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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第三章、人々の暮らし
68/206

日常と非日常

10,000PV達成です。

ありがとう御座いました。





「ありがとう」

「毎度、ありがとうございました」


 無事、出店を果たした仁は店番をしていた。


「ただいまー」

「ん、お帰り、今日はどうだった?」

「うん、まあまあかな」

「そうか、なら午後からの店番はよろしくな」

「はーい」


 サチコは今、()()()の娘『アイ』として、学校に通っている。


 学校は午前中だけなので、店番は仁がしていたのである。


「お昼はサンドイッチがあるから、適当にとってくれ、俺は水田の方にいくから、後はよろしくな」

「分かった、いってらっしゃーい」


 サチコが『アイ』として学校に通うようになって、こうしたやり取りが仁には癒しになっていたりする。


 サチコ自身は余り良く思っていないのだが、仁の娘として学校に通うことは少しだけ嬉しかったので、許容していたのだ。



 ◇ ◆ ◇



「お疲れさまです」

「あ、こんにちはー」

「どうですか?」

「はい、順調に育っています」

「ふむ、いい感じになってきましたね」

「ええ、これもサトシさんの指導があったお陰です」

「いえ、自分もまだ勉強中なので、大したことは出来てませんよ」


 仁が持ってきた種籾を苗床で育て、水田を造り、田植えを行い、試行錯誤しながら現地の人を使い、何とか収穫の可能性が見えてきた処である。


 一応、スキルを使い、情報を検索する事で、種籾の選別方法とか、育苗とか、水田の造り方などは分かったのだが、流石に素人では如何ともし難く、試験的に幾つかに分けて、育てて来たことで何とかなったといえる。


 ぶっちゃけると、現地の人を使っていなかったら、全滅していたと思う仁であった。



 種籾を持ち込んでから、はや半年が経過している。



「いくつか駄目になりましたが、まさかこれ程になるとは思って居ませんでしたよ。これも皆さんの助言があったお陰です」

「そうですか? お役に立てたのなら嬉しいですな」


「それはもう、害虫対策や雑草対策は、私では分かりませんでしたし、大助かりでした」

「まあ、うちらも長年やってきた事ですから、それよりもこの水田という農法は凄いですな」

「そうですね。私も文献が無ければ思いつかない農法でしたね」


「はあ、流石ですなあ、サトシさんは学があるし、色々と道具も工夫されている。 お陰でうちらの畑も今年は豊作だったから、こっちこそ大助かりでしたよ」

「ほう、そうなのですか? それは良かった」


 地元農家とのコミュニケーションは大事だなと、再認識した仁であった。



 ◇ ◆ ◇



 水田の様子を確認後、仁は店舗の裏手にある工房に篭もっていた。


 仁の店では主に食材を扱っているのだが、この町には鍛冶屋が無いので、仁が練習がてらに農具や包丁、調理器具などを作って売っているのだ。


 売り物としてだしている物は、作成で作ったものだが、仁はスキルを活用し実際に作り、鍛冶の練習をしている。


 何故なら、作る音を出す為である


 音も無しに、道具を売っているとか、何処から突っ込みが入るのか分からないので、仕方なしに行っているのである。


(いやあ、やっぱ楽しいな、クラフトはこうじゃないとな)



 ◇ ◆ ◇



「お疲れさん、今日はどんな感じだ?」

「えっと、12540Gかな、フライパンがそろそろ品切れになりそう」

「そうか、後で補充しとくか。店を閉めるから、片付けの方よろしくな」

「はーい」


 こうして、仁達『サトシ一家』の一日は終わるのだが、仁としての活動は、まだ終わらないのである。


「それじゃあ、行ってくるから、留守番たのむな」

「はい、いってらっしゃい」


 仁は、工房の地下にある隠し部屋に入り、設置された魔法陣を発動させ転移した。


 転移先は、遙か東方にあるダンジョンである。


 そう、ミケやレド、リウ達が居たというダンジョンである。



 ◇ ◆ ◇



「よう、お疲れさん」

「ん、お疲れニャー」

「「お疲れさまです」」


 ダンジョン前では、ミケとその配下の者達が警備をしていた。


「で、どんな感じだ?」

「今はー、レドとリウが8階層まで進んでいるニャ」

「そうか、やはり手強いか」


「んー、まあそうニャンだけど、どっちかというとニャ、レドとリウが暴れているだけニャよ」

「はぁ、またか……、まあいいか、あとは何かあるか?」


「そうだニャー、あたしんちの長老たちが揉めてるくらいかニャー?」

「そうか、じゃあまずそっちからだな」

「あいあい、よろしくニャー」


 こうして、仁は夜の活動を始めるのであった。



 ◇ ◆ ◇



 仁はミケ達の種族がいる3階層へと転移した。



「こんばんはー」

「おお! ヒトシさま、丁度よい処に」

「うん、ミケに聞いたけど、今度はなんだ?」

「はい、それがですね……、これなんです」

「ん? なんだこれ?」


 仁に差し出されたものは、白く大きな球体だが、かなりのマナが篭められた珠だった。


 仁が受け取ると、一瞬膨れ、瞬時に元へ戻った。


「なんだ? 鑑定してみるか……」




 ダンジョンコア【白】登録者・田中 仁

 白のダンジョンの核であり、制御を司る宝珠。




「え? ダンジョンコア?」



 次の瞬間、宝珠は弾け、光と共に消えた。



「ふぁー、おはようございます」

「な、なに?」


 仁の腕の中で目覚めた子供は、床に降り立ち挨拶をする。


「お待ちして居りました。マイマスター」

「えっ? えー!?」


 混乱する仁の前で、子供は傅いた。




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