「……大丈夫ですよ」

「プレゼントは後で渡すからな。……それにしても、相変わらずたくさん作らせているんだな」


 長テーブルに置かれた料理の数々を見て、叔父様はそう言った。


「セレナはまだ何も食べていないのか?」

「ええ。……わたしではテーブルの料理に手が届きませんから」


 背の低いわたしでは、大人用のテーブルの中心に置かれた料理を取ることはできない。


 手は届くけれど、無理な姿勢をしなければいけないので、下手をすると溢してしまうかもしれない。せっかくヴァイス達が作ってくれた料理をそんな風にはできないので、まだ料理に手を出してはいなかったのだ。


 兄様や殿下方はもう食べ始めていたけれど、そのうちお父様に頼もうかななどと考えていた。


「そうか。じゃあ、俺が取ってやろう。食べたいものを言ってくれ」

「良いんですか?ありがとうございます」


 わたし達はテーブルの方に歩いていく。叔父様が取り皿を持って「何が良い?」と聞いてきた。


「えーと、あれと、これと……」

「本当にセレナは昔から甘いものが好きだな」

「はい」


 叔父様の言う通り、わたしが選んだのはスイーツがメインだ。でも、身体のバランスは考えて選んだからそこまで悪くはないはず。


 それに、今は食べすぎると夜に食べられなくなってしまう。


「これで良いんです」


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