マルスの覚醒
マルスのターンです。
※ジェフリーサイドとは違う時系列でお送りしています。
レベルがカンストしてから、ひと月が過ぎた頃、マルスは独りで修行に励んでいた。
ただひたすらに剣を振り続け、『草薙の剣』と向き合っていた。
★ ☆ ★
仁に『剣神』を目指せと云われ、何を為べきか判らず、仁に問い掛けた。
仁は考えたが『分からん』と答え、マルスは渋い顔を見せるが、致し方なしと諦める。
マルスは答えを求めて悩んだが、答えを見つけられずヤケになり、白のダンジョンで暴れるのだが、余りにも無茶が過ぎるので、気分転換に昔読んだ剣豪ものの漫画を、幾つか適当に召喚で見繕い、渡してみた。
すると、文字が読めないマルスではあったが、食い入るように漫画にのめり込み、文字の習得すらあっさりとやってのけてしまった。
そんなこんなで、剣豪漫画にすっかりご執心となり『ダメだコリャー』と思っていた仁ではあったが、何やらマルスの様子がおかしいと報告が上がってきて、様子を見に行くと……
粗野で粗削りだったマルスが、見違える程の洗練された動きに変化しており、無心に剣を振り続ける様は、寸分違わず同じ動きを繰り返していた。
『明鏡止水』
敢えて言わずに全てをマルスに委ね、一時期は駄目かもと思った仁だったが、やっと己の弱さを見つめ、向き直ることによって、在るべき様を見出せたようであった。
その姿は、一片の迷いも無く、一切の無駄のない動きによって体現されており、美しいとさえ云えるほどに昇華されていた。
マルス Lv50
侍.new
HP:1248/1248
MP:312/312
STR:260
VIT:208
DEX:195
AGI:195
INT:104
MND:130
LUK:110
スキル
通常:Ex明鏡止水.new
瞬身、転身、心眼
戦闘:Ex空裂斬.new
幻影斬、ダブルアタック
短剣LvMAX、片手剣LvMAX、両手剣LvMAX
称号:剣聖
◇ ◆ ◇
仁はマルスを連れて白のダンジョンにやってきた。
「ここは?」
「うん、まずはマルス君、おめでとう」
「はい? 何がだ?」
「ちょっと待ってろ、今出すから……、えっと、鑑定石は……、あったあった」
仁は鑑定石を召喚して、マルスに渡した。
「こいつを如何するんだ?」
「それは鑑定石といってだな、握りしめて『ステータスオープン』といえば自分のステータスが確認出来るんだ」
「な、なんだと…… ステータスオープン…… あ、こ、これがオレのステータスか」
「うん、始めて見るだろうから説明するぞ、いいか?」
「お、おう……」
仁はステータス表示の各所を説明し、数値の高さや意味を教え、どの位の強さになっているかを丁寧に説明をした。
「な、なんだと、するとオレのステータスだと人間を超えたというのか」
「まあ、そういう事だ。 でだ、これから俺と戦って貰うんだが、全力で掛かってこい、いいな」
「はあ? なんで……」
「ん、理由を聞きたいか?」
「ああ、なぜ仁殿と戦わねばらなんのだ?」
「フッ、それは俺が勇者だからだ!」
仁はマルス向かって、蹴りを放った。
「ぐはっ!」
マルスは仁の蹴りをまともに食らい、床を転げ回り壁際まで飛ばされた。
「お″え″ー! くっ…… クソがあ!」
起き上がったマルスだが、その口元からは血が滴り落ちていた。
「さっきも言ったろ? 全力で掛かってこい!! そして、俺を超えて見せろ!」
「か″あ″あ″あ″ー!! やってやるぜっ!!」
仁の煽りに火が付いたマルスは、全力で攻撃を開始する。
右に左に斬撃を叩き込み、次第にスピードを上げて、手数を増やしていく。
だが、仁はマルスの攻撃を避けることもせず、全ての攻撃を剣と盾によって受け流していった。
「そんなんで、俺を超えることなど出来るかああー!!」
マルスの全力の一撃にあわせ、シールドバッシュで弾き返した。
「ぐはっ!」
またもや床を転がり壁際まで追い遣られるマルスは、床に這いつくばりながら仁を睨みつける。
「か″あ″あ″あ″ーー!!」
立ち上がったマルスは叫んだが、その叫び声が切っ掛けか、様子が一変する。
Exスキル『明鏡止水』を発動させて、全身から余分な力が抜いていった。
「フッ、それでいい。 さあこいマルスよ、そして、俺を斬ってみせろ!!」
仁はマルスの攻撃を受けるつもりで待ち構える。
次の瞬間、マルスの姿はかき消え、仁との間合いを一瞬で詰め寄り、空裂斬を仁の体に叩き込んだ。
「ぐっ!」
モロに空裂斬を腹に受け、仁の脇腹からは血が滲んでいた。
「よし、合格だ」
すると、マルスが意識を取り戻す。
「ん? あ、あれ? オレは……」
「フッ、もう終わったぞ、ほらこれだ」
仁は、自分の腹部に出来た斬撃の跡をマルスに見せた。
「えっ!? それって……」
「うん、見事に斬られたな。ハッハッハ」
仁の脇腹から血が滲み出ているのを見たマルスは狼狽える。
「だ、大丈夫なのか? 血が出ているんだが……」
「ん? ああ、そうだったな。 大丈夫だよ、ほれ」
仁は血で汚れた服を捲ると、何処にも傷は無く、斬られた形跡すら無かった。
「そ、そうか。 良かった」
「うん、まあそういう事だ、気にすんな。 あと、もう一度ステータスを確認してみな」
「ん? ステータスオープン……、な!? なん、だと……」
「ハッハッハ、おめでとう! これで今日からは『剣神』を名乗れるな! ハッハッハ」
仁に言われ、己のステータスを確認すると、そこには紛れもなく『剣神』の二文字が表示されていた。
マルス Lv50
侍大将.new
HP:589/1750
MP:245/375
STR:338
VIT:250
DEX:254
AGI:254
INT:125
MND:156
LUK:132
スキル
通常:Ex明鏡止水
瞬身、転身、心眼
戦闘:Ex空裂斬、Ex斬鉄剣.new
幻影斬、ダブルアタック
短剣LvMAX、片手剣LvMAX、両手剣LvMAX
称号:剣神.new




