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ボウ'S 罪なき過積載 煩悩

過積載、重量制限もない、つまり捕まらないが徳を積めなくなる可能性が…。

日付すら忘れさり走り抜けた師走。


「そこの僧、師は誰だ?儂だ!」と不完全燃焼なダジャレで俺の純真無垢、白に近いグレーな魔心を汚す和尚(やつ)を「来世の句はそれでよいのか?」とつい本音で切り捨てた俺は悪くない筈。


 1231、貪欲に己の器を弁えず欲を重ねこぼれ貶すは108の煩悩。

 

「過積載…」


 年末に潔く金を捨て去り、翌年に欲を持ち混んだ故か外れ舞うクジ、それは捨て去る事の出来なかった夢と言う名の欲の残骸。

 欲に破れ、捨てる紙に成り果てた外れクジ、経の教に預かり慎ましい生活を余儀なくされる、だが欲リサイクルにより再び紙幣を紙クズとしてしまうのは人の性だろうか…()められない()めやれない(とど)められないミチミチに詰め込まれた欲望。

 それらを己自身で制御、ダルマしなければ、いずれは『業に入っては業に従え』と自らカルマを選んだ報いを受けなければいけなくなる。


「ふぅ…」


 1231、普段なら人一人、野良猫すら寄りつかない猫の額程の寺ハウスに押し寄せる人だかり。

 老朽化が進みいたるところに支障きたしているが仏心にて受け入れ本堂の床は許容範囲超え沈む。

 時折聞こえる悲鳴じみた床鳴り、それはテンプルに効いた老兵の叫び声に聞こえてしまう。


(すまない本堂の床よ、今は耐えてくれ。俺達の糧の為に…)



豆に百と八を足して頭…。



(久々の夜ふかし…)


 1231…早寝早起き慎ましいくが基本の俺達だがこの日だけは違う、除夜の鐘…残業確定、終えるまで寝れません。


 年内に梵鐘を107撞き、明けた年に1回撞くことにより煩悩を振り祓う除夜の鐘。

 僧だけしか梵鐘を撞くことが出来ないと思われていているが実際は一般人の方も撞くことは出来る寺もある、そう俺達の寺ハウスは一般人方も歓迎しているが…

 

「そして誰も居なくなった…と」


…名も知らぬ僧が突く鐘を見る地味なイベントを見る者は勿論、好き好んで憑かれを祓う為に梵鐘を撞き、疲れ果てる酔狂な方は滅多に居ない。


(寒い寒い寒い寒いさ…)


冬の夜中は寒いし、痛い。


「「「「……」」」」


 照明代わりの篝火から溢れる優しい温もり、離れるの辛い。しかし煩悩を祓うべく梵鐘に側には誰も行こうとはしない。

 そうそれは、会食時に未会計の請求書を誰も取らない、席を立ったものが払う、あの時の雰囲気に似ていた。

 だが時は待ってはくれない、和尚(やつ)は寒さと老い故かモノ云わぬ置物と化し、仲魔は船を漕ぐ程の瞑想をキメている……どうやら24時に闘えるのは俺だけ様だ。


「さて、やるか…」


 俺は不甲斐ない奴等の後始末を払うべく制限時間20分以内に梵鐘を107撞く闘いに挑む……ご近所からのクレームは確定だろう…。


そして新年早々の筋肉痛も…ニルバーナ。


今更なコトが多いが…ボウS'は別枠やるべきだった気がする…たぶん。

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― 新着の感想 ―
[一言]  読ませていただきました。 実にタイムリーなお話ですね。 舞い散る紙屑は有馬か宝くじか・・・。 12月31日の大晦日になり響く鐘の音・・・ん、24時前20分に一気に鳴らすんかい、確かにご近…
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