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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第二章、ダンジョンマスターとして
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ダンジョンマスターの戦い



 仁が勇者の称号を得て、10階層以降の攻略に必要な『ホーリーライト』を覚え、現在15階層の攻略を進めている。



 当初、ホーリーライトは闇を祓うことを目的としていたのだが、10階の穴の先にある闇に使用したところ、ダンジョン自体が変質してしまった。


「ふう、今のでDPの5割を消費したので、今日はこれで終わります」

「はい、お疲れさまでした」


 仁は、ホーリーライトの魔方陣を設置して、アリアに作業終了を伝える。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「主、お疲れ様です」

「おう、ただいま」

「ヒトシしゃまー、お帰りなしゃい」

「ハイハイ、貴女はこっちに来なさい」

 アリアはサチコの突撃を阻止して、仁の邪魔にならないようサチコを連れ出した。



「して、ダンジョンの様子は如何でしたか?」

「ん、ホーリーライトは機能しているけど、穴掘りの方が大変だよ、DPが幾らあっても足りない状況だな」


「なるほど、依然として我々の侵入は出来そうにないと」

「まあそうだな、ホーリーライトの影響で、お前は消滅しかねないからな、浄化されたくはないだろ?」

「そうですな、主に浄化されるならまだしも、同行する事が出来ないのが、一番悔しいですな」

「それは、ゴブリンやオーク、ゴブタロ達も同行出来ないんだ、仕方ないよ」


「忌々しいですぞ、闇を祓った途端に、この様な嫌がらせがあるなど、全く以て腹立たしいですぞ」

 リッチは拳に力を込めて、その想いを吐き出した。




 10階の穴の先、闇にホーリーライトを放ち分かったことは、ダンジョンの構造が維持できなくなっていた事だった。


 闇の力によるダンジョンの侵蝕は、かなり進んでいると話には聞いていたが、維持できる時間は1分となく、異変に気づかぬまま進入していたら、生き埋めとなっていただろう。


 ホーリーライトで闇を祓い、ダンジョンの崩壊による撤退には、仁も流石に詰んだと思い、頭を抱えた。


 だが、このままこのダンジョンを放棄する事は出来ず、なにか打つ手はないかと、図書室でダンジョン関連の本を読みあさり、ダンジョンクリエイターというスキルが在ることを突きとめた。


 ダンジョンクリエイターとは、始まりのダンジョンをクリア時に発動する、ダンジョンマスターの為のユニークスキルであった。


 だが、魔神の使徒が侵入したことで、それが不可能になってしまったのだ。


 しかし、仁は諦めず、実験を繰り返し、既存のスキルや魔方陣を使い、ダンジョンクリエイターのように自動生成が出来ないものの、手作業によるダンジョン生成が出来るようになったのである。


 そして、ホーリーライトの魔方陣を組み込むことで闇の侵蝕を防ぎ、ダンジョンの機能が回復可能であると分かり、15階層までを復元する事が出来たのだった。


 これこそが、ダンジョンマスターである仁にしか出来ない、闇との闘いの始まりであり

 闇によって侵されたダンジョンを、光の力によって『始まりのダンジョン』を再生させていく事が、仁よるダンジョンマスターの初仕事となり、今後起こりうる魔神の勢力と、()()()を得る切っ掛けとなったのだ。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 仁とアリアは、昨日設置した魔方陣まで転移し、作業を再開した。


「さて、今日も穴掘りを始めますか」

「はい」


 作業内容は、マップを確認しながら、崩落した土砂や瓦礫を撤去し、そのままダンジョンの形跡に沿って壁や床を設置し、ホーリーライトの魔方陣にて闇の侵蝕を防ぎ、ダンジョンの再生を促すのである。


 この方法に至った経緯はこうである。


 当初に行ったホーリーライトによる闇の浄化は、ダンジョンの崩壊を引き起こしたが、10階より上の階層は無事であった。


 仁は気になっている事を考えた。

 何故崩壊が起きたのか?

 闇による侵蝕によって起きたのであれば、あれ程異質な8階や9階が無事なのは何故なのか?


 やはり、あの闇が要因であろうと仁は考え、図書室の文献を漁り、試行錯誤した結果がホーリーライトによる闇の浄化と、ダンジョンの再生力に任せることにする事が、正解であると結論に達したからであった。



「仁さま、休憩のお時間です」

「ん?あ、もうそんな時間でしたか、ありがとうございます。全然気付きませんでした」


 仁は作業を中断し、アリアの用意した休憩所に移動する。


「いつもすみません」

「いえ、私の役目ですし、趣味みたいなものなので、構いませんわ」


 アリアは、仁が無茶をしないようにと、監視役を買って出たのだが、仁と同行できる者がいない上に、仁と二人きりという、美味しい役に就けたことに喜び、非常に上機嫌であった。


「仁さま、お代わりは如何ですか?」

「では、もう1杯お願いします」

「はい」

 新たに淹れたコーヒーを、仁のコーヒーカップに注いだ。


「こちらもどうぞ」

「ありがとうございます。これはビスケットですか」

「はい、仁さまのものには(かな)いませんが」

「そんなことはないでしょう、では頂きます」

 仁はビスケットをひとつ口にした。


「うん、旨い。これは美味しいですね」

「ありがとうございます。仁さまに頂いたレシピ通りに作りましたが、上手に焼けたので食べて頂こうと思ったのです」

「アリア様は料理だけでなく、菓子作りの才能もあるのですね。 あ、これだと失礼ですね、すみません」

「いえ、これでも沢山練習した方ですし、偶々上手く焼けたのですよ」

「そうなんですか?でも偶々でこんなに美味しいのですから、才能はあると思いますよ」


 仁とアリアは会話を楽しみ、ゆったりと時を過ごした。



 ☆ ★ ☆ ★ ☆



 作業を再開した仁は、マップを確認して15階層の復元が終わりに近いことをアリアに告げた。


「やっと15階の復元が終わります」

「かなり長かったですよね」

「ええ、まさか15㎞ある通路とは思いませんでしたね」

「4日も掛かるとは思いませんでした」

「ホーリーライトの魔方陣はMPとDPを大量に消費しますし、こればかりは仕方ありませんね」

「MP譲渡は出来るのですが、ダンジョンポイントがないのが悔しいですわ」

「ハハ、流石にDPは無理ですね。では、仕上げてしまいますか」

「はい」


 残りの通路と16階層への階段を造り、ホーリーライトの魔方陣を埋め込んで15階層は完成したのである。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 15階層が完成し、中央拠点にて慰労会を開こうと、仁は各拠点に転移して物資を解放して廻った。


 流石に全員を集めるのは断念したが、仲間はずれは良くないと、仁がごねた結果であった。



「はあ、やっと帰って来れたな」

「だから言ったのです、個別に開催すればよいのです」

「流石に疲れましたな」

「うん、すまん。 だけど皆頑張っているんだし、これ位はしてやりたかったんだ」

「仁さまは無理をしすぎです。 これでは、仁さまが一番働いているじゃないですか」

「ですな。 主が我々を思っての行動でしょうが、今回はアリア様が正しいですぞ」

「う……、す、すみませんでした」


 各拠点を巡り、解放した物資で料理を作り、慰労会を実施するだけで、都合10時間以上掛かってしまい、アリアとリッチに説教される仁であった。



 ☆ ★ ☆



「うみゃー、ムグムグ……、プハァ、こりはうまいじょー」

「サチコ、もうちょっとゆっくり食えよ、口のまわりが酷すぎるぞ」

 サチコの口のまわりは、ケチャップやら、照り焼きソースやら、それはもう酷すぎるぐらいベチョベチョだった。


「あい、だけどにゃくなったら食べれにゃいのれす」

「無くなったら作ってやっから、もっと女の子らしくしろ、そんなんじゃ嫁に行けないだろ」

「大丈夫れす、ヒトシしゃまに貰ってもらいましゅ……、ヒテテテ」


「仁さまに、迷惑をかけてるのが分からないのですか? 貰って貰おうなどと、どの口で言っているのです」

 アリアは、サチコのほっぺをつまみミョンミョンしながら説教をした。


「はい、キレイになりましたよ」

「ありがとうございましゅ、アリアしゃま」

「どういたしまて、仁さまと居たいのであれば、もっと礼節を身につけないと嫌われますよ」

「れいしぇつ?」

「礼儀正しく、マナーを学びなさいといっているのです。口の周りにソースをつけてる意地汚い男の子は好きですか?」

「う、嫌でしゅ……」

「さっきの貴女が、どの様に仁さまに見られていたか分かるわよね」

「あい、分かりましゅた……、あちしはレデーになるでしゅ」

「レデーって、それを言うならレディだろ」

「うぅ、レデー……」

「まあ、まだまだ子供だし、食べて寝て、学んで遊んで、もうちょっとだけ大人しくしてれば、何とかなるだろ」

「あい、頑張るでしゅ」

 よしよしとサチコをなでて言い聞かせる仁であった。




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