表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/116

1

ここから異世界編です。

 目が覚めると、わたしは全く知らない場所にいた。馴染み深い自分の部屋でもないどこか。


 とても上質なベッドの上で寝ていると言うことだけは分かる。何故なら、触れているシーツやクッションがすごくふわふわで気持ちいいから。


 とりあえず上半身を起こし、周りの様子を眺める。わたしが今まで寝ていたベッドは、なんと天蓋付きのものだった。高い天井からは、薄いピンクのレースが垂れている。そのため、レースの奥の様子はあまりよく分からない。気配はしないので、誰も人はいないようだ。


 それはともかく、何故わたしがこんな所にいるのかが分からない。


 確か、わたしはいつも通り学校に行ったはずだ。それで、家に帰ろうとしていたときでに谷口さんに声を掛けられて……。


「……わたし、死んだの?」


 そう考えたのは、歩道橋から真っ逆さまに落ちたら無事ではいられないからだ。むしろ、普通なら死ぬ。


 つまり、わたしも死んだと考えるのが普通だ。そして、ここは天国なのだと言われた方が納得できる。地獄に行くような悪いことはしていない。そう信じたい。


 ふいに、頭に痛みを感じ両手で頭を押さえた。すると、視界の隅を何か金色のものがよぎった。その正体は、一束の髪の毛だった。


 その髪の毛はわたしのもののようだ。何故分かったのかというと、手に取って引っ張ってみると頭に鈍い痛みを感じたから。この痛みは、先ほど感じたものとは違う。


「え?なんで?」


 わたしの髪は、真っ黒のロングストレートだ。産まれてからずっと同じ黒だったから、同級生の明るい茶色の髪の毛が羨ましかったのだ。だからといって、髪を染めようとは思わなかったけれど。


 とにかく、初めたわけでもないため、わたしの髪が金髪であることは有り得ないのだ。


 自分の身に起こっていることが分からず、髪を掴んで見ながら首を傾げる。


 そのとき、もう一つの違和感に気がついた。


 なんと、わたしの手がいつもより小さく見える。目が覚める前までに見ていた自分の手に比べると、その違いは歴然だ。しかも、何故かぷよぷよしている気がする。まるで、小さい子の手のようだ。


 小さい子のものといえば、先程出した声も、少し高かった。


「……どういうこと?何が起きてるの?」


 そう呟いたとき、レースの向こうで扉が開き、誰かが中に入ってきた気配がした。レースからもうっすらと影が見える。


 その人影は、わたしが座っているベッドの方に慌てた様子で駆け寄ってきた。


「お嬢様!お気づきになったのですね!」


最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ