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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
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告白

ジェフリーのターンです。

※マルスサイドとは違う時系列でお送りしています。





 仁が学校で魔法を教え始めて二週間程が経った。



「んー……、あっ! でたー!」


 小さな女の子の手の先に、小さな火が発生する。


「おぉ、おめでとう。 その調子で練習しようね」

「あい! がんばるー」


「ん″ん″ー…… ハァハァ、むじゅかしぃ」

「んー、そうだねぇ、力を込めるんじゃなく、イメージが大事なんだよ」

「イメージ?」


「うん、火だと熱かったり暖かかったり、お家の台所や暖炉とかで燃えてるのを見るよね。 そういう事を頭の中で想像する事で、魔法を使う切っ掛けになるんだよ」


「んー、わかんないけど、わかったー」

「ハッハッハ、そうか、がんばれー」


 こうして少しずつではあるが、子供たちも生活魔法を覚えていった。


 仁はあれだけ苦労して覚えた魔法を、子供たちがあっさりと使えたのを見た時は正直悔しかったのだが、まあ子供だから頭がやわらかいし、余計なイメージもないのだなと思うことにした。


 実際は、大人達が日常で使っている処を見ている為なのだが、仁はそれに気付いていないのであった。


 マナの感知や扱い方も日常化しているのだから、至極当たり前の事である。

 マナや魔素、またファンタジー世界に生まれてない仁が気付かないのも当然であったりするのだ。



 ◇ ◆ ◇



「う″ーー…… くっ、やっぱり駄目か……」


 ジェフリーは屋敷の庭を使い、生活魔法の練習をしていた。



「ジェフリー様、魔法の習得でしたら、シスターアンをお呼びになっては如何でしょう?」


 ジェフリーは、家令の進言に赤面する。


「分かっている。 だが、この歳にもなって、今更魔法を使いたいなどと、言える訳がなかろう?」


「そうですね。 若が幼少期に訓練をサボらなければ、こんな事には……」


「そ、そうだな。 これも身から出た錆だな」

「どうですか? いっそサトシ様にご相談為さっては」


「うむ、そうだな。 サトシ殿ならば色々と知って居るし、聞きたい事もあるしな、空いてる時間を調整して呼んで貰えるか?」

「承知しました」


「うん、では仕事に戻るとしよう」


 こうして、ジェフリーは日常の公務へと戻り、仁との面会を依頼したのである。



 ◇ ◆ ◇



「すまないな、休日に呼び出してしまって」


「いえ、領主様もお忙しいでしょう。 私の時間など、然程問題なく調整出来ますので、お気になさらずお呼び下さい」


「そうか、だがそうそう甘えた事は出来んのでな、此方も調整するのでよろしく頼む」

「はい、分かりました」


 挨拶も済ませ、ジェフリーは本題を話しだす。


「ふむ、なるほど、魔法を習いたいと、でしたら此方を差し上げましょう」


 仁は懐から、一冊の本を取り出した。


「ん? この本は何だ? 何やらマナが宿っておる様だが?」


「この本は、私が魔法を知る切っ掛けとなった(いにしえ)の魔本、謂わば『古代文明の魔法教導書』です」


「な!? (いにしえ)の魔本だと!!」


 かつて仁が入手した『魔法入門書』である。



 ☆ ★ ☆



「なるほど、生活魔法や基本となる魔法の教導書ということか」


「ええ、古代文明において、一般的に売られていた物ですし、私も複製し持っているのでお納め下さい」


「そ、そうか。 では、有難く使わせて貰おう」



 ジェフリーは、仁から受け取った本を家令に渡し、改めて魔法について聞きたく、質問をする。



「ところで前々から聞きたかったのだが、サトシ殿はどれ程の魔法が使えるのだ?」


 仁は、ジェフリーの質問にどう答えるのが正解か思案する。


「そうでね、その答えは難しいですね。 なので、此方からも質問をしても宜しいでしょうか?」


「ん? そうか、答えづらいか、なら構わんよ」

「不躾の非礼を許して下さり、有難う御座います。 では、一つだけ聞きたいのですが、この世界をどう思われますか?」


 ジェフリーは、仁の質問に面を食らう。


「ん? この世界とはまた大きく来たな。 そうだな、私風情が世界を語るには、まだまだ知らぬ事も多いし、何より王にも成れんのだ。 だからその答えは、分からんとしか言えんな」


 ジェフリーの答えを聞き、仁はほっとした。


 やはり、この人しか居ないと


「そうですか、有難う御座います。 正直に答えて下さり、私も貴方なら伝えましょう。 この世界の現状とこの先にある未来を」


 仁は、ジェフリーの人となりを信じ、神々と仁の関係は隠し、伝えられる真実を話す事にした。



 ☆ ★ ☆



「という事が、今もダンジョンで起きているのです。 信じられないとお思いでしょうが、着実にこの世界は終えようとしているのです」


「…………、ほ、本当なのか? 神がこの世界を放棄したと云うのか……」


「はい、全ては『()()の愚かさ』が招いたと云って良いでしょう」


 ジェフリーは、仁が語ったここ1万年の歴史を聞き、絶望感に囚われる。


「しかし、神々は最後の希望を残して下さりました。 既に『勇者』様は生まれ成長し、魔神の使徒の一人を討ち倒し、また新たな神の使徒である『剣神』様と共に、魔の勢力と戦うべく、遙か東のダンジョンにて奮闘して居ります」


 仁が語る話について行けなく成りつつあるジェフリーだが、勇者や剣神なる言葉を耳にして、我を忘れて聞き直す。


「真かっ!? 勇者様と剣神なる神の使徒様と共に、東のダンジョンで今も戦っていると云うのか!?」


 ジェフリーは興奮し過ぎて、仁の肩を掴み大きく揺すり、唾を飛ばして仁を問い質した。


「ちょっ!? お、落ち着い……」

「お、おお、すまん、つい興奮してしまった」


「いえ、分かります。 私も勇者様に救われなければ、ここには居なかったですしね。 こうして、ジェフリー様や町の衆とも、会うことすら適いませんでした。 全ては、神様の導きがあっての事でしょう」


「そうか、勇者様は居られるのだな」


「はい、私達は先祖代々ダンジョンで暮らし、ダンジョンで色々と学んで来ました。 そして、魔神の使徒の到来によって、ダンジョンに封印されている魔獣たちの復活の時が近いと知り、色々と試しましたが力及ばず、魔神の使徒に囚われ死にかけた処を勇者様に救われたのです」


「ん、信じがたいが、ダンジョンは危険な場所とだけ聞いてはいたが、まさかその奥底には魔獣たちが封印されているというのは初耳だったな」


「はい、おそらくですが、過去1万年の長い時と共に忘れ去られ、その後の魔物達の襲来によって、全てが失われたのでしょう」


「何という事だ。 ご先祖様をこう言ってはなんだが、本当に愚かだったのだな」


「そうですね。 全ては神の教えを蔑ろ(ないがしろ)にし、本来の目的を忘れ、仲違いした事で古代文明は一夜にして滅んだのです」


「なるほど、サトシ殿は所謂(いわゆる)守り人(もりびと)だったのだな」


「はい、全ては伝わっては居ませんが、代々知識の泉と云われる場所を護って居りました。 だからこそ、生き延びる事が出来たのでしょう」


「そうか、なるほどな。 してサトシ殿が居たという『始まりのダンジョン』とやらは、何処に在るのだ?」


「そうですね。 場所はここより遙か北に在るのですが、今は魔神の使徒によって汚染され、大変危険な状態にあります。 本来ならば比較的弱い魔物しか居なかったのですが、今は勇者様方でも危険なので強固な封印にて閉ざされて居ります」


「そうか、ならば貴重な古代文明の知識も封印されているのだな」

「はい、残念ですが、安定期になる迄は近寄らない方が宜しいかと思います」


「分かった。 ダンジョンの事はサトシ殿たちと、勇者様たちに任せるとして、肝心のサトシ殿の事を聞かせて欲しいのだが……」


「ハハ、見逃しては下さらないのですね。 分かりました、ではお教えしましょう。 私の本当の職業は『ダンジョンマスター』なのです!!」


「ダンジョンマスター?」


 仁は勿体ぶって明かしたのだが、肝心のジェフリーには全くの未知の職業であり、それを名乗られても判らず仕舞いであった。


(あ、あれ? ダンジョンマスターって、知られてないとか?)




今更ですが、マルスサイドの話と時系列が違うと書けば良かったと思った次第です。すみません……

またここにある剣神と勇者に関しても、お察し下さい。



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