02 闇の中
ふわふわ、ふわふわ。
闇に漂う感覚。
暖かくもなく、寒くもない。
何もない、どこでもない、ひっそりとした闇。
寝静まった深夜、閉ざされた闇、夢も見ずにぐっすり眠る、そんな感じ。
胸に灯る光、温かい、嬉しい、楽しい、そんな感覚。
しっとりとした雨、音もなく降る夜、閉ざされた視界を覆う闇、そんな感じ。
胸を濡らす雫、寒い、悲しい、寂しい、そんな感覚
深々と降りつもる雪、白さに包まれた静寂、星のない夜、そんな感じ。
胸を満たすやすらぎ、安堵、愛しい、幸せ、そんな感覚。
漂う闇の中、常に闇の中、ずっと深い眠りにいるような、そんな感じ。
意識は覚醒せず、ただひたすら眠る、深い眠り。
時折感じるこの思いは誰のもの? 私を包むこの思い。
嬉しいの?
悲しいの?
楽しいの?
寂しいの?
幸せなの?
問いかけても返事は来ない。
ただ感じるだけ、闇の中で、夢の中で。
ただ闇の中、いつもの闇の中、いつもの眠り。
胸を刺す痛み、切なさ、苦しさ、そんな感覚。
微睡んでいたいけれど、瞼に感じる陽の光。
もうずっと感じることのなかった陽の光に引きずられるように意識が覚醒する。
目に映るのは陽の光、木々の緑、肌に感じる乾いた風。
光の靄がかかったような視界は徐々に鮮明になり、ゆっくりと焦点を結んだ。