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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第二章、ダンジョンマスターとして
61/206

10階層到達


 ステータス公開を忘れていました。

 後書きに載せて置きます。

 失礼しました。





 9階層の攻略が本格的に開始され、ほぼ全容が判明した。



「どうですか?被害の報告は出揃いましたか?」

「はい、オークが15名、ホブゴブリンが8名、ゴブリンが36名と、参戦比率1割ほどに死傷者がでました」


「そうですか、では死者数はどうなってますか?」

「死者数はオーク2名、ホブゴブリン1名、ゴブリンに至っては死者は出ておりません」


「ふむ、やはりレベルリングが功を奏したか、死んだ者には悪いが、被害が少ないのは良かった」

「ゴブリンキングが自ら前線に立ち、ゴブリン達の指揮をとって、連携が上手く機能した事が、良かったのでしょう」

「そうか、頑張ったんだな」


「そうですな、これも王の在り方を、主が身を以て示した結果でしょう」

「そうか、それは…… ちょっと待て、如何してそうなる?俺がいつ何をしたというんだ?」

 仁はリッチの意見に反発した。


「相変わらずですな、だからこそ主に付き従う者が多いのも事実ですし、説明をしましょう」

「お、おう……」


「まず、8階層での闘いで疲弊しだした彼らを制止し、ファイアでスケルトン共を駆逐しました。そして、9階層にて、力の差を即時に判断し、撤退を指示しました。そして、部下達に武具を与え、鍛えあげました」

 リッチは勝ち誇ったように、仁にドヤ顔を見せつける。


「顔が近ぇよ、あとドヤ顔のつもりだろうが、お前の顔は表情が無いからな、まったく……、で、何処に王の在り方とやらがあるんだよ」

 リッチはパカッと顎が外れ、ヤレヤレと改めて、口を開いた。


「主殿、情けないですぞ、もっと自覚をもって下さい。もう一度説明しますが、まず自身が戦場に立つことは、王としてあり得ません。しかも、部下ならび雑兵如きを慮る(おもんばかる)王も居りません。そして、自ら()()()()犠牲を払い、敵を駆逐するなど、有り得ない行為です。9階層に至っては、自ら指示をだし判断をくだし、代償より確実性をとり撤退を実行。その後に至っては、部下ならび雑兵全てに武具を与え、鍛え上げるなど、常軌を逸した考えなのです。分かりますか?如何に主が天然でも、こればかりは譲れませんぞ」

 ハァハァと肩で息をして、リッチは仁に訴える。


「そ、そうか、分かった。なるほど、こっちの世界じゃ、俺は普通ではない……、ん?ちょっと待て……、あれ?いいのか??」

 仁はいまいち理解できずにいた。


「もう宜しいのでは?仁さまはダンジョンマスターであり、異形たちの王という称号を持っているのですから、キングも、思う事の一つや二つぐらい在るのでしょう」

「……、分かりました」



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「やっと10階か」

 仁は10階への階段を眺めていた。


「この先の確認が必要だな」

「某はお供しますぞ」

「まあ順当に、リッチ、オッグ、ゴブタロ、コボジロ、ジェットは決定だな」

「私も行きます」

「分かりました。何があるか分かりませんが、手出しはしないで下さい」

「はい……」

 仁達は、キングに9階層からの撤退を指示して、10階層へ下りる支度にかかる。


 装備の確認とアイテムの補充を済ませ、10階層での作戦を立てる。


「以前の話だとひと部屋だったが、魔神の使徒らしき者がいたとある。だが、8階9階の様子だとどうなっているかが分からない。現状の確認と生還の確保が最優先事項で、可能であれば偵察をしようと思うのだが、あと何かあるか?」


「特にないのですが、使徒らしき者がいた時は、どうしますか?」

「そうですね、まずは情報を取得する為にも、交渉しましょうか」

「交渉ですか……」

「ええ、何をしているのかは言わないでしょうが、何かしらの情報を引き出せるのであれば、交渉するのも有りでしょう。まあ余程のバカでも無い限り、得られる情報はないでしょうね」

「では、交渉が出来ない場合は、斃す方向でいくのですか?」

「可能であれば、斃すほうが良いでしょうね」

「「了解しました」」


 作戦も決まり、仁達は10階層へと階段を下りていった。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「予想通りというか、何もないのも拍子抜けだな」

「そうですな、某が確認した時のままとは……」

 10階層は、ただの空洞であった。


 ひと部屋しかない、ただの部屋、というか広すぎて空洞としかいえないのである。

 モンスターが居るわけでもなく、下りて来た階段の対面に、薄暗いが穴が見えていた。



「これって、落ちるしかないのか?」

「どうでしょう?スライムを召喚して、確認してみては?」

「そうですね、やってみましょう」


 スライムを召喚して、穴の側面を這って降りていくスライム達は、スルスルと降り、穴の底へと辿り着いた。


 スライム達は、穴の底の状況を仁に送る。

 仁はスライム達の意志を受け取り、通信で指示をだす。

 スライム達は仁の命令に従い、穴の情報を探っていき、穴の北側に通路が在ることが分かったので、スライム達を撤退させた。



「便利ですな、意思疎通が出来れば偵察も可能とは」

「そうだな、階層が同じなら、マップの方が楽だから、使わないがな」

「それもそうですな」


 マップでの階層間表示は、降りなければ出来ないので、スライム達による偵察はあまり意味がなかったのである。

 何があるのか分からない所へ降りるリスクと、スライムを失うリスクを比べたら、云うまでもないという事だ。


「それじゃあ行ってくる」

 トゥ!と穴に飛び込み、降りていった仁は、穴の深さが思った以上にあり、下方に向かって風魔法を行使した。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 穴の底に無事着地した仁は、穴の壁にライトの魔法を魔法陣で埋め込んだ。


 通常の壁であれば、マナによって認識できるのだが、降りた場所にはマナが殆ど無かった。


 ライトの魔法により、辺りが照らされ、穴の北側に通路を発見する。


「あれか……」


 仁は通路へと向かい、状態を確認する事にした。

 通路に近寄るにつれて、マナが薄くなっていく事に気付き、仁の足は慎重なものへと変わっていった。


「なんだこれ?見えないぞ……」


 通路は在るが、2m先がまったく見えていないのであった。


「嫌な予感しかしないな……」


 仁は通路に入り、闇の中へと消えていった。



 ── ── ──



 仁は暗闇に包まれ、前後左右の感覚がなくなり、足下の感覚すらなかった。


「こりゃ罠だな……、ふむ、テレポートも使えないのか……」


 すると突然明かるくなり、よく見ると、両サイドの壁にある松明に火がついていて、仁の前方へと明かりが灯されていった。


 明かりに照らされ、足下の感覚が戻り、通路の先へと進む。


 やがて通常の先に扉が見えて、近付くにつれて、扉の装飾が見えてきた。


 扉には、天使と悪魔のような彫刻が刻まれており、天使を喰らう魔獣と、それを使役している悪魔という構図が描かれていた。


「なにこれ?陳腐だなあ……、この先に馬鹿が居ますとかの意思表示かな?」


 ギギギィと扉が開き始め、仁は開ききる前に、警戒体勢をとった。


 扉は全開したが特になにも起きず、仁は扉の向こうへと進んだ。


「誰も居ないな、歓迎されていないとか、そんな感じか?」


 中は何もない部屋になっていて、入ってきた扉も消えていた。


 仁は、何も無い部屋の中心に座り込み、やがて眠りだす。




 スウスウと寝息を立て、眠り転ける仁に近寄る者がいた。


 ツンツンと仁の体を突き、その者はほくそ笑んだ。


「ウハハハ!やったじょ!ついに宿敵でありゅ、神の僕を捕りゃえたじょ!」

 仁が寝ていることを確認し、その周りで小躍りを始め喜んだ。



「グフフ、どうしてくれようか、コチョコチョの刑にしようかな、いやしょの前に、じんみょん?が必要だな」

「そうだな、尋問は大事だよな」

「うん、ディーしゃまも尋みょんは大事だと言ってたな」

「そうだな、ディーさまも言っていたな」

「あれ?あちし一人しか居にゃいのににゃんで?」

 ギギギと首をまわすと、仁がニッコリと笑っていた。


「にゃ!貴しゃま!いちゅ起きてゃ!?しゃい眠ガしゅでねみゅったはじゅなのに!」

「ん?寝た?誰が?」

「にゃにゅ!?あちしを欺したのきゃ!」

「そういうことかな」

 仁は、目の前の子供を捕まえた。



「放しぇー!卑怯みょのー!あちしにひでょいことしゅるとょ、ディーしゃまがおしゅ置きにくるじょー!分きゃってるにょかー?分かったにゃら、きゃい放しりょー!」

 怪我をしないように、木綿の布地で簀巻き状になっている子供は、喚き散らしていた。



 ☆ ★ ☆ ★ ☆



「ディーさま、遅いな。いつ頃くるんだ」


 シクシクと泣き鼻水を垂らし、喚くのにも疲れ、布に包まれたままの子供は抗議の声をあげる。


「ごめんなしゃい、ディーしゃまは来ましぇん。あちしはただにょ小間じゅかいなのでしゅ。許しゅて下しゃい……」

 仁はヤレヤレと腰を上げ、子供に確認をとる。


「やっと本当のことを喋る気になったのかな?」

「はい、だから許して下しゃい……、シクシク」

「分かった。でもちょっとした保険は掛けるが良いか?」


「にゃ?にゃにをしゅるんでしゅきゃ!?ま、ましゃか!コチョコチョの刑じゃにゃいよね!?」

「ん?コチョコチョで良いなら幾らでもするが?」

「や、やめてくだしゃい!しょ、しょれだけはやめてぇ!」


「分かったよ、しないから暴れるなよ、でなければ、コチョコチョの刑にするしかないからな、いいな?」

「はい、おとなしくしましゅ。コチョコチョの刑だけは、しないで下しゃい。お願いしましゅ……」

 仁は、子供に巻いた布地を解いて解放した。


「フハハハ、掛かったにゃ!あ、あるえぇ?」

 子供はあっさりと捕まり、仁に両脇を抑えられ、宙に浮いていた。


「さて、コチョコチョの刑にするが良いかな?」

 子供は無言でイヤイヤと首を横に振った。


「いいか?次はないぞ……」

 子供は涙を浮かべ、ウンウンと肯いた。


「ところでお前の名前は?」

「名前はないでしゅ」

「ふむ、種族名で呼ぶがいいか?」

「しょ、しょれは……」

「サキュバスじゃ嫌なのか?ディーさまとやらは、お前のことをなんて呼んでいたんだ?」

「…………、で……、出来しょこない……」

「はい?…………」

 仁は子供の顔をみる。


「お前、捨てられたのか?」

「うっ……、しょ、しょれは……、あちしはディーしゃまに愛しゃれる為に生まれたのでしゅ!で、でも、あちしはチンチクリンのガキンチョだし…………、うっ…………、うぅ……、シクシクシク……」

 涙ぐむ子供サキュバスは、とうとう泣き叫び始めてしまった。



「うみゃ♪うみゃ♪」

 仁がだしたお子様ランチを子供のサキュバスは夢中で食べている。


「う!……、んー!!」

「おいおい、慌てて喰うからだ」

 仁は背中を軽く叩き、オレンジジュースを差し出した。


「これでも飲め、落ち着いて食べろよ、飯は逃げないから」

「あい……、ん!ヂュチュチュー、プハァ、おかわりー!」

「はいはい、少しずつ飲めよ、お腹壊すぞ」

「あい、お前いい奴だな」

「それはいい、腹ごしらえしたら、ここから出る準備をするから、ちゃんと食え」

「ん?ここからは出られないじょ」

「大丈夫だから、早く食べろ」

 部屋を認識したことで、テレポートのスキルが使用可能となっていた。



「はあ、うまかったじょ!」

「そうか、良かったな、いったい何時から食べてないんだ?」

「ん?…………、分からんな、じゅっと前かな」

「そうか、じゃあ帰るから手をだせ」

「ん?こうか?」

 子供は手を差し出し、仁はその手を握った。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「ああ!仁さまご無事でしたか、良かった」

「主殿、心配しましたぞ」

 仁が転移してきて場所は、10階の大部屋だった。


「ただいま、心配をかけてしまい、すみません、ちょっとした確認をしたら、罠に掛かりまして」

「え?罠ですか?それでその子は?」

「ん?見たところサキュバスの子供ですな」

「サ、サキュバスの子供……、まさか仁さまの御子……」

 アリアから、不穏なオーラが漏れ出した。


「ちょ!ちょっと待って下さい。幾ら何でも、この短時間で子供がつくれる訳ないでしょ!」

 仁の言葉で、アリアのオーラは収まり、正気を取り戻した。


「それもそうですね。でも、この三日間、何をしていたのですか?」

「はい?」


 仁には1時間程であったが、アリアの言葉で、事態の大きさを知った。





 田中 仁 Lv47

 ダンジョンマスター

 HP.112800/112800(3s=+5%)

 MP.20304/20304(3s=+5%)

 DP.50000/50000

 STR.188

 VIT.188

 DEX.141

 AGI.141

 INT.282

 MND.10564

 LUK.34

 スキル

 通常.メニュー.マップ.テレポート.情報.通信.監視

 召喚Lv5.作成Lv6.分解Lv5.鑑定LvMAX

 魔方陣LvMAX.生活魔法LvMAX.治癒魔法LvMAX

 火魔法LvMAX.水魔法LvMAX.土魔法LvMAX.風魔法LvMAX

 氷結魔法.MAX

 MP倍加.MP消費半減.HPMP自動回復LvMAX

 経験値倍加.思考加速.詠唱破棄

 身体向上.知能向上.反応速度向上.回復力向上

 戦闘.なし

 耐性.全属性95%無効.状態異常無効.精神異常無効

 加護.異世界の神(不老不死)

 称号.大賢者

   .異形たちの王(各ステータスup)



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