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「外出……かい?」
「ええ。いつでも、好きな時にこの屋敷から出ていくことができる権利が欲しいです」
これまでは、わたしは外に出たことがなかったのだ。家族で遠出をするときなどは別だけれど、わたしが外出をするにはお父様の許可が必要なのである。
「だが、外は危ないよ?」
「リーナとも一緒に行くつもりなのですが、それでも駄目ですか?」
「リーナを?……それなら良いよ。他ならぬセレナの頼みだからね。でも、くれぐれも危ないことはしないようにするんだよ」
「はい!ありがとうございます、お父様」
「本当にそれで良いのかい?」
「もちろんです!……それと、お父様。着ることができなくなったドレスなどは、どうなっているんですか?」
これは、ずっと気になっていたことだ。成長期真っ只中のわたしは、日々成長している。実際、わたしの衣装部屋には昔着ていたドレスが何着もある。
リーナが捨てようとしていたので、もったいないからと慌てて止めたため、どんどん溜まっているのだ。
……もしかしたら、何かに使えるかもしれないしね。最悪、綺麗だから売ることもできると思うし。
「うーん……基本的には、捨てているね。それ以外にどうもできないから」
「ではお父様、わたしが着られなくなってしまったドレスをどのようにするか、わたしが自由に決めても良いですか?」
「もちろんだよ。元々、セレナのドレスはセレナのものだからね。どう扱っても良いよ」
「ありがとうございます」
お父様に買ってもらったものをわたしのものだとは考えられない。お金を出したのはお父様だからだ。だから、わたしがドレスを自由にできるようにするには、お父様に許可をとったほうが良いと考えたのだ。
……やっぱりドレスは売ろう。そのまま捨てられるよりは良いでしょ。それに、外に出たら絶対にお金は必要だしね。目立たない服も買わなきゃいけないだろうから。
流石に、普段屋敷の中で着ている豪華なドレスを外に着ていく訳にはいかない。最初は仕方ないかもしれないが、もし汚したら……と考えると恐ろしい。ので、お金を工面するために、ドレスを売ろうと決心した。
……余った分は貯めればいいしね。
「……お父様、お話はこれでおしまいですか?」
「ああ。わざわざここまで来てくれて、助かったよ」
わざわざと言っても、あくまで屋敷の中だし、そこまで言われるほどの距離ではない。
……なんでだろう。普通は違うのかな?
「……では、わたしは部屋に戻らせていただきますね」
……リーナも一緒に外に行くんだから、伝えておいた方が良いかな?
執務室から退出したわたしは、そう考えて部屋に戻った。
けれど、リーナが部屋にいなかったため、探すことにした。できるだけ早めに屋敷から出たいと考えているため、外出について伝えるのは早いほうが良いと思ったからだ。
一階にある使用人部屋を訪ね、中にいた人達にリーナがどこにいるか知らないかを聞いてみた。
「リーナさんなら、先程お嬢様の部屋に飾る花をもらいに庭へ行くと言ってましたよ。……あの、お嬢様。僕が探してきましょうか?」
そう言ってくれた若い使用人さんにお礼を言って、その申し出を断った。
「ありがとう。……でも大丈夫よ。わたしが自分で探すから。教えてくれてありがとう」
リーナにも仕事があるだろうから、これで見つからなかったら仕方がない。後で伝えようと思う。そう考えたわたしは、そのまま庭へと出た。
すると、庭には兄様がいて、他にも見たことのない少年達と談笑していた。
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