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「リーナ、戻ったわ」

「おかえりなさいませ。では、まず湯浴みを致しましょう」


 部屋に戻るとリーナが待っていた。まずお風呂に入るらしい。


 お風呂が終わると、着替えをした。今着ているドレスは薄い紫色だ。


「お嬢様、食堂へ移動しましょう」


 夕食は食堂でとるらしい。わたしはリーナに続いて食堂へと移動した。


 この世界の食事は、不思議なことに日本とよく似ていた。


 和食ではないが、洋食。それに量が多い。なんとか食べきることはできたけれど、今はとてもお腹がいっぱいだ。


 太ってしまわないように、今日食べた分明日動いて消費しようと思う。動くといっても歩いたり筋トレをしたりすることしかできないけれど。


 食事のマナーは、日本と特に変わらないようだ。違ったらどうしようと不安だったので、少し安心した。


 食事の間、お父様が兄様達と話していて、わたしにも今日は何をしていたのかと話を振られたけれど、兄様達と話した後はリーナに屋敷の中を案内してもらったとだけ言っておいた。


 図書室に行ったことを言わなかったのは、言うことでもないかと思ったのと、何故かは分からないけれど言わないほうが良いと感じたのだ。本当に理由はよく分からない。恐らく、勘みたいなものだ。


「お嬢様、私はこれで失礼させていただきますね。おやすみなさいませ」

「ええ。今日はありがとう。リーナもおやすみなさい」


 夕食が終わり、部屋に戻ったわたしとリーナ。


 リーナはわたしの就寝準備をすると、挨拶をして部屋から出ていった。今日のわたしの侍女としての仕事はここで終わりなのだろう。


「…………じゃあ、筋トレをしますか」


 今の時間は八時半。九時半には寝たいので、今から筋トレをして、時間が余ったら読書をしようと思う。本は持っていないので、図書室に行って取りに行く必要があるけれど。


 そう考えて、まずは腹筋からやることにした。まずは百回。部活のときには百五十回以上やっていたけれど、セレスティーナとなってからはやるのは初めてだし、今のわたしは四歳の子供だ。


 魂の年齢はともかく、身体は年相応なので、流石にいつもどおりに行うのは無理だと思ったのだ。

 ということで、わたしは腹筋百回を始めた。今のわたしはネグリジェを着ているので、動きやすい。色が白なのは少し問題だがまあ良いだろう。


 想像はしていたけれど、筋肉があまりないセレスティーナの身体では、筋トレはとても難しかった。腹筋を何十回かするだけで、お腹がぷるぷるして苦しい。


 けれど、ここで諦めてしまったら何もできなくなってしまう。それに、自分で決めたことを変えたくない。


 何としてでもやり遂げる、という気迫で、腹筋百回に続けて腕立て伏せ五十回をやりきった。


「うう…………これ、明日は多分っていうか確実に筋肉痛だな…………」


 明日のことを考えると少し怖いけれど、筋肉痛は自分の筋肉が頑張っている証だし、今日筋トレを最後までできたのだから、明日もできるはずだ。


「…………よし、明日からもこの調子で頑張ろう」


 筋トレを終えたわたしは、部屋にある時計に目をやった。今は九時少し前だ。寝るまでにはまだ三十分以上時間がある。


 わたしは、汗ばんだ身体を洗浄魔法で綺麗にした。自分に対して使うのは初めてだったけれど、息ができなくて苦しいということもなかった。魔法の便利さを改めて思い知る。


 さっぱりして気分が少し上がったわたしは、部屋を出てある場所に向かった。その場所とは、もちろん図書室のことである。


 魔法はまた明日練習するので、今はまず礼儀作法と貴族の家系図の本を手に取った。そして、収納魔法を使ってしまう。この魔法は、中に入れている物の量、つまり亜空間をどれだけ広げているのかによって魔力の消費量が変わるらしいが、わたしはそれほど入れていないのでなにも感じない。


 万が一明日の朝、リーナが部屋に来るよりも早く起きてしまったときにも読めるように、と二冊の本を手に入れたわたしは部屋へと戻ると、九時半になるまで読書をしてからベッドに入った。


 そうして、わたし、セレスティーナが前世の記憶を思い出した日は幕を閉じたのだった。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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