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「素晴らしいと思います。どうぞ、よろしくお願いします」

「では、とにかく、近々魔石を持ってきます。人数分集めるのに少し時間がかかるかもしれませんが、少し待っていてください。今回の薬草を育てるという点で魔法を使わなかったとしても、自分の適正のある属性を知っておくことはいつか役に立つと思いますから」

「ありがとうございます」


 生きているものには必ず適正のある属性というものが存在する。貴族はその属性の数が多いため、貴族として優遇されているけれど、つまり平民にも必ず一つ、多くて二つの属性の魔法が使えるのだ。


 とはいえ、使えるのは属性の中でも簡単なものが多い。例えば水魔法だったら水を出す、とか、火魔法だったら火を起こす、などだ。


 肝心の、適正のある属性を知るためには、魔石が必要だ。魔石に振れるとその魔石が貴色に染まる。貴色というのは、属性の色だ。それぞれの属性で貴色が異なるので、染まった魔石を見れば何の属性によって染まっているのかが分かる。


 魔石が染まるのは触れたものの魔力を吸収しているからだ。だから、魔力量の差によって染められる魔石の量に差が出る。


 魔石は主に魔獣から採れるが、染める際には属性は関係ない。どういうことかと言うと、例えば水属性の魔獣から魔石を採ったとしても、火属性や風属性の魔力で染めることができる。染めるための魔石は魔力の「受け皿」でしかないからだ。


 だから、適正検査の際に使う魔石はどんな魔石でも良いのだ。つまり、わたしは孤児院で適性検査をするために、とりあえず大量の魔石を手に入れなければいけない。


 ちなみに、属性が二つ以上だった場合には、魔石の中で自然と色が分かれる。意識すれば、それぞれの属性だけで染めることもできるらしいけれど、魔石は決して安くはないためそうする人はあまりいないらしい。


……だって、その必要がないからね。知りたいのは属性の数だし。


 魔石は売れる。染まっていない物も、染まっている物も、どちらも値段は高めだ。染まっている物は魔力が含まれているため、値段が高くなる。


 染まっていないものは大きさなどの質によるが、金貨が五、六枚。そして、染まっている物は大金貨一枚分くらいの値段だ。貴重な属性で染められている魔石は必然的に値段が上がる。


……うーん、魔石を手に入れるには、魔獣を倒していくしかないかな?自分の剣術の技術も調べられるしね。


 魔獣には、討伐対象となっている人に対して害のあるものと、無害のものがある。今回、わたしが倒そうと思っているものは、害のある方の魔獣だ。


 魔獣を倒すための場所、というよりは魔獣がたくさんいる場所というのがあるのだが、それについては後で考えていきたいと思う。


「じゃあ、ちょっと孤児院長室に移動しても良いですか?」

「もちろんです。セレナ様が孤児院長となられた今、孤児院長室はセレナ様のお部屋ですから。ご自由に使ってくださって構いません」


 そしてわたし達は孤児院長室に移動した。


「……相変わらず凄い部屋ですね……」

「そうですね……」


……このよく分からない悪趣味な装飾品は売って、孤児院の予算に回そう。うん、そうしよう。


 残された装飾品を見て、現実逃避を兼ねてそんなことを考えているわたし。


「ここにある装飾品は、全てアンザが買ったものですか?」

「はい」


 それなら気がかりもなく売ることができる。


「この孤児院の帳簿は普通の書き方をしていますか?」

「ええ。一般的な書き方です」


 それならマーサに時間をとってもらわなくても、ユリウスやリーナに教えてもらって書けそうだ。


「それなら、わたしにも書けそうですね。ユリウスかリーナに教えてもらいたいと思います。持って返っても良いですか?今月の分はもちろん書いていないでしょう?」

「はい、持って返っていただいて大丈夫です。よろしくお願いします」


 本棚に入っていた帳簿を受け取り、わたしはバッグの中にしまった。


「これからネラ達に会いに行っても良いですか?……でも、それより先に今日から彼等が使うことになる部屋を用意したほうが良いでしょうか?」


 今日はとりあえず部屋の移動はしない。地下室にいたネラ達が普通の部屋を使うためだ。細かい部屋割りを考えるのはまた明日以降だ。


「部屋とベッドは余っていて、もう既に置かれているので大丈夫ですよ。……あ、でも、掃除はしたほうが良いかもしれません」

「分かりました。その部屋を見せてもらっても良いですか?」


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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