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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第一章、始まりのダンジョン
50/206

5階探索 前編

長くなってしまい、前編となりました。


 オーク2つ目の集落に到着した仁達は、ここを正式に第4拠点とし、分かり易く攻略拠点と呼ぶことにした。


 5階の攻略に入り、既にひと月近くになっているので、きっちりと攻略しようと、攻略拠点となったのだ。

 なんだかんだと、オーク達とのいざこざに、ひと月とか酷いので頑張ろうと思う仁だった。



 攻略拠点の物資を補充し、オークリーダーの元へと向かう。


 「どうかな、問題はないかな?」

 「ハイ、とくニハアリませン」

 「そうか、ならオーク達のことは任せるから、よろしくな」

 「ありがトウござイマス、がんバリマス」

 「じゃあ、何かあったらその時は報せてくれよ」

 「ハイ」


 仁達は、周辺の探索へと出掛けるのだった。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 攻略拠点の北側の通路を探索する仁達は、早くも例の部屋を見つけた。


 そう宝箱の部屋である。

 早速、仁は宝箱を鑑定した。


 宝箱【上級】

 ランダムでアイテムが入っている宝箱。

 レアドロップ率.??%


 「ん?……、レアドロップだと!」

 「どうしました?」

 「アリア様、レアドロップですよ!」

 「レアドロップ?」

 「ほう、ということは運次第で、良いものが入っているのですね」


 「え?………、なら俺じゃ駄目だな」

 「何故です?」

 「私の運は最低値ですし……、コンビニのクジですら当たらないんですよ。ここは数値の高いリッチかオッグだな」

 「では某が開けても宜しいですか?」


 「…………、やはり俺が開ける」

 「分かりました。ではどうぞ」

 仁は意を決し、宝箱を開けた。





















 大賢者の書【レアアイテム】

 大賢者の称号が獲られる本。


 称号.大賢者が獲得されました。


 「な、なん、だと……」

 仁は手に持っていた本を落とし、膝から崩れ落ちた。

 「仁さま!どうなさいました!?」

 「主?本が落ちましたが、ん?……これはこれは」

 「何ですの?……まあ!大賢者の書ですか、さすが仁さまです。やはり(きせき)はあるのですね」




 仁はステータスを確認する。


 田中 仁 Lv26

 ダンジョンマスター

 HP.39000/39000(3s=+3%)

 MP.6240/6240(3s=+3%)

 DP.50000/50000

 STR.78

 VIT.78

 DEX.65

 AGI.65

 INT.104

 MND.10250

 LUK.13

 スキル

 通常.メニュー.マップ.テレポート.情報.通信.監視

 召喚Lv2.作成Lv3.分解Lv2.鑑定LvMAX

 魔方陣LvMAX.生活魔法LvMAX.治癒魔法LvMAX

 火魔法LvMAX.水魔法LvMAX.土魔法LvMAX.風魔法LvMAX

 MP倍加.MP消費半減.HPMP自動回復LvMAX

 経験値倍加.思考加速.詠唱破棄

 戦闘.なし

 耐性.全属性92%無効.状態異常無効.精神異常無効

 加護.異世界の神(不老不死)

 称号.大賢者


 「ヌオォーーーー!またかー!」

 再び崩れ落ちた仁だった。

 (罠か?よりによって大賢者が返ってくるとか……)



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 あれから1時間、休憩をとり平静を取り戻した仁は、探索を再開する事にした。


 宝箱の部屋を出て、30分程の所で6階への階段を発見した。

 「やはりあったか。だが5階の探索を続けよう。まだまだ行ってない場所とかあるしな」

 「「はい」」

 北側に階段があったので、次は南側へと向かう。



 通路を南へと進む仁達は、攻略拠点とは別の開けた場所へとたどり着いた。


 「どうやら、別の集落だな」

 「そのようですな」

 「如何しますか?」

 「まずは行ってみますか、後はそれからです」


 仁が先頭で、アリア.リッチ.オッグ達と続き、集落へと向かった。



 集落に近づくにつれ、住人達が出てきた。


 ホブゴブリン Lv28

 HP.672/672


 ゴブリンとは違い躰が大きく、戦闘向きかもと、仁は警戒した。


 「ホブゴブリンLv28だ、敵対するかも知れん、警戒しても態度に出さないようにな」

 「分かりました」

 皆は肯き、仁の後に続く。


 仁は集落の手前で止まり、呼び掛けた。


 「俺はダンジョンマスターの田中仁という、ここの長と話がしたい」


 仁の呼び掛けに気づいた住人達は、騒ぎ出し集落の手前に集まりだした。

 ざわざわと単語のみで話す声が聞こえ、交渉の可能性を少し期待した。

 しばらくすると、人垣が割れ老人のようなホブゴブリンがやって来た。


 「ワシがオサだが、ナニヨウだ?」

 ホブゴブリンの老人は、流暢な言葉を使い話し掛けて来たのだった。

 「お初にお目に掛かる、俺は田中仁という、ダンジョンマスターだ」

 「うむ、してナニヨウかな?オークキングドモのツカイか?」

 「いや、オークキングは討伐したので別件できた」

 後ろに居るホブゴブリン達が、どよめき大声で騒ぎ出す。


 「シズマレ!!」

 老人の傍らにいるホブゴブリンが一喝し、騒ぎが止んだ。


 「シツレイした、オークキングがシンダとイウことだな?」

 「そうだ。今回は探索に来たところ、偶然ここを見つけ、交渉出来ないかと思い、こうしてやって来た。出来れば、穏便に話し合いをしたい」

 「ふむ、ナルホド、オークがイタからカンチガイしたとイウコトだな?」


 「このオークはオッグという俺の仲間だ。奴等とは全く関係がないが、勘違いをさせてしまったのなら謝罪しよう。すまない、この通りだ」

 仁は腰を折り、頭を下げた。


 「そうか、オークキングはシンダか、ヨカッた。では、カンゲイしよう。まずサイショに、ワシがミナにカワリ、レイをイウ、アリガトウ、カンシャする」

 老人が胸に手を当て、お辞儀をした。

 それを見た、リッチは感心し、アリアはうんうんと頷いていたのだった。



 ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆



 仁達は、ホブゴブリン達に感謝された。


 多くの同胞がオークキングらによって殺されたらしく、数で勝てずに居たところを、仁達がキング討伐という朗報をもたらしたからであった。

 戦って死ぬか、従順するかで議論中だったらしい。


 「我々は丁度良いタイミングできたようですな」

 「うん、まあ思うところもあるが、良しとしようか」


 「私はモンスターである彼等が、この様に話し合いが出来るとは、思いもしませんでした」

 「それは私もですよ。まあモンスターですから警戒は必要ですし、仕方ないのでしょう」

 「そうですな、某もモンスターですが、偶々神が我を創造してくれたからですし、警戒は必要でしょう」


 「いうなれば、オークキング共が最後に残した()()ということだな」

 「なるほど、そうですね」

 「まったくですな」



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 ホブゴブリンの長から色々と状況を聞き、南西の通路の先にオーク達の集落があると判明。

 情報通りであれば、オークの集落は壊滅しているそうだ。


 その情報の確認をする為に、現在その集落跡地に居るのだが、スライム達に処理され、僅かな痕跡しか残されて居なかった。


 「だいぶ前に潰れてたんだな」

 「何もありませんね……」

 「状況からですと数日は経ってますな」

 「そうだな、野良のスライム達なら早くても4~5日は経ってるだろうな」

 「主のスライム達は処理が早いので、あっと言う間ですからな」

 「え?そうですの?」

 「はい、補給基地の側にあったスライムプールは凄絶でしたな。あの様な光景は、主にしか創れないでしょうな」

 「詳しくお願いします」

 「やめろっ!!その話はやめろ!あれは駄目なやつだ!馬鹿が引き起こした、おぞましい事件じゃねぇか!」

 「そうでしたな、失礼しました。アリア様、すみませんが、詳細は控えさせていただきます」

 「残念ですけど、仁さまが駄目というのでしたら、仕方がないので諦めましょう」

 「ありがとう御座います」


 仁はあの憤りを忘れない。

 己の招いた惨状は、未だ鮮明な記憶として残っていたのであった。

 (もっと強くならないと、またアレを繰り返すハメになるじゃねぇか、幾らモンスターとて浮かばれねえし、冗談じゃすませられねえよ)

 仁は命がけだった奴らに、黙祷を捧げたのだった。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 仁達は、攻略拠点へと向かう通路を発見し、一旦戻って昼食を取ることにした。


 「さて、昼食にしよう思うが、俺は今食欲がないから、皆が食べたいものを作ってやろう、何が良い?」

 「あの、大丈夫ですか?」

 「ええ、さっきからイライラが止まないだけで、料理作って憂さ晴らししたいだけです。なので何でも良いので、宜しければお作りしますよ」

 「そうですか……、でしたらハンバーガーなる物をお願いしてもよろしいですか?」

 「ん?そんなジャンクフードでよろしいので?」

 「ジャンクフード?何かは解りませんが、皆さまから絶賛されているとリッチ殿から聞いたのですが、駄目ですか?」


 仁はリッチを睨んだが、リッチは惚けていた。

 「分かりました。でしたら特製チーズバーガーにしましょうか、美味しいですよ」(体には悪いが、旨い方がいいしな)


 仁はアリアご所望のハンバーガーを作るべく、食材を揃えていく。


 バンズは胡麻付きのもの、肉は100%ビーフ、レタスにトマトやピクルス、チェダーチーズをスライスしたものを用意し、調理を開始だ。


 まず食材を下ごしらえしていき、出来たてを食べられるようにする。


 レタスは手でちぎり、トマトをスライスし、大量のトマトをソースへと変えていく。

 ピクルスは付け合わせとして、一口サイズとスライスにしたものにした。

 バンズはハンバーグが出来たらすぐ使えるように、輪切りにしておき、フライドポテトは皮付きのタイプにして、飲み物はコーンポタージュとソーダ水を用意した。


 準備は出来たので、早速ハンバーグを作っていく。


 ハンバーグは少し粗挽きの牛挽肉にして、スパイスを練り込み厚めのハンバーグにする。


 表面を焦がし、熱してある鉄板にのせてオーブン調理をする。

 中心部がカタくならないよう、クシで確認し仕上げるタイミングを計った。


 半分にきって中をみると、うっすら赤身の肉色にジワリと出てくる肉汁が旨そうだった。

 試しに作ったハンバーグをガン見しているアリアだったが、後のお楽しみの為にハンバーグはウルフくんに処理して貰いました。


 もう一度ハンバーグを作り、バンズを温める。

 そして、ハンバーグが焼き上がる頃に、バンズにレタスを並べその上にハンバーグとチーズを重ね、少量のトマトソースをのせる。

 トマトソースがこぼれないようにスライストマトをのせ、バンズにマスタードをぬりのせた。


 そして、出来たてのハンバーガーを包装紙に包み、特製チーズバーガーの完成である。



 「お待たせしました」と仁はトレーにハンバーガーと、ポテトにピクルス、簡単なサラダとスープを乗せて、皆のテーブルへと配膳していった。


 最後に各自お好みでソーダ水が飲めるように、瓶と栓抜きを用意し、「どうぞ、お召し上がり下さい」

と仁が声をあげ、各自が食事を開始しする。


 「これが、ハンバーガーですか。美味しそうな香りですね」

 「どうぞ、お好みでソーダ水もありますので、お召し上がり下さい」

 「ソーダ水ですか?ではひとつ下さい」

 「はい、少々お待ちを」

 仁はグラスを用意し、ソーダ水の栓をぬいて注いだ。

 「お待たせしました」

 「ありがとうございます」

 アリアは一口ソーダ水を飲み、驚いた。


 甘味のあるソーダ水は初めてであり、柑橘系の味と香りがほのかにして、爽やかに口や喉を潤していく。


 「このソーダ水は美味しいですね」

 「そうですか、お気に召したようで何よりです。ハンバーガーや油ものを食べて、口直しのソーダ水はうってつけですからね」

 「なるほど、そうですね。では早速、ハンバーガーを頂きますね」

 「はい、どうぞお召し上がり下さい」


 アリアはハンバーガーの包み紙をめくり、ハンバーガーを出そうとした。

 「待って下さい。その紙は全部剥がさず、包んだ紙でハンバーガーを持ち、少しづつ口でかじり付くように食すのが、食べ方なのです」

 「え?……、そういえば、食器がないですね。なるほど、かじり付くのですか、これは初めてです。神界では食すことすら出来ないのも当然ですね」

 「まあ、ジャンクフードですし、ファストフードはお上品とは真逆の文化ですから、無理もない話です」

 「ファストフードですか?よく解りませんが、頂きますね」


 アリアの初めてのファストフードは、ジャンクフードでもあるが、初体験というものは、甘美なものでもある。


 ハンバーガーを一口かじり、アリアは目を見開いた。


 軽く焼き温めたバンズから小麦の香りと胡麻の味わい、ハンバーグから焼いた肉の味とスパイスの香りに肉汁の旨味が押し寄せ、チーズの濃厚な味とニオイが下卑ているが、すごくマッチしていて相性は最高であった。

 シャキシャキレタスとスライストマトに挟まれ食感とジューシーな味わいが、絶妙なものへと昇華させていくのである。


 こんな冒涜的で野趣あふれる味わいが許される食べ物に、アリアは当惑し、ただその味わいに身を委ねるしかなかったのであった。


 一口かじり、ポテトをひとつ食し、ソーダ水を一口飲む。

 「はぁ……、美味しい……」


 仁はその姿に怯んだ。

 (やべぇ、忘れてた!食わしたらダメな奴だった!見ちゃダメ!〇ロすぐる!)



 こうして、昼食は終了しました。



仁の不運が他人にとっては、喉から手が出るほどに幸運であるが、仁自身には苦行であったのです。

おかえり大賢者、そして始まる苦行の旅はまだまだ続くのです。

頑張れ!仁、また明日があるさ!と前向きに生きる仁に、生暖かい目で見守って下さい。


次回はちょっと分かりません。

出来たら投稿するかも知れません。

一応、火木土の更新は予定通りです。


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