真相、その2
時間が足らず、仁のステータス公開が間に合わない可能性がありますので、次回にもあげます。
7階層のマッピングを終え、特にすべきことは無かった。
めぼしい採集場所や宝箱もなく、7階層のトカゲ駆除くらいしかないので、8階層の攻略を開始する事にした。
「とりあえず、10階層が目標で良いかな」
「そうですね、リッチさんの見た情報ですが、現在は不明なので、10階層が目安になるでしょう」
「某が定期的に調べていれば、良かったのかも知れませんな……」
「仕方ないだろ、4階の守護者なんだし、元々5階層までのダンジョンだったんだろ?リッチは10階まで確認しただけ、まだ管理者の神より勤勉だよ」
「そうですよ、逃亡者である管理者は既に裁かれ、永久追放になったと報告にありました」
「え?追放ですか?何処へです?」
「新規計画の異世界で、永久に虫として転生するらしいですね」
「「はい?」」
「意識はそのままで、神性を剥奪し、虫へと転生させ異界に封印という事です」
「「えぐぅ!」」
「そこまでするとは……、死んでもずっと虫に転生するとか、怖ろしいですね」
「まあ仕方ないですね。せっかく神格を与えられたのですけど、特にする事もなく、数億年ぶりに管理者として赴任した世界で怠惰にすごし、魔神につけ込まれたあげく、魔獣にいいように蹂躙され、使徒が使い潰されたうえに、あまつさえ勝手な理由で逃亡などと、赦されるはずはないのです」
「はあ……、某を創った神は虫になったと……」
リッチは創造主の末路を知り、哀れんだ。
「…………、思ったより重い罪なので、正直びっくりです。因みにどんな神様だったのですか?」
「詳しくは分かりませんが、別次元の世界で神の試練を受けて、神格化した英雄と聞いています。何でもゲームとかアニメやら、MMOがなんたらVRがなんたらとか、よく分からない人だったと、お父様から聞きました」
「…………、日本人かな?別次元の英雄とか、どんな感じなのですか?こことは違う次元なのですよね?」
「ええ、前に創造神様が天界に帰還された話はしましたよね」
「ええ、聞きましたね」
「創造神様は全ての神の頂点であり、次元を越えた存在なのです。そして、あらゆる次元の世界の父であり、私達、管理者の父でも在るのです」
「「………………」」
「ですので、この世界も含め、仁さまが居られた世界も全て、元を辿ると創造神様が存在するので、私達管理者も、どの次元にどんな世界が在るのか把握できないのです」
「はあ……、そうですか……、ん?すると日本人ってなんなんだ?俺も日本人だし、仮想世界でも日本人だったけど、どうなっているんだろう?」
「そうですね、私も分かりませんが何か在るんでしょうね。創造神様が全ての世界を創っていて、その多くの次元で日本人というワードが出てくるので在れば、創造神様が関わっているのかも知れませんね」
「壮大すぎて分かりませんね……」
「ええ、分かりませんし、解ったら、それこそ、そのひとが創造神様である証ですね」
「…………、なるほど、そうですよね、因みに手つかずの世界とかも在るのですか?」
「はい、無数に在ると云われています」
「そうか、すると魔界もそれだけ存在しているんだな」
「怖ろしいですな、主はそんな敵に立ち向かうのですな」
「そうですね、魔界に居る魔神との闘いは、未だに続いています。ですので、逃げ出した管理者が裁かれるのは、当然の事なのです」
「そうだよな、怠惰な神のせいで、俺達が苦労しているんだしな……、まさかゲームしててとか、アニメ見てて、こんな世界になったとか、笑えない理由じゃないよな……、ハハハ……、あり得るな……」
「…………、正解です」
「はあ!?そいつ馬鹿じゃねぇのか?」
「ええ、ですので虫に転生し、永久に虫で在ることが、妥当となりました」
「…………、笑えないけど、仕方ないな、笑えない理由でこうなったんだしな、俺も注意しないとな」
「仁さまは大丈夫ですよ」
「いや、色恋沙汰に現を抜かすことは駄目だと思いまして……」
「「はい?」」
「主、それは違いますぞ、主とアリア様の御子が誕生せずして、何を希望にして、某は生きれば良いのですか!?」
リッチは爆弾を投下した。
「な、なに言ってんだおまっ……!?」
仁は突っ込みどころ満載のリッチに反論しようとした瞬間、全身の毛が逆立つ危機感に襲われた。
「…………、仁さまとの御子……」
「え?ちょっ、アリア様、リッチの戯れ言です。しょ、正気に戻って……」
既に、アリアから得体の知れないオーラが放たれていた。
「わ、わたしは正気です!ですので、何時でも言って下されば、ハァハァハァ」
「ちょま!ま、待って!おい!!リッチ、お前も逃げるな!!」
リッチはこっそり逃げ出した。
「さあ、誰も居なくなりましたわ、ふたりしか…………」
仁は全力でフリーズンをアリアに放ち、アリアを凍らせた。
「……、危なかった。喰われるかと思ったけど、だ、大丈夫だよな……」
次の瞬間、ビキキとヒビがはいり、アリアは復活した。
「ふぇ!?」
「あら?私の服……」
仁は、一目散に逃げ出した。
「ごめんなさーい!!」
アリアの衣服は、氷と共に崩れ去っていた。
こうして、8階層攻略会議は解散されたのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
あれから仁は、アリアに土下座して謝り、新しい服を作り許して貰えた。
女神をひん剥いた割りには、あっさりと許されたので、仁は益々女性というものが分からなくなった。
「本当にその服で良いのですか?」
「はい、動きやすいですし、可愛いので大丈夫です」
アリアが所望した服は、秋○系のメイド服であった。
メイド服に詳しくない仁は、イメージだけで作りあげたのだが、どうやっても野暮ったくなってしまい、ノリで〇葉系のメイド服を作ったら、アリアはそれをいたく気に入ってしまい、ずっと着ているのだ。
美女でスタイルの良いアリアは、誰が見ても女神と認識するのだが、その女神が秋葉〇のメイド服で彷徨くので、仁の〇〇がヤバいことになる寸前であった。
「すみません、アリア様」
「はい、何ですか?」
「えっとですね、その服だと危険なので、別の服にして貰えないですか?」
「え?駄目ですか?」
「駄目ではなく、色々と危険なので、ヤバいかと思いまして……」
「そうですか?分かりました、着がえてきますね」
仁はホッとしたが、着がえてきたアリアはドレスアーマーを纏っていた。
これもまた仁がノリで作ったものであり、ヴァルキリータイプのドレスアーマーであった。
天使の羽根をもち、ミスリル色のドレスに胸当て、小手、腰周りとブーツをミスリルで作り、アーマー部分に、これでもかという位にデザインを施したドレスアーマーである。
「お似合いですね……」
「ありがとうございます。これで万全ですね、さあ行きましょう」
「はい……」
(まあ、メイド服よりは良いかな……)
仁は、色々と諦めたが、アリアは鼻歌まじりの上機嫌であった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
8階層に入り、ダンジョンは一変した。
「なんだこれ?」
「悪趣味ですな……」
「……………」
壁や天井はもとより、全てが骨で埋まっていた。
所々から、うめき声が聞こえ、おどろおどろしい雰囲気で埋め尽くされていた。
「これってゴブリンの頭蓋骨だな……」
「こっちはオークの骨ですな」
「す、すみません、わたしは……」
「アリア様は、この先には進まない方がよろしいかと思います」
「…………、はい、すみません」
どう見てもアリアの様子はおかしかったので、仁はアリアをテレポートで第一まで退避させた。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
「お待たせ、どうだ?変わりないか?」
「はい、してアリア様の容態はどうですか?」
「たぶん大丈夫だろ、第一まで退避させたからな、あそこなら彼女も癒されるだろう」
「なるほど、そうですな」
「それじゃ、先に進むぞ」
「「「「ハイ!」」」」
こうして、アリア不在での8階層攻略が始まったのである。
8階層は色々と酷かった。
骸骨で埋め尽くされているだけでも、緊張感が半端ないうえに、骸骨にまざりスケルトンが襲ってくるのである。
スケルトン Lv40
HP.120/120
隊列で通過中に、突如スケルトンが現れ、囲まれること数十回、また通り過ぎてからの前後で挟み撃ちは序の口で、小部屋に入った途端に壁や天井が崩れ、床からスケルトンが現れ、数百体に襲われるとか、しょうもない攻撃に晒されていた。
「リッチ、なんとかならんか?」
「動いていれば感知できますが、流石にここまで骸骨で埋まってますと、分かりませんな」
「そうか、仕方ないアレをやるか」
「それしか、ありませんな」
「お前たちは、後からついて来いよ」
「「「「ワカリマシタ」」」」
仁はファイアを周囲に放ちつつ、移動を開始した。
仁の後に続く仲間たちは、独り前を進む主を見詰めている。
だが、どう見ても、主が炎上してるようにしか、見えないのであった。
火炎を纏い、周囲を焼き尽くす精霊イフリートといった見た目が、畏怖の念を刺激し、主は最強と改めて認識するのであった。
(あっちいなあ、マジで勘弁して欲しいんだが……)
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「熱かったあー、マジで勘弁して欲しいよな」
「お疲れさまです。しかし、最後まで焼き尽くさずとも、我々を使って下されば、もっと楽に来れた筈ですぞ」
「そうだが、気が休まらないのは駄目だろ、何人脱落したか分からんしな、ここでの戦力低下は避けないと、この先で苦労するだけだろ?」
「そうでしたか、これは浅慮でしたな、失礼しました」
「まあなんだ、単に俺が苛ついていただけだ、気にしないでくれ」
「いえ、主の思いやりは私達が弱い故に、某も精進せねばならないかと思いました」
仁達が休憩していた目前には、9階層に降りる為の階段があった。
「よし、行くか」
「「「「ハイ!」」」」
装備を整え、9階層へと仁達は降りていった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「ここもか……」
「嫌らしいですな」
「とりあえず確認の為に、普通にいくぞ、いいな」
「「「「ハイ」」」」
仁達は辺りを確認しながら前進を続けた。
やはりここでもスケルトンの襲撃に遭い、方針を話し合った。
「案の定、スケルトンだったな」
「ええ、如何しますか?」
「そうだな、この先は確実性が欲しいな」
「確かに、ではレベルアップが必要ですな」
「そうだ、だから一度戻るぞ、そして優位な装備を揃えて、リベンジだ」
「「「「リョウカイです」」」」
そして、仁達は中央拠点へと戻り、装備を整える支度を開始するのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「お帰りなさいませ、仁さま」
「ただ今戻りました」
仁はミスリルの補充を兼ねて、第一に居るアリアの元へやってきた。
「アリア様に報告にきました。あれから9階層まで侵攻しましたが、8階層と同様に、9階層でもスケルトン達に襲われました」
「そうでしたか、では私も……」
「いえ、それは出来ません」
「え?ですが私の浄化であれば……」
「それも駄目です」
「…………」
「アリア様には悪いですが、ダンジョン攻略の為に、仲間たちのレベルアップが必要なのです。ですので浄化は困ります」
「分かりました……、ですが私も一緒に行きます!」
「…………、9階層の瘴気は濃いですが、大丈夫なのですか?」
「……、やはり仁さまはお気づきでしたか、大丈夫です。私のことは気になさらず、仁さまは前に進んで下さい。私はその後をついて行くだけですから」
「分かりました、でも辛い時は言って下さい。でなければ、無理やりにでも、連れ戻しますので、良いですね?」
「はい」
こうして数日間の準備期間の末に、9階層攻略の為のレベルリングが開始された。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
仁達は、可能な限りの物質をスケルトン対策に費やした。
装備をミスリルで統一し、武器は全て打撃系を装備させ、投擲武器は火炎瓶を大量に作り、圧倒的な制圧力を確保して挑んだのである。
8階層に二日、9階層に4日を費やし、かなりの成果を叩き出した。
結果は、ゴブリン達は軒並みLv40を越え、オーク達もLv40に達し、オッグがLv46、ゴブタロ、コボジロはLv45、リッチがLv48と大幅にレベルアップし、ジェットに至っては、Lv50でカンストしてしまった。
しかもその後、ジェットが進化可能などと判明し、仁は舞い上がって喜び、ジェットをモフモフしてしまった。
「うーん、迷うな、ダイアウルフだと狼だし、フェンリルだと魔獣だろ?ケルベロスだと首が3つとか……、どうするよジェット」
「ワフ?」
「う……、やっぱダイアウルフか?んー、フェンリルは……」
「召喚出来ないものも、在るのでは?」
「それか!…………、あ、ダイアウルフはあるな、何故だ?」
「フェンリルとケルベロスはないのですか?」
「ん?…………、ん?ケルベロスはあるけど、フェンリルはないな?どういう事だ?」
「何でしょう?なにかあるのかも知れませんね」
「んー、フェンリルは俺の記憶だと魔獣なんだよな……、たしか神と敵対していた神話があったはず……」
「なるほど、そのせいかも知れませんな」
「では、フェンリルにしますか?」
「いや、やはりジェットに決めさせよう」
仁は、ボールを3つ用意し、それぞれに番号をつけて、ジェットに選んで貰う事にした。
「いいか、1がダイアウルフで2がフェンリル、3がケルベロスだからな、どれがいい?」
「ウォフッ!」
ジェットは迷わず、3のボールを咥えて戻ってきた。
「ん?ケルベロスなのか、分かった、ならケルベロスにしような」
仁はジェットの進化先をケルベロスにした。
するとジェットの姿が変化しだし、毛並みが黒く変わり、ボフン!と煙が立ち込め、ひと回り大きな姿へと変わった。
「おお!!立派に成りましたな」
「ええ、しかもつやつやしてますね」
「な、なんだと、首がひとつとか、ケ、ケルベロスだよな?」
「ウオン!」
「ひっ!……、スゲぇ、迫力」
クゥーンと済まなそうな鳴き声をあげ、ジェットは伏せて仁の前で眼を瞑った。
ジェット【従魔】Lv1
ケルベロス
主人.田中 仁
HP.3000/3000
MP.1000/1000
STR.150
VIT.150
DEX.200
AGI.200
INT.100
MND.100
LUK.100
スキル
通常.EX遠吠えLvMAX
疾走LvMAX.隠密LvMAX.索敵Lv.MAX統率LvMAX
戦闘.体当たり.噛み砕き.引き裂き.足止め.蹴り.火炎Lv1new.吹雪Lv1new.雷撃Lv1new.咆哮Lv1new.爪牙Lv1new
加護.ダンジョンマスター(意志疎通)new
異形たちの王(ステータス強化)new
備考.新たな王に進化を促され、従魔となった狼たちの長。
「うあ!レベル1なのに、メッチャ強いぞ!やったなジェット!」
「な、なんですと!?真ですか?」
「あら、本当にレベル1ですね」
「な、なんと……」
「ウォーーーン!」
「ぐはっ!」
仁達は、ジェットの鳴き声で吹き飛ばされたのだった。
─── ─── ─── ─── ───
田中 仁 Lv47
ダンジョンマスター
HP.112800/112800(3s=+5%)
MP.20304/20304(3s=+5%)
DP.50000/50000
STR.188
VIT.188
DEX.141
AGI.141
INT.282
MND.10564
LUK.34
スキル
通常.メニュー.マップ.テレポート.情報.通信.監視
召喚Lv5.作成Lv6.分解Lv5.鑑定LvMAX
魔方陣LvMAX.生活魔法LvMAX.治癒魔法LvMAX
火魔法LvMAX.水魔法LvMAX.土魔法LvMAX.風魔法LvMAX
氷結魔法.MAX
MP倍加.MP消費半減.HPMP自動回復LvMAX
経験値倍加.思考加速.詠唱破棄
身体向上.知能向上.反応速度向上.回復力向上
戦闘.なし
耐性.全属性95%無効.状態異常無効.精神異常無効
加護.異世界の神(不老不死)
称号.大賢者
.異形たちの王(各ステータスup)
ぎりぎりの時間で書き上がったので、修正と仁のステータス公開が入る可能性があります。
次回は、来週の1月15日(火)17時の予定です。




