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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
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ジェフリーの悩み

ジェフリーのターンです。

※マルスサイドとは違う時系列でお送りしています。





 仁が農地開発を開始してから、3年が経過した。


 初年度の400㎏台から、翌年の9,000㎏台の生産量となり、領主のジェフリー・エルトランドは正式に米の増産を推奨した事で、3年目の収穫量は10万㎏台、100tを達成したのであった。



 ◇ ◆ ◇



「はーい、お待ちどうさまでーす」

「おう、きたきた、これがうめーんだよな」


「ねーちゃん、こっちもハヤシライスたのまあ」

「あいよー。 はーい、エールお待たせー」


 町の宿屋や食堂でも米が出回り、米を炊くことにも、慣れ親しみ始めていた。



 未だに主食はパンであったが、米はこの町の特産物となりだし、王都から買い付けにくる商人も、チラホラと見掛けるようになってきていた。



 そこで仁は、領主のジェフリーにある提案をした。



『生活魔法』を広めましょう。 と提案書を書き、その有用性も付けて進言したのであった。



 この町で教導ができる魔導師は、教会に住むシスタ一しか居らず、魔法を使える者は殆ど居なかったのである。


 魔法を使える人は確かに居るには居るのだが、すべて火起こしと風起こしで、水生成を使える人はシスタ一のみであった。


 仁にとって、こういった状況は看過出来ない事態である。


 何故なら、水田は大量の水が必須であるし、何より生活魔法の流布は、人々の生活向上と清潔な環境をつくる上でも、必要であったからだ。



 ◇ ◆ ◇



「なるほど、生活魔法とは、それ程に重要であったのか……、うーむ」


 ジェフリーは、(サトシ)の書いた提案書を、自室で何度も読み返していた。


 特に、生活魔法で出来る疫病対策と傷病対応の魔法利用方法や、産業発展に必要な魔法を習う上で必要な属性魔法の情報は、王都にも必要なものであった。



「サトシ殿は、いったい何者なんだ? 王宮にいる魔導師共よりも、有用な知識の数々を持っているのに、これまでずっと無名であったとか…… 道具をもたらし、農法をもたらし、米をもたらし、食をもたらし、今度は魔法までも、もたらそうと云うのか……」



 ジェフリーは、サトシの正体を気にしつつ、彼の今後の活躍を確信し、年甲斐もなくワクワクしているのであった。



 ◇ ◆ ◇



 翌日、仁の元に領主からの呼び出し命令が下された。


 仁はやってきた兵士に捕まり、領主館へと連行された。


 連行されて行く仁を見かけた住民は、何事かと兵士に問いかけ行く手を塞ぐのだが、仁が宥めて領主館へと向かって行くと、どんどん人数が増えてゆき、領主館に到着した頃には、デモ隊のような状況になってしまった。



 ◇ ◆ ◇



「なんだ、この騒ぎは!? 何が起きている!」


 ジェフリーは、窓から見える民衆の数を見て、執事に警備に就いている分隊長を呼ぶようにと走らせる。


 しばらくすると分隊長が現れ、何やら気まずい顔をしていた。


 分隊長に問い質すと、サトシの呼び出しに使った兵士が、サトシを捕らえ連行して来たとの事だった。


 怒りを通り越したジェフリーは、分隊長を無視して部屋をでて行き、玄関ホールを抜けて表に出ていった。



 ◇ ◆ ◇



 領主館前に集まった民衆は、領主様が現れた事で静まり返った。



 領主館より現れた人物に、罵声を浴びせていたのだが、まさかその人物が、領主様本人であるなどとは、思っても居なかったからである。


 領主のジェフリーは、民衆の面前に立ち、開口一番に謝罪の言葉を述べた。


「皆の衆、この騒ぎを引き起こした原因は私にある。 何故この様になったかは、私がサトシ殿を呼ぶようにと使いを出した事で起きたと判明した。 本当に済まなかった。 軽率にも兵士に使いを出した事で、その兵士にちゃんとした命令を出さずに、サトシ殿の招待を、連行と履き違えてしまい、この様になってしまった次第である。 なので、部下を含め此度の不始末は私の責任であると思い、謝意を伝えにやってきた次第である。 済まなかった」


 唐突に起こった領主様の謝罪に、集まった民衆は面を食らった。


「そ、そういう事だな。 あ、あれだ、勘違いだ。 そうだよな?」

「お、おう、領主様がサトシさんをとっ捕まえるとか、為るわけねえよな」


「オラも、そうじゃねえかと思っていただよ」

「そ、そうだよな。 なんだ、勘違いじゃ、しょうがねえよ。 さ、帰んべ」


「おう、帰んべ、帰んべ」


 兵士が仁の拘束解き、謝罪を示した事で、民衆はひとり、二人と減って行き、それぞれの居場所へと戻って行った。



「サトシ殿、すまなかった。 私の浅はかな行いを許して欲しい」


「いえ、最初から誤解だと分かっていましたので、どうかお気になさらず、何時も通りになさって下さい」


「うん、すまない……」


 しょぼくれたジェフリーは、仁の言葉で尚更情けなさを痛感したのであった。



 王位継承に現れた牙から逃れるようにと、病床の父王からの手紙を握りしめ、泣く泣く王宮から出された時にも感じた情けなさを、またこうして味わうとは思っても見なかったのである。



 ジェフリーは常々思っていた。



 何をするにも、人を介さねば出来ない事で、出来ないこと、防げないことをどうにか出来ないものかと、考えて居たのだ。



 父母との別れも然り、兄との争いごとも然り、継承争いも然り、部下を含め大臣共の暴走も、全ては自分の思う処とは別のところで間違ったことを引き起こし、止められなかった事ばかりであった。



 そんなある時、一人の男と出逢った。


 その男はふらっと現れては、色々と置いてゆき、人々と協力しては、ことを為していくのである。



 最初は物資、次は物資の供給、その次は農作物、またその次は水田と稲作


 また違う処では、店を出し、素材を買い、道具を作り、食糧を売り、人を雇い、食を広め、人々と笑い、分かち合う


 人々に色々と教え、与え、共に分かち合う姿は、ジェフリーの理想であった。



 そんな彼に何をしたのかが分かった時は、怒りを通り越し、寂しさに似た悲しさであった。




突然ですが、最近の悩みは1話の長さです。

短くなりましたが、書きやすく

読んで下さる人も、以前より増えて居ますし、悩ましい処でも在ります。

今のところ、長く書くと如何しても辛くなってしまい、スキルの無さ、語彙の無さ、才能の無さを感じ、モチベーションも無くなっていくので、更に辛くなってしまう事です。



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