始まりのダンジョン
北の森に到着したパーティーは、ダンジョンへ向かう準備をしていた。
森に入ると荷物が邪魔になる時がある。
荷物持ちのマークにも持って貰うのだが、まだ子供の体力では移動速度は落ちてしまう。
「まぁ、こんなもんだろ」
「まだ持てますよ?」
「ガキんちょは無理すんな」
「リッキー、お前のそれは何だ?」
「あ、バレたか」
そっとマークに荷物を渡そうとしたリッキーに、アレクは指摘した。
おちゃらけながら準備を終え、ダンジョンへと出発した。
アレク(26)戦士
リッキー(24)盗賊
カイ(19)弓士
ナターシャ(20)魔術師
そして、マークの5人で進んでいるが、実質4人パーティーである。
ダンジョンに潜るには少し戦力が足りないのだが、何度もこのパーティーで来ているので問題はない。
何故なら、ここのダンジョンは攻略がなされ枯渇しているからだ。
ダンジョンの有用性が知れ渡って25年ほど経った時、それまでわいて出ていた魔物が出なくなったのである。
当時、いきなり魔物が出なくなり混乱状態になる。
ある者は安堵し、ある者は収入が無くなると
また多くの人々が冒険者として居たため、大混乱であったと。
だが、それもしばらくの間であった。
エルトランドの隣国にもダンジョンがあり、枯渇したダンジョンでも、薬草や鉱石といった素材が採取出来たからである。
アレク達の今回の依頼は、採集とダンジョンの調査なので問題はない。
問題があるとすれば、人数が少ない事で重い物や嵩張る物が持ち帰れない事くらいだ。
◇ ◆ ◇
ダンジョンに到着したところで、アレクは皆に指示をする。
「今回の依頼は調査が優先なので、置いていける物は置いていこう」
「あいよ」「了解」
「マークはどうする?荷物番か?」
「いや、連れていく採集もあるしな」
「だってよ、よかったな」
「はい、ありがとうございます!」
「もう何度も来てるからな、問題はないだろう」
アレクはマークに機会を与えて、経験をさせてやるつもりのようだ。
「じゃあ少し休憩したら行こうか」
皆が了解の意を示し、各々が休憩を取る。
☆ ★ ☆
小一時間経った所でアレクが声をかけ、それぞれが準備して暗闇に入って行った。
マークは、緊張しながら皆の後についていく。