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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
78/206

魔術師養成学校開校

日別記録1位、471PV感謝枠?

とにかく読ん下さり、有難う御座います。

ということで、早出しです。


ジェフリーのターンです。

※マルスサイドとは違う時系列でお送りしています。






 米づくりもひと段落した頃、領主ジェフリーの肝いりで、学校で魔法を教えることとなった。


 そこで、子供たちに教える為にはまず大人達からだということで、仁は町の大人達を集めて、魔法の実演会を開いた。


 日頃から使っている生活魔法を披露する大人達は、子供達に良いところを見せようと、様々な工夫を凝らせた生活魔法を見せてくれた。


 中でも、一瞬で薪に火をつけたパン屋の親父さんは、子供達に拍手を贈られ自慢気であった。


 ひと通りの魔法実演会が済んだ処で、仁は子供達に魔法の基礎、さわりを教えていく。



「みんな、どうだったかな? 魔法を使って見たいと思えたかな?」


「「「使いたいです!」」」


「うん、そうだね。 魔法は便利だし、使い方を間違わなければ、人の役にたてる立派な大人に成れるんだ」


「「「おおー」」」


「特にこれからみんなが習う『生活魔法』は、魔法の基礎を習う為の魔法でもあるんだ。 分かったかな?」


「「「はーい!」」」


「ん、皆はお利口さんだし、ひとつおじさんが良いものを見せようね」


「「「ざわ、ざわ」」」

「なんだろう? 何かなあ?」

「ワクワクするなー」


 仁は子供達を背にして、大空に手をかざして火球を放った。



 ドッパーーン!!



 盛大な音と共に、様々な光で色鮮やかな火花が撒き散らされる。


 大空に拡がる火花は、あっという間に消え去り、人々を驚嘆させた。



「な、なんだ!?」

「何? なんだ今の音は? 何が起きた!?」


 仁の放った花火は、カーラの町の住人に、混乱を招く結果となってしまった。



 ☆ ★ ☆



 仁は事の経緯を説明し、町の住人に謝罪した。


「ハッハッハ、そうか、やはりサトシ殿の為業(しわざ)であったか」


「申し訳ありません……」

「いやあ、驚いたぞ、サトシ殿は大魔道士であったのか」


「いえ、大けん……」

「ん? 今なんと?」


「いえ、ただの魔道士です。 ハイ」

「そ、そうか? まあいい。 すまんが、もう一度見せてくれんか? 私もサトシ殿の魔法を、是非見たいのだが」


「えーっと、宜しいので?」

「うん、皆も望んでいよう?」


「「「お願いしまーす!」」」


 仕方ないかと、仁は町中の人々の期待の中で呟き、両手を大空にかざし、火球を数発放った。



ドン!ドン!ドン! ドッパーーン!!



 盛大な破裂音に、観衆は感嘆の声を漏らし、大空にばらまかれた輝きに魅せられていた。



「「「おおー!!」」」

「すげー……」

「ん、すげぇな……」


「おらの魔法は魔法じゃなかった」

「おい、やめろ! サトシさんと比べんな、失礼だろ?」

「そ、そうだな……、すまんかった」


「ボクも魔道士になるー!!」

「あたしもなりたーい!」


 町中で様々なことが囁かれる中、ジェフリーは心の中である決心をする。



『サトシ殿に教えを乞う』と、決めたのであった。



 ◇ ◆ ◇



 魔法の実演会が終わった数日間は、町中で人々の魔法適正を計ることとなった。


 やり方は至極簡単、魔石を握りしめ、生活魔法を使用するだけである。


 火魔法は『世界の根源たる【火】よ、我にその恩恵をもたらせ』


 水魔法は『世界の生命を育む【水】よ、我らにその恩恵をもたらせ』


 風魔法は『世界に溜まる魔素を祓い、マナを運ぶ【風】よ、我らにその恩恵を示せ』


 土魔法は『世界中の生命を支える【大地】よ、その身を示せ』


 光魔法は『この世を照らす導きの【光】よ、我らにその道を照らせ』


 闇魔法は云うまでもなく、闇の眷族しか使用出来ないので、敢えて教えなかった。


 因みに闇魔法は、『大地の奥底に眠る【闇】よ、光を呑み込み敵を討て』である。



 ◇ ◆ ◇



「ふむ、なるほど。 大半が【火】の適正を持っていて、半数が【風】の適正を持っていると……。【水】は1割程で【土】と【光】は皆無であったと」


 ジェフリーは、(サトシ)の報告書を片手にし、結果報告を受けていた。


「はい、傾向としては、生活魔法を使うことは可能ですが、初級魔法まで使える人は100人に1人、中級に至るには万に()()()となるでしょう」


「そ、そうか……、よく分からんが難しいのだな」

「そうですね。 しかし、これは今の事です。 今後の教育と世代交代を繰り返せば、上級に至ることも可能になりますので」


 今後の教育次第で変わると、仁はジェフリーを導く。


「そ、それは真か!?」

「ええ、文献によれば、大魔道士や賢者、聖女など、高等魔術を操り、勇者と共に魔神の使徒を屠ったと在りますので、間違いないでしょう」


「な、なんと! その文献とやらは今何処に」

「すみません、流石に持ち歩くモノではないので、お見せするにはちょっと……」


 仁の説明に食い付き席を立ったジェフリーだが、流石にダンジョンに連れて行ける分けもなく、断るしかなかった。


「そ、そうか……、そうだな。 では、その魔道士が共にした勇者とやらは如何なる者なのかな?」


「はい、勇者とは古来より『神々の使徒』として、この世に生まれ、あらゆる魔を退ける力を秘めた()とされて居ります」


「『あらゆる魔を退ける力』……、ん? 『人』というと、まさか人間(ひと)なのか?」


 ジェフリーはふとした疑問を、仁に問い掛けた。


「はい、その通り、勇者とは『人間』として生まれるそうです」


「な、なんだと!!」


 ジェフリーは、我を忘れて椅子を蹴倒し、叫んでしまった。




いつも読ん下さる方々には、感謝するしかありません。

ユニーク数もですが、PV数の増減で一喜一憂する私には、最高の喜びであります。

底辺をさ迷うこと三月半、唯一の作品評価としてPV数増加は嬉しい限りです。

本当に、ありがとうございます。

これからも、頑張りますので

よろしくお願い致します。



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