とある日常
マルスのターンです。
※ジェフリーサイドとは違う時系列でお送りしています。
日別アクセス数で500PVを超え、1位更新となりました。
月別アクセスでも、5000PVを超え、こちらも1位に成りました。
ありがとうございます!
「うー、もうダメだあー……、うっ」
疲労が溜まり、限界を超えたマルスはパタリと倒れた。
「マルスがダルスになったニャー。 今日はここまでニャ、てっしゅー、てっしゅーニャー」
それを見たミケは、マルスを担ぎ上げ、仲間たちに撤収の合図を出した。
「ダルスいうなー! オレはマルスだ!」
ミケに担がれ、撤退を開始したマルスを見て、仲間たちは笑う。
「「「ハッハッハ、ダルスが怒ったぞ!」」」
マルスが『剣神』となってから、約1年が経っていた。
白のダンジョンの攻略も20階層まで進んだが、相変わらず広すぎる階層と、多種多様の敵に一進一退となっている。
変わった事といえば、マルスが攻略組の主戦力と成りつつあった事ぐらいである。
攻略は無理をすると、しっぺ返しが怖いので、仁は無理をするな、戦士が揃う迄は進む事は控えろと厳命されていた。
これは、ある厄介な存在『カメレオンアーミー』というモンスターが出現しているからであった。
『カメレオンアーミー』はその名の通り、己の外皮を変化させ、尚かつ気配を隠すことに長け、これもまた名の通りに軍隊(陸軍)を彷彿とさせる行動をとり、中々に強敵となって居たからである。
◇ ◆ ◇
「ぐおー、ムニャムニャ……」
10階の制御室、今や要塞と化したこの部屋でマルスは爆睡中である。
「ふむ、気持ち良さそうに寝ているな」
「持って帰ってくるにょも大変なのニャ」
首をクキクキと曲げる仕草で、疲れたアピールをするミケである。
「ハハ、すまんな。 これも役目なんだ、よろしく頼む」
「ニャニャッ! 飛んでもニャいのニャ。 ご主人しゃまは悪くないニャ、あたしがキャッてにやってるのニャ」
慌てて滑舌が悪くなったミケの反応を見て、仁は愛らしいなと思いからかう。
「ん、仲が良いのだな」
「フニュ……」
「仁さま、ミケをイジメては駄目ですよ。 可哀想です」
「アリアさまー、フニャ~」
ポフン!と猫変化したミケを、よしよしとあやすアリアは、端からみて飼い猫と飼い主に見える。
現に、アリアはミケをことある毎に可愛がっているからである。
仁はミケに、マルスのサポートを頼んでいた。
それもこれも、マルスのエクストラスキル『明鏡止水』を何時でも使えるように鍛練を重ねないとなと、仁が助言したからである。
『明鏡止水』は、マルスの精神(MND)を高め、一時的に思考加速と反射速度あげ、尚かつ肉体強化が為れることで、使用後の負担が体と精神に蓄積されていく、結果となっていたからである。
当初、『明鏡止水』は、HPとMPを消費して発動するものと思っていたのだが、使用回数を増す毎にHPとMPの消費量が激増されている事が判明。
即座に仁に報告され、使用中止となり、仁が直々に検証に入り、実態が解明されたのであった。
『これでは、命が幾つあっても足りない』との仁の言に、マルスは愕然としたが
『なに、大したことは無い、慣れだよ、慣れ』と云われ、マルスは驚愕したのであった。
そんな頃から1年、今ではすっかり『明鏡止水』を体得し、HPとMPの消費を50に抑えることに成功したのである。
まだまだ改善の余地はあるが、人の身であるマルスには、十分過ぎる成果といえるので、ミケにサポートを依頼したのであった。
◇ ◆ ◇
「ん~、うみゃ~、やっぱりホッケの一夜干しは最強だにゃ~♪」
「うん、これは酒の肴にいいものだ」
「…………」
ミケとレドはホッケを絶賛し、リウに至っては涙を流しながら、ホッケを堪能していた。
今日は月に一度の宴の日として、各種族を集め大宴会を行っていた。
何故、ホッケの一夜干しなのかは、猫又族とリザードマン達の好物が魚であり、かつオーガなどの酒豪達も居るので、酒の肴(魚)を出した事があって、それ以降ホッケが大流行したからである。
問題は『ホッケ』が何処にも生息していない事である。
あまりにも、ホッケ、ホッケとねだる彼等に辟易とした仁は、月に一度なら幾らでも喰わしてやると約束したのが宴の日となり、今や大宴会となってしまったのであった。
「はあ、しゃ~あせだにゃ~」
「そうだな、主人と会えたこと、これに優るものはないな」
「お前たち! この恩義に報いる為にも、我らは主人の矛となり、戦い続けるのだ!!」
「「うるさい! この酔っぱらいが!」ニャー!」
◇ ◆ ◇
「よう、どうだ調子は?」
仁は宴会場の隅に、一人酒をしているマルスを見つけ声をかける。
「お、おう。 まあ何とか、ってところだな」
「そうか、あとは使徒が居るかどうかだが、この様子だとここには居ないかもしれんな」
20階層までの調査は完了したが、使徒の確認は出来ずにいた。
「やはりそうなのか……」
「ああ、このダンジョンにも、魔神の使徒の痕跡はあるが、どれも古いものだったよ。 だが、守護者が見つからない以上、油断するなよ」
白のダンジョンにも、守護者はいるはずなのだが、白も出会った事もないらしく、その所在は不明であった。
「分かった。 もし、オレになにかあったら、これをオレの故郷に……」
「そんな心配は要らないぞ、こっちには女神様が居るんだ。 なにが起ころうと、お前たちは俺が護ってやる、いいな」
「ああ、よろしく頼む」
もしもの事を考えていたマルスに、仁は心配無用と言い聞かせ、なにが在ろうと仲間は護ると、改めて誓うのであった。
ジェフリーサイドとの時系列が近くなりつつあり、若干のズレがあるかもと不安ですが、何かしらお気づきの方は感想にて、よろしくお願いします。




