希望の光
微妙になりましたが、明日のでジェフリーのお話は一旦終了です。
王位継承の日より3日後、戴冠式は行われた。
その日の夜は、王城内の広場を使いお披露目のパーティを貴族、名士など王城関係者で約800名で行われた。
多いのか少ないのかは、王都の人口からして、ほぼ二割の人数なので多い方である。
カルロス曰く、王国初の規模と云われ、ジェフリーはドン引きであった。
何故なら、挨拶だけでも10時間を超えて、拘束され続けること確定だからである。
ただひたすら笑顔を浮かべ、言葉を交わすだけでも、かなりの負担でなので、仁からリフレッシュの効果がある回復薬が差し入れされて、その日は何とか乗り切れたのだった。
「お疲れさまでした」
「うぅ、何度駄目かと思ったか分からん。 仁殿のポーションが無ければ、力尽きて居ただろう」
執務室二戻ったジェフリーは、何時もの服に着替え寛いだ。
「まあ、あれは儂でも逃げだすレベルだったな。 だが、最後までやり通したのじゃ、王国の歴史的な規模の戴冠式は、それこそ国王の誇りだ。 今日のことは王国の歴史に残り、語り継がれていくだろう」
カルロスはジェフリーの偉業を称え、仁も肯定する。
「そうですね。 明日のパレードを乗り切れば、人々の記憶にも刻まれ、語り継がれていくでしょうね」
ジェフリーは苦笑いを浮かべ、カルロスは頷いていた。
「夜食の支度が出来ましたよ。 なんと、アリアさまが作った、カレーライスですよ」
「「まことかっ!?」」
「ハハハ、明日は大丈夫そうですね」
夜食のカレーライスが待っていると知った途端、ジェフリーとカルロスは食堂へと駆けていった。
◇ ◆ ◇
一夜あけてパレードを始める為に、仁は馬車の整備をしていた。
「これでよしと、サチコの方はどうなってる?」
「ん、特に怪しい奴は居ないよ」
仁が整備を終えて、サチコに警備状況の報告を受け取る。
「そうか、引き続き警戒を頼む」
「はーい」
サチコは数名の夢魔を連れて、再び王都の街中へと消えていった。
「さて、そろそろ行きますか」
仁は馬車に馬をつなぐ為に、厩へと向かった。
◇ ◆ ◇
仁は馬車に馬たちをつなぎ、城の正面に廻したあと、ジェフリー達が居る場所へと向かった。
「お待たせしました。 馬車の方は支度が整ってますので、準備が出来次第、出発しましょう」
仁が部屋に入ると、着飾ったジェフリーとカルロスがお茶を飲みながら待っていた。
「ん、こっちも後は女性陣の支度が出来れば行けるが、もう少し掛かりそうだな」
「まあ、女性陣の支度が長いのは今さらだしな、ゆっくりと待つとしよう」
「そうですね。 アリアさまも居るんですよね?」
なるほどと一同が納得すると、アリアの姿がないことに気付いた仁が尋ねる。
「うむ、メイド長が張り切っておってな、中々決まらんようだ」
「ハハハ、なるほど。 女神さま待ちでは仕方在りませんな」
「「ん、まったくだ」じゃな」
どうやら今しばらくは決まらんだろうと仁が諦めると、ジェフリーとカルロスも同意した。
◇ ◆ ◇
「これはまた凄い人数だな」
「ええ、ここまでとは思っていなかったですね」
女性陣の支度も整い、馬車へと乗り込んだ一同を待っていたのは、城門前の民衆の人垣であった。
「凄い人数ね。 これって大丈夫なのかしら?」
「安心して下さい。 私の配下が警備にあたり、安全を確保しております」
「ん、夢魔達の警備なら安心じゃな。 ならばそろそろ行こうかの、皆も待っておるしのう」
「「はい」」
カルロスが警備の状況に満足すると、パレードを開始せよと御者に合図を送った。
◇ ◆ ◇
王城より出発した我々は、城門前の大通りをゆっくりと進んでいた。
王都は王城の西側に広がっており、王城は朝日を浴びつつ輝き、夕暮れには赤く染まる、人々によく見える位置にある美しい城である。
そして、王城から西へと大通りが王都の中央部まで延びる形にあり、その大通りに出ると王城が見えるので、大変見通しが良い街であった。
パレードの先頭を儀仗兵が進み、その後を楽団を乗せた馬車が進む。
そして、その後ろに王城の兵士や騎乗した騎士たちが、思い思いに練り歩き、その後方から白馬二頭立ての白塗りの馬車が、ジェフリー達王族を乗せて進んでいた。
では仁とアリアが何処に居るのかは、ジェフリー達の馬車後部に足場を確保してそこに立って乗って居るのであった。
前から見れば馬車の前列がジェフリーとマリアンヌが座り、その後列にカルロスとサリア、マリエル三人で座りその後ろに仁とアリアが立って居るので、カルロス達は余り目立たぬ様にと配慮された配置になって居るのである。
見るからに、ジェフリーとマリアンヌ、仁とアリアが目立つ位置に居るので、カルロス達は雰囲気を堪能していてご機嫌であった。
観衆達は熱狂し、パレードの最後尾へと回りついて歩き始め、仁とアリアの後方にて、一緒に練り歩きパレードを楽しんでいた。
大通りを進み、王都を一周できる横道を北側に曲がり、反時計回りで王都一周するコースへと変わる。
横道を北へと進むと居住区となり、北側へと曲がり進んでいった。
居住区を抜けて、北側にある教会の大聖堂に一度立ち寄り祈りを捧げ、再びパレードを再開する。
人々も再び、思い思いにパレードを楽しみつつ、練り歩きを続行した。
そして、西側商業区へと回り、やがて南側工房職人街へと進み、ほぼ王都を一周する東側行政区へと道を北上して、また大通りへと差し掛かる。
大通りを西へと曲がり、中央部の広場へとパレードは進み、そこで終了となった。
中央部の広場は中央部に水源があり、小さな泉が出来ている。
その泉の前で止まったジェフリー達の馬車は、パレードに参加した兵士達に護られつつ、立ち上がれは民衆に姿を晒す形となる。
そして、徐にジェフリーとマリアンヌは立ち上がり、ジェフリーは演説を始める。
「エルトランド王国に住まう民たちよ。 私が第十六代国王、ジェフリー・エルトランドである。 先日、王城にて王位継承の儀式によって王となったが、これはすべて神の使徒であらせられる勇者と、女神アリア様によって齎された、王者の剣による神々から承認があったればこそである。 皆の者、よく聞け。 これよりこの地は祝福を得る。 その対価は、来たる魔神どもとの戦いに打ち勝つため、神の使徒『勇者』と『女神アリア』様に付き従い、共に戦うと事である。 もし、それが嫌であれば構わない。 戦い以外でも構わん。 この国の礎となって欲しい。 どうか、未来に起こりうる、災厄の日を回避すべく、神々と神の使徒と共に戦って欲しい。 以上だ」
ジェフリーの演説を聞いていた聴衆達は静まり返っている。
そして、ひとりふたりと拍手が起こり、次第に歓声へと変わっていった。
ジェフリーはそれを見て安堵し、帯剣していたミスリルの剣を掲げる。
すると民衆からもそれに応えるようにと、喝采が沸き起こる。
「「「エルトランド王国、万歳!!」」」
「「「ジェフリー陛下、万歳!!」」」
「「「神の使徒勇者様、女神アリア様、万歳!!」」」
中央広場に民衆の声と熱気が溢れ、人々の心に自分たちの希望の光が灯る。
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