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部活終わり 3

「何二人して見つめ合ってんのよ……もういいわよ!勝手にすれば!せっかく忠告してあげたのにどうなっても知らないから!」


「なんだかんだ心配してくれたんだろ?ありがとな」


「はあ?何勘違いしてんのよ。私はあんたが綾城さんみたいな美人と付き合うのが面白くないだけよ。自意識過剰なんじゃない?そういうのキモいわよ」


「な……素直に感謝してるんだからそっちも素直に受け取れよ」


「あーあ、時間を無駄にしたわよ。もう帰るわ。あんたたちはせーぜーイチャイチャしながら帰ればいいんじゃない?じゃあね、この鈍感野郎」


 吐き捨てるように言い残し、チサキは振り返ることなく行ってしまった。あまり良い別れ方ではなかったが、俺とチサキは割と普段から似たような感じだ。

 二人きりになった途端、シオリが俺の腕に再び抱きついてきた。


「待たしてごめん。俺たちも帰ろっか」


「うん。でもよかったの?」


「まあ、いつもこんな感じだから。またどこかで話しとくよ。それよりチサキのことを悪く思わないでほしいんだ。きついこと言う時あるけど、良い奴なんだよ。さっきも俺のこと想ってつい言っちゃったんだと思う」


 むしろ悪いのは俺だ。


「わかってるよ。コウタ君のこと想う気持ちは同じだから。それに何言われても私はコウタ君の彼女だもん」


「にしても鈍感野郎、か……」


 確かに俺は鈍感な部類だと思う。だが今の会話の中で、チサキの言動の裏に潜む気持ちを察することができないほど、疎いとは思っていない。

 それでも俺はあえて触れないようにした。もちろん自惚れの可能性もあるので自分から言わないのが普通だと思うが、それよりも俺は避けたかった。アンナの時のような、心苦しい状況を。


「さっきも言ったけど、コウタ君は何も悪いことしてないよ」


 どうもシオリには俺の思考が筒抜けのようで、この先も隠し事はできそうにないと悟った。ただ、そんな関係に少し憧れもあって、思わず口元が緩んでしまう。隠そうと口を手で覆ったのだが、そんな俺の様子を見てクスリと笑うシオリには、それすらもお見通しだったのだろう。


「さあ帰りましょ」


「お、おう、でもこれちょっと歩きにくくないか?もう少し離れたほうが……」


「だーめ。さっき言ったよね?いくらでもしていいって」


 一回離れた反動からか、帰り道のシオリは離れる前よりも密着してきた。その甘い香りと柔らかい感触は、思春期真っ只中の健全な男子には中々に刺激的で、慣れるのはまだまだ先のことだろう。

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