高齢漫才
年を取るとね…色々と抜けるのですよ…?。
歯高「はい 皆さん、こんにちは高齢ズ、歯高です」
令高「同じく令高です、宜しくお願いします」
歯「気がつけば昭和から令和か…」
令「平成が抜けとるが、ボケたのか?」
歯「勿論だとも」
令「ならええ」
歯「儂の仕事はボケになる事」
令「そして儂はボケを諭す仕事」
歯「諭す…カッコええのう」
令「そうか?なら試しにやってみるか?」
歯「いやいや、今更ボケを辞めて諭す仕事をしろ言われても無理じゃ、おヌシはどうじゃ?」
令「儂もボケになれと言われても無理じゃな、荷が重すぎる」
歯「重荷か…嫌じゃのう?」
令「重荷は腰がやられるから嫌じゃ」
歯「いやいや、それ以前に持ち上げられる事が出来るのか?」
令「…24Kgまでなら」
歯「嘘じゃな、本当の事を言うてみい?」
令「本当は18Kgじゃ…」
歯「なぜ?見栄を張る」
令「18Kより24Kの方がええじゃろ?」
歯「メッキか」
令「これ、儂の仕事を取るで無い」
歯「安心せい、直ぐに剥がれるシールじゃ」
令「そこは付け焼き刃と言う所ではないか?」
歯「ふっ、儂らを刃に例えると…切れ味の悪いボンクラじゃ」
令「阿呆、それを言うならナマクラじゃ」
歯「さして変わらん」
令「いやいや、それは可笑しい…」
歯「どちらも使い物にならん」
令「うん、合っとるが…うん、なんじゃこの敗北感は?」
歯「ほれアレじゃ、正露丸」
令「主は、ほんにボケるのが似合ってるのう?」
歯「ほれ、はよ諭せ」
令「まて待て、そう焦らせるで無い、今思い出す。確か…せ、せい、なんたらじゃろ?」
歯「いや、儂に尋ねられても困るぞ?。諭すのはおヌシの仕事じゃろうが…まさか今頃アレか、反抗期か?ふっ、若いのう…」
令「これ、儂を子供扱いするで無い。それ以上儂を愚弄するならば鉄拳制裁じゃ」
歯「やれるもんならやってみるがえぇ、おヌシの拳など蚊と…ぐふっ!」
令「戯け、儂は諭すのが仕事と言うた筈じゃ」
歯「…これは暴力行為じゃ、訴えてやる」
令「阿呆が、ヌシが訴えるのは儂では無くお客さんの心じゃ」
歯「なっんじゃと…まさかおヌシ諭される日が来るとは、無念。もう好きにするがええ」
令「なにが、もう好きにするがええ、じゃ勝手に落とそうとするで無い」
歯「儂はもう疲れたんじゃ、はよ休ませてくれ、頼む」
令「そのような頼み方では聞けん」
歯「ならば五体投地で…頼む、この通りじゃ頼む」
令「ヌシには誇りと言うものが無いのか?」
歯「ふっ、下手な誇り等に拘っていては人は成長せん。時には己の誇りをかなぐり捨てる勇気も必要なのじゃよ…」
令「なるほど、確かにヌシの言う通り、時には己の誇りを…いやいや、ヌシはただ休みたいだけじゃろが」
歯「バレたか…ふぅ、どっこらせ、と。少しは休めたかのう」
令「コヤツ、己だけ休みよった…汚いのう」
歯「なんとでも言うがええ、儂はボケる為ならなんでもする」
令「なら普通にボケればよかろう?」
歯「おヌシはご飯まだかいのう〜、とボケられてどう思う?」
令「どう思う?、と言われても普通にボケ…まさか、本物のボケを?」
歯「そういう事じゃ」
令「いやボケるなちゃんと最期までボケてくれんと諭せんぞ?」
歯「安心せい、この身が朽ち果てようとも儂は最期までボケ続ける」
令「あと何年持つじゃろうか…」
歯「棺桶に入る迄じゃな」
令「既に片足を突っ込んどる気もするが…」
歯「ふっ、甘いのう。既に半身が入っておるわ」
令「それはシャレで済まされん」
歯「なら、儂らの夫婦で笑える様に作り変えればえぇじゃろ?令高婆さんや」
令「その腕が無いからここにおるのじゃろが、そんな事も分からん様に耄碌したのか?歯高爺さんや」
歯「ノリの悪い奴じゃ、少しくらい儂の話に乗れ」
令「嫌じゃ断る」
歯「これ、諭す者がそのよう…」
令「嫌なモノは嫌じゃ」
歯「ぬう、相変わらず頑固者じゃ…」
令「嫌なモノは嫌じゃと言うとろうが、はよ話を落とさんか」
歯「ぐっ!これ、拳で儂の入れ歯を押し出そうとするは辞めるのじゃ」
令「ほれ、ほれ、はよ落せ」
歯「くっ、これが噂に聞く…なんとかハラスメントか」
令「それを言うなら……なんじゃったか?」
歯「すまん、思い出せん」
令「二人共にボケては締りが悪いのう…ならもう一度歯高爺さんを締めるか?」
歯「それはもうええのじゃ!」
二人「どうもありがとうございました。」
うん、そんなオチは…まあその、ないとは言い切れない、ですよね?。




