罪と罰
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仁達は、オークの集落へと向かっていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
途中の第2拠点により、ゴブリン達の様子や資源回収の調子を調べ、特に問題が無さそうなので、子供達がどうなったを確認したところ、此方も順調だった。
物質を確認し、やはり足りてない物があるようなので、補充をしてから、拠点の様子をみた。
丁度オークの輸送隊が休憩していたので、調子を聞きどうやら、オーク集落で物質が足りていないとの事だった。
工房の物質を使わず輸送隊の仕事を優先していたらしく、足りない物は我慢しているらしい。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
工房に到着し、溜まっていた物質の整理をした。
かなりの量の素材と鉱石類が回収されていて、補給物資が使い回しされていた事が判り、全ての物資を回収し、新たな物資を詰め替えたのだった。
オークの輸送隊もそうだが、ここの集落のオーク達は、まじめに仕事をし過ぎているように思えた。
それは多分、仁との約束事を守って努力していからなのだが、その結果集落の物資が少なくなっても、ここにある物資を使わずに、やり繰りしながら輸送物資の確保をしていたということなのだ。
トラブルでかなり不在となり、迷惑を掛けてしまったと思った仁は、早速オークリーダーの元へと訪れた。
オークリーダーに不在の謝罪をして、経緯を説明した。
オークキングの死亡やジェネラルの様子をリーダーから聴き取ったが、なんの反応もなく未だ不明との事だった。
近い内に調査の必要を感じたが、今は仁のレベリングが先決なので、追々ということになったのだった。
足りてない物資を渡し、物資が置いてある場所を拡張して、今までの2倍の物資を設置することにした。
ここは補給基地として使う方針で行こうと話し、リーダーの了承も得たのだった。
ここの仕事も一旦終了として、とりあえず支配下に置いた、新たな集落へと向かう事にした。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
通路入り口にあるスライムプールに着いたのだが、スライムプールのスライム達は居なかった。
何故なんだと首を傾げる仁にリッチが教えてくれた。
名前もないただの僕では、主から魔力供給がないと、存在を保てないそうだ。
「へぇ」と理解した仁は、ならゴブタロ達はどうして居るんだと聞くと、名前を与えた時点で世界に定着し、存在そのものが固有の存在として残れるという話だった。
どうやら俺の知ってる召喚とは違うようだった。
リッチの場合を聞くと、某は神の造物であり、命令を与えられて存在しているとのことだった。
リッチが消滅するとすれば、それはダンジョンの消滅であり、それ自体この世界の滅亡が起きた証拠らしい。
仁はまだまだ知らない事があると知り、俄然やる気が出て来たのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
途中で色々と素材を回収し、目的の集落に到着した。
早速、ここのオークリーダーの元へと向かったのだが、少し様子が変わっていた。
オークリーダーと再会しようとしたが、彼は死んだそうだ。
詳しく聞くと、オークキングは死亡したが、今ではオークジェネラルが暴れ廻っているらしく、周辺のオークの集落でもかなりの被害が出ているらしい。
「あの状態で生き残ったんだな、俺がちゃんと始末しておけば良かったのか、失態だな」
「いえ、戦は時の運と申しますし、主の失態とかではなく、奴の悪運が勝ったのでしょう」
「そうか?だが種が芽を出したのは、俺が放置したせいだしな、きっちり奴には引導を渡さないとな」
「ふむ、流石は主です。責任と義務を理解し、それを自ら実行する勇気は中々出来ることては在りませんからな」
「お前また元に戻ってきてないか?以前にも言ったが、俺はそんな偉そうな存在じゃないからな、失敗もするし、失態なんて何度でもするだろう。悪いが勇者とか支配者なんてのは俺には無理だ。俺は俺のしたい事をしたいようにするだけだからな、いいな間違えるなよ?」
「これは失礼しました。主は、主のままで、いらしてくれれば良いと心得ておきます」
「うん、そうしてくれ、あと堅苦しく話すのも辞めてくれ」
「しょ…、分かりました」
「よし、仕事するか」
仁は損害と人員の確認をして、ここの集落を任せるオークを決めた。
任せる事にしたオークは、リーダーの部下で言葉が通じた者にした。
彼に一時的にリーダーとして活動して欲しいと仁が言った瞬間、本物のオークリーダーへと変化したのだった。
「マジで?まじで進化したんか……」
「みたいですな……」
「リッチも知らなかったのか」
「ええ、初めてみました。これは興味深いですな、もしかしてダンジョンマスターの力とかですかね……」
「うーん、判らんな、なんでだ?…………、判らんのだし、とりあえずいいか」
「そうですな、図書の資料とかに在りそうですし、後日にしまか」
「今は色々とすべき事が山積みだし、まずは立て直しに専念しようか」
「了解です」
オークリーダーには、警備と防衛の人員確保を命じ、直ぐさま行動に移って貰った。
住民の数を確認し、物資を揃えここの拠点を何処にするか考えた。
拠点は通ってきた通路側の集落の外れに造る事にした。
召喚や作成のレベルも下がり、大したものも出来ないので、簡易的なものを造る予定である。
まずは土台だが、土魔法がないので、またつるはしやスコップで地均しをして、煉瓦を並べ木槌で叩き、その上に床板を並べ作業台を造り、工房とした。
後は掘っ立て小屋の資材を建材にしていき、組み立てていくだけだ。
「よし、準備は出来たし、物資置き場を優先にするか、オッグ達は場所の確保と地均しを住民と協力して造ってくれ」
「わかリマシタ」
「某はなにをしましょう」
「リッチはいつも通りだな」
「そうですな、いつも通り見守ります」
「すまんな……」
「いえ、某はこういった事には向きませんし、役に立てず、すみません」
「まあ、これが終われば、ジェネラル討伐にいくし、その時は当てにしてるからな」
「ありがとうございます」
こうしてリッチの哀愁を余所に、黙々と作業を開始する仁だった。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
集落総出で物資置き場を設置して、物資用のアイテムボックスを100個設置した処で、DPがあと1万を割ったので、今日の物資を最後に召喚を止める事にした。
「いやぁ、1日でやると流石にDPが保たないな」
「おつかれさまです。何事も程々が肝要ですな」
「そろそろ飯にするか」
「そうですな、皆を呼んできましょう」
「ん、ありがとう、なんにすっかな、人数居るし鍋にするか」
仁は大鍋を出し、すいとんを作り、木製のどんぶりに盛って、住人達に食べさせたのだった。
アツアツのすいとんにハフハフと食べるオーク達は、初めての料理に舌鼓を打ち、仁達も皆と一緒にすいとんを食べ、休憩をとるのだった。
仁は考えていた。
オーク達の今後を如何するかを……
オークジェネラルは倒すとして、余所の集落を併せると、オーク達はかなりの数が居るのだ。
間引くなら、それも構わないのだが気分が悪く、仁にはあまり受け入れられないのである。
どうせなら、ジェネラル討伐に使い、共倒れしてくれた方がまだマシなのだった。
だがジェネラルを倒すべきは、仁でなければならない。
そう決めた以上は、オーク達は使えないのであった。
仁は考えるのをやめて、工房の一角に張った天幕に入り、寝ることにした。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
翌朝、目覚めた仁は朝の支度を終え、朝食を取りながら、今後の予定を話した。
「今日は、物資補給が終わりしだい、ジェネラルの討伐に向かうからな、準備の方は頼むぞ」
「分かりました。それでどの様に、侵攻しますか?」
「そうだな、今回も俺達だけで討伐に向かう、あとジェネラルは俺自身が倒さねば、ケジメにならないからな」
「了解しました」
「オッグが一番キツい役になるが、よろしく頼む」
「ハイ、ガンばります」
「ゴブタロとコボジロもよろしくな」
「「ハイ」」
「さて飯も食べたし、片付けたら行動開始だ」
仁達は各々が動き出し、準備を始めたのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
現在、仁達は近隣の集落に向かっていた。
補給を終え、近隣の集落との話し合い(物理的)をしようと思ったからである。
「結構強いな、サポート頼む、俺は頑張って倒すから」
「ワカリましタ」
「スケさんで壁を作りますか」
「ああ、それもいいな頼む」
仁はレベアゲしながらなので、かなりキツい修行になっていた。
レベル10代で、20後半のオーク相手に、勝とうとするのだから当たり前である。
だがその甲斐もあって、レベルはモリモリと上がり、Lv18と成っていたのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
「やっと着いたが、こりゃ酷いな……」
「もう統治どころではないですな……」
仁達は隣の集落だった場所へと到着した。
集落は破壊され、そこには残骸しか残されていなかった。
「なるほどな、だから矢鱈とオークが来てたのか」
「ですな、如何しますか?」
「とりあえず休息にしよう」
「分かりました」
仁は分解で辺りを片付け、天幕を設営した。
もし、生き残ったオークがいて、助けを請うてきた時を想定しての事だった。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
その日の終わりまで滞在したが、襲われた事はあっても、助けを請うオークは現れなかった。
仕方のない事だが、これも自身が招いた結果であると、仁は胸に刻むのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
あれから半日をかけてジェネラルの居る集落へと、たどり着いた。
仁のレベルもLv22となり、魔法も使えるようになった。
以前のようなチートは無いが、ジェネラルには丁度良い実験台になって貰おうと、仁は不敵に嗤っていたのだった。
「さあ準備はいいか?これから馬鹿を討伐に向かう!奴には生き残った事を後悔してもしきれない苦痛を与えなければならない、皆には奴らを可能な限り押し止め、ジェネラルを追い詰めることに尽力して欲しい、ではいくぞ!」
「「「オウ!」」」
「足止めはお任せ下さい」
仁は走り出し、オッグ達もそれに続いた。
リッチは、サモン・スケルトンを使い、スケさん達の軍勢を作り出したのだった。
仁が斬り込み、オッグ達が周りを押し返し邪魔をする。
そうして集まったオーク達の中で、仁がファイアを盛大に使い自爆テロを決行するのであった。
自身に火炎瓶を装着し、派手に燃える仁の姿は異常であり、呼吸してたらマズいレベルだった。
呼吸の限界に達した仁は、大量の水を生み出し火を消した。
「あっつう!これは駄目だ、苦しいだけだな」
「ハハハ、主だけですぞ!その様に無事で居られるは」
「そうだな、流石にもうしないぞあれは」
「そうですな、ヒヤヒヤしましたぞ」
「骨のからだでか?」
「ハハハ、うまいことを言いますな」
互いに笑い、戦場を駆けていくのだった。
オーク達が逃げ惑い、大混乱になり、ジェネラルを包囲しているスケさん達が仁達をジェネラルの居る場所へと導いてくれた。
「よう元気だったか?」
「オ、オマえは……」
「覚えて居ないとは、やはり馬鹿なんだな」
「ナ、ナンダと……」
「まあいい、これからちょっとした実験に付き合って貰うぞ」
「ナニヲする!」
オッグ達が取り抑え、仁は大きな十字の杭を打ち込み、ジェネラルを杭に拘束した。
仁はジェネラルに魔法を放った。
「グッ……、ワダジのアシが……」
水魔法ウォーターがジェネラルの右足を切断した。
「うあ、スパッといったな」
ヒーリングを発動し、ジェネラルの足が生えだした。
「ん?ヒーリングって足生えるの?」
「流石は主、通常は生えませんな」
「んー、まあいいか次いこう」
「ヤ、ヤめろ!」
「遠慮はいらん、たっぷりと味わってくれ」
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
仁の魔法実験は数日間続いたが、ジェネラルの叫びは3日目迄は聞こえたが、やがてなくなり数日後、仁達は去っていった。
因みに、ジェネラルは死んでません、ちゃんと生きています。
ただ無事ではないですが………
───《ステータス》───
田中 仁 Lv24
ダンジョンマスター
HP.36000/36000
MP.1440/1440
DP.50000/50000
STR.72
VIT.72
DEX.48
AGI.48
INT.84
MND.10230
LUK.12
スキル
通常.メニュー.マップ.情報
召喚Lv2.作成Lv3.分解Lv2.鑑定Lv3
生活魔法Lv5.治癒魔法Lv4
火魔法Lv3.水魔法Lv2.土魔法Lv2.風魔法Lv2
戦闘.なし
耐性.全属性92%無効.状態異常無効.精神異常無効
加護.異世界の神(不老不死)
ジェネラルの処刑は執行されました。
仁は甘いところも在りますが、ヤルべきことはやる子です。
ジェネラルの末路は……、恐ろしくて書けません。
次回12/13(木)17時投稿予定です。
よろしくお願いします。




