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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第一章、始まりのダンジョン
54/206

ホブゴブリンの願い

6階の攻略開始です。




 仁達は、5階からの階段を下り、6階へ到達した。


 「まだ洞窟タイプか、リッチ、前は如何だった?」

 「そうですな、正確には覚えてませんが、6階から変化していったと記憶しています」

 「そうか、よし、いつも通りに行くとするか、ジェット頼むぞ」

 ウォフッと、ひと鳴きして索敵を開始した。


 通路と少し広め部屋が彼方此方にあり、マッピングをしていった。


 「まったく別物ですな、某が来たことのないタイプです」

 「だいぶ前なんだよな」

 「はい、申し訳ないですが、覚えてない程の昔故に……」

 「仕方ないさ、ダンジョンだしな、変わるものなんだろう」


 ウォフッと、ジェットが警戒して姿勢を低くしていく。

 「また来たか……、警戒!」

 仁の声に無言で了解した、オッグ達は戦闘体勢をとった。


 オオカミ Lv25

 HP.75/75


 6階に入り、頻繁にオオカミ達と遭遇している。

 余り強くはないが、素早く数も4~6頭と多く、油断出来ない戦闘が続いていたのだった。


 「しかし、弱いが多いな、皆も気を抜くなよ、特にリッチは狙われているからな」

 「了解です。某の躰にまっしぐらですからな」

 ハッハッハッとリッチが笑い、仁が呆れていた。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 マッピングである程度のパターンが判明し、東の奥まった処に宝箱の部屋を発見した。


 宝箱【中級】

 罠が掛かった宝箱。

 中には武具がランダムで入っている。


 「またか、今度こそ罠には掛からんからな!」

 「そうですな、主は毎度引っ掛かってますからな」

 「な、何故知っている!」

 「皆から聞きました故」

 むぅとむくれた仁は、宝箱の蓋に仕掛けを施し、部屋を出た。


 「準備は出来た、いくぞ!」と、仁は紐を引いたが、宝箱の蓋は開かなかった。


 「ん?………ぬぅ、くっそ重い……」

 「どうしました?」

 「……、重くて開きません。……、どうなってんだ?皆は入るなよ」

 仁は部屋に入り、宝箱を調べた。


 「な、なんだと、蓋じゃないのか!?……、何処だ?」

 仁は宝箱の構造を調べ出した。


 「ん?なにこれ……!?」

 仁が宝箱の蓋部分の突起を押したのだが、押したと同時にふっ飛んだ。


 「ぐぬぬ、なにが起きた……」

 「大丈夫ですか?」

 「大丈夫です。それより宝箱は?」

 「あら……、見当たりませんね」

 「え?…………、あ、あった」

 仁は真上を見詰めていた。


 「またか、何がしたいんだ!!」

 「埋まってますな……」

 「舐めやがって、設置した奴出てこい!」

 怒りの余り、宝箱の中身はどうでもよくなったのだった。



 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆



 仁達は、宝箱の部屋で休憩を取った。


 「毎度だが、頭がおかしい奴なのだろうな」

 「そうですな、武具を渡したくないのですかね?」

 「如何でしょう?必要性はないと思いますが、罠にはめて笑っている気がしますね」

 アリアは真上を指差しながら、憤りの笑みを浮かべていた。


 「ぐぬぬ、まあいいか、もう開けなければ良いだけだしな」

 「そうですな、そうしましょう」



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 部屋から出て、探索を再開した仁達は順調に攻略していた。


 「どうだ?」

 「この近くに在るそうですぞ」

 「そうか、慎重にいこうか」

 「「はい」」

 仁達は、ある場所へと向かっていた。


 「あれか?」

 「ハイ、あそコデス」

 「なら、先ずは偵察だな」

 仁達は、目標となる連中から、隠れながら移動した。


 ゴブリンキング Lv40

 HP.720/720


 「いたぞ、キングLv40か……、40は初めてだな」

 「40ですか、主の魔法なら大丈夫ですぞ」

 「…………、よし覚悟を決めようか、向こうがやる気なら、最初に一発カマスから、フォローよろしく」

 「「「「リョウかい」」」」


 仁は皆を引き連れ、集落へと向かった。



 集落に近づくと、オオカミ達が仁達を威嚇しだし、ゴブリン達が集まりだした。


 「やはりここから来てたのか……」

 「結構倒しましたが、これは多いですな」

 「とりあえず手は出すなよ」

 仁は皆に指示をだし、ひとり前へと進み、声をあげる。


 「俺は田中仁、ダンジョンマスターだ!ゴブリンの長と話しがしたい!」

 オオカミ達が吠え、ゴブリン達が武器を掲げ襲ってきた。

 仁は呆れ、ゴブリン達の中心へとテレポートで転移する。


 「君たちにプレゼントだ」と仁は大量の水を頭上に生み出した。


 次の瞬間、仁がかき消え、水が降り注ぐ

 ダッパーーン!!と地上に叩きつけられた大量の水が一気に拡がり、ゴブリン達を洗い流していった。



 「おお!凄いですな」

 「綺麗になりましたね」

 「まだ臭いけど、まあ仕方ないか……」

 仁達は、集落の外へと流れていくゴブリン達の姿を眺め、落ちつくまでキングの出方を探った。


 「動きませんね」

 「……、同じなのかも知れませんね」

 「まあゴブリンの王ですし、変わらんのでしょうな」

 「もう良いか、ちょっと行ってききす。残党をよろしく……」

 「「はい」」


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 仁は、ゴブリンキングの居場所へと転移した。


 「よう、こっちから来てやったぞ」

 キングは驚きもせず、仁を見詰めていた。


 「ん?あいそのない奴だな。俺は田中仁、ダンジョンマスターだ、よろしくな」


 「……、ダンジョンマスター?」

 「……、それだけか?」

 「…………、フン」

 「はあ、まあいいか。ここはホブゴブリン達の居場所だったそうだな、明け渡して貰いたい。と言っても、行き場がないのだろ?」

 キングは怠そうにしている。


 「どうした、具合でも悪いのか?」

 「………………、ダッタラドウスルノダ」

 「ん?待て本当に具合が悪いのか?ちょっと触れるが良いか?」

 「…………、フン」

 キングは目を瞑り、動く気はなかった。


 仁は鑑定し、情報を探った。

 「これは……、ちょっと待ってろよ」

 仁は第3へとテレポートした。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 第3に転移してきた仁は、工房にて薬の作成準備を開始する。


 「えっと、白と青と……、角?まあ召喚でいいか」

 あれこれと素材を揃え、解呪薬を作り始めた。

 キングは、筋力低下の呪詛を受けていたのである。


 「よし、ディスペルポーション完成、30回に1つか、作成レベル上げないとな……」

 仁は呟き、6階のゴブリンキングの居る場所へと、テレポートした。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 キングの居る広間に転移して来たが、そこにはアリアが待ち構えていた。


 「仁さま?ご無事でしたか」

 「ええ、ちょっと薬を作りに第3に行ってました、あれ?」

 ゴブリンキングは、土下座していた。


 「え!?何してんすか!」

 「はい?ゴブリンキングの治療をしただけですが?」

 「……、ん?治療ですか?解呪ではないので?」

 「はい、ヒーリングで十分です」

 「な、なんだと……、女神の力か、マジかぁ」

 仁はガックリと項垂れたのだった。


 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆


 「どうかな、具合は」

 「カナリカイフクデキ、アリアサマニハ、カンシャシテイル」

 「そうか、ではまた日を改めて来るので、今日の処は養生してくれ」

 「オキヅカイ、アリガタイ、アリアサマニモ、オレイヲシタイト、ツタエテホシイ」

 「分かった、伝えておくよ。ではお大事に」

 仁は、ゴブリンキングの元を辞去し、皆の居る場所へと向かった。


 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇


 「待たせたな、今日は帰ろうか」

 「キングは如何するのですかな?」

 「そうだな……、アリア様、治療ありがとう御座います。でもひとつ問題が、キングがお礼を言いたいといっていました」


 「はあ、それで何が問題なのですか?」

 「なるほど、惚れて居るのですな」

 「そうです。キングは貴方に忠誠を捧げたい様子でした」


 「え?それは困ります。私は仁さまと居たいのです。それなのに、ゴブリンキングと一緒では、機会も減ってしまいます」

 「…………、気持ちは分かりますが、此ばかりは私では、どうにもなりませんので……」

 「そんなぁ……」


 「治療が徒になりましたな」

 「そうだな、もう少し待って頂けたら、避けられた事です。申し訳ない……」

 「…………、如何したら良いのでしょう?」


 「貴方の言葉と対応しだいとしか、ですが、余り期待できないと思います」

 「そうですか、はぁ……」

 仁もアリアと同時にため息をついた。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 仁達は、ホブゴブリン達を第6へ送り、ゴブリンキングと交渉出来そうだと長に伝え、中央拠点へと帰還したのだった。



 「面倒な事になったが、ホブゴブリン達には朗報になったな」

 「そうですな、アリア様の献身の賜物ですな」

 「……、イジメないで下さい」

 よよよと、アリアは悲しむフリをする。


 「褒めてるのですよ?」

 「そうですぞ、アリア様でなければ、ゴブリン達を殲滅した可能性すらあったのです」

 「交渉もし易いでしょうし、私ではとてもすんなりとは、行かなかったでしょう」


 「意地悪です!どうせ私は嫌われて居るのですね……」

 シクシクと泣くマネをするアリアである。


 「すみません、嫌っている訳ではないのです。ただ面倒になってるだけで、意地悪を言って困らせようともしていません……」


 「……、!?ふぇ?」

 仁は拗ねてるアリアを引き寄せ、呟いた。

 「今はこれ以上は出来ません。許して下さい」

 「はい……」


 アリアは仁の胸の中で、甘えたが心はヤッタ一!と叫んで居たのである。

 しかし仁は、これでしばらくは大丈夫だよなと、考えて居たのであった。(やっぱ俺には、まだ恋愛は無理だよ……)



 そんな仁とアリアを監視しているギャラリーの存在がいる場所で、激しい闘いが起きて居るとは思いもしない事である。



 ─── ─── ─── ─── ───



 「此だから男はダメなのよ!」

 「うっせえ!女も似たようもんだろが!」

 「なんですってぇ!?」

 「ああ!?やんのか!?」


 「ヤレヤレまたか……」

 「まあ何時もの事だ、ほっとこう」

 「そうだな、退散するか」

 「どうせ吞みたいだけだよな」

 「いいね、いこいこ」

 「じゃあ、後はよろしくー!」


 二柱の神を残し、神々は避難して行くのであった。



 ─── ─── ─── ─── ───



 数日後、仁達はゴブリンキングとの交渉の為に、ホブゴブリンの長達を連れて、6階のゴブリン集落へと訪れるのだった。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 仁はホブゴブリンの長を連れて、ゴブリンキングとの挨拶に向かった。



 「やあ、元気そうで何よりだ」

 「ア、アリアサマハ、ドウシテイラッシャラナイ」

 「まあ待て、アリア様は今此方に向かっている」

 「ソウカ、デハマトウ」

 「そうしてくれ。まず先に紹介をしようか、今回はホブゴブリンの長も連れて来ている」

 仁は長を促し、話しだした。


 「おハツにおメにカかる、ワシがホブゴブリンのオサだ。コンカイはアイサツにキたが、ヒトシドノはワレワレホブゴブリンのオンジンである、ブレイなタイドはユルせないとシれ」

 どうやら長は、キングの態度に憤り、堪えられなかったようだ。


 「待て待て、今日は挨拶だけにしような、仕事だと思え。キングも分かるよな、もうすぐアリア様も来るんだ、挨拶ぐらい構わんよな?」

 「アア、カマワン、ソレデイツ、アリアサマハクルノダ」

 「はあ、もうそろそろだと思う……、来たようだ」

 「オオ!」

 キングは立ち上がり、仁と長を押しのけ、アリアの出迎えに向かった。


 キングはアリアに近寄り跪いた。

 「ワガアルジ、アリアサマ、ドウカ、ワレノチュウセイヲ、オウケトリクダサイ」

 「嫌です。お断りします」

 アリアは即答し、キングは驚愕した。


 「ナゼデス、ワレノチュウセイハ、アリアサマダケノモノデス」

 「私は仁さまのものです!貴方の忠誠は必要ありません!」

 「ナ、ナン、ダト……」

 キングは固まり、仁も固まった。


 こうして、キングの心は折れてしまったが、仁も流れ弾で大ダメージをくらい、共倒れのようだ。


 仁がへたっている場所に、アリアは駆け寄り腕を差し伸べる。


 「あの仁さま、酷くありませんか?あの抱擁は嘘だったのですか?」

 「え?そ、それはハグ……、黙秘権という事でお願いします」

 「では、今夜は二人きりで過ごすと云うことで宜しいですね?」

 「な、なんだと!?うぅ、分かりました」

 「ありがとうございます♪」


 「ぐぬぬ、解せぬ……」

 「なにか仰いました?」

 「いえ、何も……」

 仁はまんまとアリアの策略…、もとい恋のかけひきに掛かり、誤魔化す事すら出来なかったのである。


 思いの外、ゴブリンキングのダメージが酷く、また後日という事で交渉はせずに、その日は拠点へと戻ることになった。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 中央拠点で、アリアと仁の二人きりで過ごすという約束は果たされ、翌日のアリアはツヤツヤで、仁はシナシナの萎れた状態だった。



 因みに、トランプで神経衰弱を一晩中プレイして、仁が負ける度にハグをするという、バツゲームを与えられたからである。

 (女神の運に、俺が勝てる訳ないじゃないか!)




仁とアリアのイベントはまだ始まったばかりで、アリアの圧勝でありました。

次回の更新は今のところ未定です。

活動報告にて、投稿のお知らせは致しますので、よろしくお願いします。



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