表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
75/206

食糧生産計画

バレンタインデー……、うっ、頭が(ry





 マルスのレベリングも、Lv20を超えたことで、始まりのダンジョンでの修行を一旦中止し、新規の農地開発をすべく、町長と共に領主館を訪れていた。



 仁達は、領主の執務室に通され、ここで待つようにと、待機中である。


 しばらくすると扉を開け放ち、執事を連れた、領主のジェフリー・エルトランドが入ってきた。


「待たせたな」


「こちらこそお忙しいところ、お時間を頂き、有難う御座います」

「有難う御座います」


 町長の礼にならい、仁も礼を述べる。


「いや、この町の発展の為だ、その話をするのに礼など要らぬよ」


「「有難う御座います」」


 町長と仁が礼を述べると、苦笑いをもらし、ジェフリーは執務室の一角にあるソファーへと座った。


 それに続き、着席を促された仁達も、対面へと着席する。


「して、新たな農地開発の話だったか、早速話を聞こうか」


「はい、先ずはこちらをどうぞ」


 領主は町長から資料を受け取り、ざっと目を通した。


「ふむ、水田を増やせと云うのだな」

「はい」


「んー、米とはサトシ殿が持ってきたアレだよな」

「はい、以前にご試食用に納めた、新しい作物です」


 収穫祭の前に、町長と仁は領主館に米を献上したのだが、その時領主が王都に居た為に会えず、仁が日を改めて納品したのである。


「納めた米は、種籾を60㎏を持ち込み苗を育て、それを水田に植えて育てたところ、収穫量は423㎏となり、現在の主要穀物より収穫量が多く、味も申し分ないものでした」


「そうか、そんなに収穫が出来るのか。 だが、今年の麦は豊作と聞いたが、如何なんだ?」


「今年は例年の1,5倍と豊作となりましたが、同等の耕作面積での収穫量を比較すれば、圧倒的に米の収穫量が優るかと思います」


 町長の報告と分析を聞き、領主はサトシに向き直る。


「ふむ、サトシ殿、米を量産するとして、種の方は如何ほど用意出来るんだ?」


「今年収穫した米のうち、種籾として選別した200㎏と、調達先では300㎏の種籾を確保して在ります」


 仁は、多めの報告を入れる。


「なるほど、かなりの量だな。 収穫量だと、どれ位になりそうなのだ?」


「そうですね、今年は幾つか試験的に作付けしたので、一番良い結果が出た方法で作付けして、大凡15倍前後になるかと思います」


「なに!? 15倍だと!」

「はい、最大値で15倍になりました。 少なくとも5,000㎏、5t以上には成るでしょう」


 仁の言に、領主は驚愕するのであった。



 ◇ ◆ ◇



 領主館で農地開発の話を終え、町長と今後の打ち合わせをしたあと、仁は白のダンジョンへとやってきた。



 白のダンジョンの第1階層の最奥部に、新たに拡張された区画がある。


 そこは、通常の手段ではたどり着くことの出来ない、隔離された場所であった。



 10階層の制御室にやってきた仁は、白から何時もの報告を受けた。


「うん、順調そうだな」

「はい、稲もかなり成長して、あと数日後には収穫できる状態になります」


「流石だな、ダンジョンコアの制御力とは、ここまで出来たんだな」

「あ、ありがとうございます。 仁さまが居てこそ、成立すると思いますが、私もここまで出来るとは知りませんでした」


「そうか、始まりのダンジョンでの検証は無駄ではなかったと、そういう事だな」

「はい、貴重なデータをありがとうございます。 以前とは比べられない程に、ダンジョンを制御出来ています」


 白との契約は、ダンジョンの制御だけでなく、情報の共有でも発揮されていた。


 白に提供された仁の情報は、土壌や気温による様々な変化、そしてダンジョンへ与える影響も含め、モンスターをどう管理するかにも重要であった。


 モンスターの発生は食糧にも関係しており、マナの影響によってその分布も変わるのである。


 モンスターが生きていける環境下で、そのモンスターが生きていく為の食糧も発生しているのだが、それが他のモンスターであったとしても、食物連鎖が無い限り、維持が出来る訳もなく、だがその食物連鎖が無い以上、ダンジョンが食糧を生まねばモンスターも餓死して居なくなるのでは? という事で、敵対勢力下の食糧をすべて回収(破壊、殺害を含む)した結果、モンスターは発生するが、異常にレベルの低いモンスターとなり、食糧による影響も検証出来たのであった。


 それ以降、食糧の質を改善し、配下の栄養管理も進んだ事によって、損耗率も下がっていったのは僥倖であった。


 オークの養豚場もその検証に一役買っていたのだが、第1階層のファームでも役に立ったという話であった。


 ダンジョンでの食糧生産はマナの管理で容易くなるのだが、白の管制下によるマナの供給は自在な上に、土壌変化も可能とあって、ファームの現状はとても良好であり、作物の生産能力は異常といって良いほどに高かった。 いや早かったと云うべきものであった。



「しかし、2週間で米が穫れるとか、恐れいったわ」

「通常は半年掛かるのですよね」


「ああ、外だと7カ月程掛かったよ」

「へぇ、随分掛かるのですね」



 収穫量が多くても、時間が掛かる稲作は、現状においては主食としては、たり得なかった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ