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休み時間の教室

 最近のシオリは俺にべったりだ。


「なあシオリ、最近ずっと俺と一緒にいるけどいいのか?」


「え?どういうこと?ダメなの?何か問題でもあるの?」


「そういうわけじゃないんだけど、最近俺がシオリのこと独り占めしてる気がして」


「当然だよ。私はコウタ君のものだし、コウタ君は私のものなんだもん」


 真顔で言うシオリに対して、嬉しさもあるが反応に困った俺は苦笑いが出てしまう。

 公開告白をしてから、開き直ったシオリは時間があれば俺のところに来るようになった。当然休み時間は常に俺と一緒に過ごしている。しかも最近の席替えで俺と席が隣になり、逆にアンナが離れたことによって、まるで俺たちを後押しするかのように共に過ごす時間は増えた。

 そうなると必然的に、これまでシオリと交流していた人たちはシオリと接する機会が少なくなってしまう。クラス、否、学校の人気者であるシオリと仲が良かった、あるいは仲良くなりたい人は多く、その人たちにとって今の状況は面白くないだろう。


「別に無理しなくてもいいんだぞ?他に友達だっていっぱいいるだろうし、向こうも話したいと思ってるかもしれない。それに俺にばっか構ってるとみんな離れてくかもしれないだろ?」


「無理なんかしてないよ。私がコウタ君と一緒にいたいんだもん。友達だって全く話してないわけじゃないからコウタ君は心配しないで大丈夫だよ。それにこれくらいで離れてくなら友達なんていらないよ」


「ならいいんだけどさ」


 シオリ本人が問題ないと言うなら俺がとやかくいうことでもない。シオリが器用なのは知っているし、俺の知らないところで上手くバランスをとっているのかもしれない。ただし一部、今の状況に納得していない人たちもいる。


「綾城さーん!土曜って午前で部活終わりっしょ?終わった後みんなでどっか遊びに行こーってなったんだけど綾城さんも来るよね?」


 俺とシオリが会話をしているところに、構うことなく一人の男が割って入ってきた。その男は近づいてくるや否や、俺の視界を遮るように図々しく俺の机に腰を掛けた。俺の方など見向きもしない素振りからその男の性格が感じ取れる。背中を向けられたので俺からは顔が見えなかったが、細かく後部までセットされた髪型とシオリに対する言動で誰かすぐにわかった。

 シオリの取り巻きの一人、瀬尻(せじり)シュウトだ。

 俺がシオリと付き合う前までは、クラスでもよく話しているところを見かけたし、男子の中では特にシオリと仲が良いポジションだった。チサキと話していた時、シオリは『そこまで仲良くない』と言ってたので、あくまで普通の友達といったところだと思うが、瀬尻がシオリに対して好意を抱いているのはほぼ間違いない。

 つまり、瀬尻は今の状況に納得していない人たちの筆頭であり、当然俺のことも邪魔だと思っているだろう。

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