王の証
すみません、凄く短いです。
ジェフリーのターンです。
「なるほど、サトシ、もといヒトシ殿はダンジョンの管理をして、なおかつモンスターや様々なアイテムなどを生み出せるというのか」
ジェフリーは仁の説明を、俄には信じることが出来ずにいた。
「はい、ダンジョンが創られた理由は魔獣たちの封印であると、先程の説明でお判りかと思いますが、その封印を維持する為には、人々の力が必要であり、またその人々が協力し互いに強く在らねばなりません。 ですが各種族間の対立により、互いに他種族を排斥、忌避することで瓦解し滅びてしまいました」
「…………」
ジェフリーは、仁の語り口に引き込まれていく。
「そして、魔物達の増加は生き延びた人々を世界の片隅、まさにこの地なのですが、私達の一族も同様にこの地までやってきたのです。 かつて人々が協力し、ダンジョンで魔物達を倒すことで、魔獣たちの封印を担って居たのですが、人々が魔獣の眷族である魔物をダンジョンで食い止めるのを辞めてしまい、ダンジョンから溢れでた魔物によって、ダンジョンの機能である封印も弱まり、現在も魔物で溢れて居るのです」
改めて魔物の存在に、脅威を抱いたジェフリーは訊ねる。
「うーむ、如何すればいいのだ? 我々がダンジョンに赴けばいいのか?」
「いえ、それはやめた方が賢明です。 今の『人間』の力ではまず敵いません。 どれだけ人を送ろうとも、帰ってくることすら出来ないでしょう」
「それ程に危険なのか、では如何すれば……」
ダンジョンの危険性を知りジェフリーは躊躇するが、仁はそこに言葉を畳み掛ける。
「そこです。 まさにそこが重要なのです。 『人族の数』、『獣人族の力』、『魔人族の頑強さ』が在ったからこそ、ダンジョンの封印は保たれて居たのです。 ならば今一度、協力すれば良いのです。 私達ダンジョンマスターは、ダンジョンの封印の管理と、人々の活動を支援する事が本来の役目なのです。 この力を使い、人々を育てモンスターを倒して来たのです」
「おお、ではまだ打つ手があると云うのだな」
仁の言葉に希望を見出し、ジェフリーは問う。
「ええ、幸にも『勇者』様、『剣神』様も現世にいらっしゃるのです。 この機に攻勢に出ずにして如何するというのでしょう。 私は思います。 これこそ天命であり、ここからが闘いなのだと。 勇者様、剣神様とも話し合い、こうして私はこの町へとやって来たのです」
『勇者』と『剣神』という言葉で、改めてその存在を認識したジェフリーは、『天命』の意味を考える。
「な、なんと! て、天命なのか…… うん、そうだな。 でなければ、我々はいずれ滅びてしまうのだったな。 うーん、だが私の力では出来ることも、協力する事も難しいのだ。 如何すれば良いのかすら、判らんのだ……。第一、人々にどう伝えれば良いのだ? 肝心の勇者様や剣神殿が居らずに、なんと伝えれば良いのだ?」
仁はジェフリーの葛藤に、答えを授ける。
「では、これをお持ち下さい」
それはひと振りの剣
「な、なんと! これはまさか……」
金色に輝く、絶大なマナを纏った『神剣』
「はい、これは『王者の剣』。 かつて、古代の勇者様が国を興した時に使ったと云われる『神剣』です」
「なっ!? なん、だと……」
流石に連続投稿で体調がヤバいです。
明日はお休みさせて貰います。




