北の森へ
町の北門でアレクと合流したパーティーは、マークを連れて北へ向かった。
カシムの町の北側には森があり、そこでは狩猟や採集ができる。
今回、アレク達のパーティーが目指す場所はその森ではなく、その森の奥にあるダンジョンであった。
そのダンジョンは、200年以上前に発見されたのだが、当時は魔物が棲む洞窟として誰も近寄らなかった。
発見から20年程が経ち、徐々に魔物が北の森に現れるようになった事で、ダンジョンであると公式に認定されたのである。
当時の王ジェフリー・エルトランドは、軍を派遣し森の魔物達を討伐。
その後、少数精鋭によるダンジョンの調査を開始した。
当時のダンジョンとは魔窟であり、とても危険な場所として認識されており、可能ならば封鎖するのが常識だった。
その後、二ヶ月程で調査が終わり、報告がなされた。
ダンジョンからは、様々な物が回収された。
そして、国や人々に多くの恩恵がもたらされる。
アイテムや武具は勿論、魔法の巻物や魔道具、古文書などがあり、特に古文書には、過去の有用な技術が記されていた。
王は歓喜した。
そして、神に感謝し人々と恩恵を分かちあった。
当時の人々は脆弱だったし、とても貧しかったのだ。
古文書に記されていた、土地改良の技術。
それに使われる、様々な薬品や道具の製作方法。
武具などを造る為の、技術や施設建造方法。
当時の技術では、考えも及ばないものばかりであった。
何より、武具製造の技術は非常に有り難かった。
生き残る事が最重要の当時にとって、生存率が上がる武具はなくてはならない物であった。
王は、可能な限りの施設を造らせ、武具をつくり
優秀な人材を集め、作った武具を与えては、ダンジョンに送った。
回収されたきた素材や武具は、再びダンジョンに潜る為に使い、残りは人々に与えた。
そしてそれは繰り返され、多くの富がもたらされる。
こうして、エルトランドの発展は各地へと拡散され、人々はダンジョンへと向かって行くのだった。