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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
第一章、始まりのダンジョン
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緊急事態

モフモフはよいものそれだけです。


 拠点に帰還した仁達は一旦休憩をとり、ゴブリン集落へとやって来た。

 勿論、ゴブリン達が全滅したと報告にきたのだ。


 だが仁達が集落に入った途端に、ゴブリンの子供たちが産まれ始めた。

 その数は約100体位になりそうだった。

 リッチがいうには、この集落に存在可能なゴブリンの数が最低100体前後だからだろうとのことだった。

 要するに、オークと闘い死んだ者の産まれかわりなのだそうだ。


 「マジすげぇなダンジョン、見た感じもうおさまったけど、元の数まで増えるのか?」

 「いえ、ダンジョンの階層ごとに制約がありますので、当分は増えることは無いかと思います」

 「そうか、なら大丈夫そうだな」

 仁はほっとしたのだった。


 産まれたばかりの子供たちは、現在成長途中でまだ動けない状態なので、集落の女性達に保護を頼んだ。

 数が数なので、仁達も手伝うがまったく手が足りてなかった。

 とりあえず近場に大きな天幕を張り、そこへ保護することで何とかなったのだった。




 子供達の保護も終わり、集落の大人達を集め、オーク集落での結果を報告したのだが、やはり何となく分かっていたのか、頭を下げ何度も手を合わせていた。

 ゴブリンなりの感謝?らしいが、謝りたい……、いや頭を下げたい思いは仁にはあった。

 こういう時に言葉が通じないのがもどかしい仁だった。

 帰り際に食糧や飲み物、衣類などを使うようにと置いてその場を去った。


 拠点に戻り、今後の戦いの方針をリッチと話し合い、今回手に入れたオークの集落を前線基地にする事になった。


 前線基地にする為にも色々準備しないとな、と思いミスリルを採りに第1拠点へと向かった。



 拠点に到着したが、ウルフの家族が居るだけだった。

 子供達はどうやら仕事中らしく留守だった。

 一緒に昼食をと思ったが、居ないのならば仕方ないので、仁達だけで手軽にすました。


 また後で寄るとオオカミ達に挨拶をして、ミスリルの採掘に向かった。


 ミスリルの採掘現場に到着したが、子供達は居なかったので銀の方だと思い、少し残念に思った。


 何時ものようにオッグが掘り、ゴブタロとコボジロが回収して、仁がインゴットにして保管する流れ作業を2時間程繰り返し拠点に戻る事にした。


 拠点に到着して、まだ子供達が居ないので、アイテムボックス内の補充と保管庫の素材を回収してから、休憩をとり子供達を待ってみた。


 30分程待ったが帰って来ないので、オオカミ達に帰ると挨拶をした。

 すると遠くからワフッと声が聞こえ、振りかえると子供達を乗せたオオカミ達が戻ってくるのが見えた。


 子供達は駆け寄り、仁に挨拶をしてきたので笑顔で迎え入れ、子供達と軽くハグをして無事を確認した。

 帰るつもりだったが、子供達に軽食をふるまい労った。

 仁は子供達が元気にハンバーガーを食べる嬉しそうな顔を見ながらお茶を啜る。

 ああ、こういう感じが生きる喜びだなとしみじみ思うのだった。

 だがふと思った、この子供達は成長が遅いよな、なんでだろうと思いリッチに聞いてみた。

 「なあリッチに聞きたいんだが、こいつらはあの集落の生き残りなんだけど、なんでこの子供達は成長が遅いんだ?」

 「あの集落とは某が滅ぼした集落の事ですか?」

 「ああ、その集落だ」

 「なるほど、それは集落跡地が消滅したせいですな」

 「へぇ、集落の跡地が無くなったらもう成長しないということか?」

 「そうですな、生存権が消滅したら大概は他の要因、食糧の確保または外敵によって死にます故、明確には答えられません」

 「ふむ、そうだよな……、要観察ということだな」

 まだ半月?経ってないよなと指折り数えるのだが、まあいいかと諦めた仁だった。

 そんな仁は思い出した。

 ずっとクリーンだけだったので、風呂に入っていこうとなった。


 水を分解し水だけを戻して、汚れをスライムを召喚して処理をした。

 残った水を作成で沸かし、まずオオカミ達を洗った。

 最初、オオカミ達は洗われることを怖がったが、ウルフが洗われるのを見てやっと洗えたのだが、今ではわれ先にと駆け寄ってくるのだ。

 犬用シャンプーとブラシを見ると、ウルフが仕切らないと大変なことになるのである。

 ウルフが仁の横に座り、ワフッと鳴いて1頭づつ進むので、それを仁が洗いお湯で流す。

 それが終われば、ウルフが次は私だと仁の前に座るのだった。

 普通最初がウルフじゃね?となるはずだが、ウルフは頑なに最後を所望するので不思議だったが

 単に仕切って最後に綺麗になるのが好きなのだと分かった。

 ふっ、何のかんのといってもモフモフは実に良いなと思う仁だった。


 そんな機嫌のいい仁をみて、有能なモフモフのウルフはごきげんであり、最近では仁がオッグ主人で良かったと思っているのだが、肝心の仁は気付いていないのだった。


 オオカミ達を洗い終わり、水を入れ替えお湯を沸かし、次に子供達を風呂に入れるのだった。

 久しぶりのお風呂に子供達は喜び、体と頭を洗いじっくりと温まるのだった。

 そこでやっと仁達の番になり、オッグが仁の背中を流し、仁はお返しでオッグの背中を流した。

 ゴブタロとコボジロも互いに背中を流し、仁達は子供達と湯船で温まるのだった。


 風呂からあがり、休憩をしたところで腹の虫が鳴り、夕食にするかとなった。

 よくよく考えたら、今日はすでに終わってるぐらい時間が経ってる筈だと気づき、仁は皆に感謝と詫びたい気持ちになった。


 なので今夜のメニューはカツカレーにした。

 こういう時こそがっつり食べる仁は昔ながらの習慣だった。

 朝から色々と変なテンションであれやこれやとこなし、あっちでこっちで色々とあって、気付けばやり過ぎたと思いながら、皆と一緒にガツガツとカツカレーを食べるのだった。


 夕食という夜食を終えた仁は、ここで寝ようとベッドに潜り込んだ。

 仁はそのままぐっすりと眠り、朝まで起きなかった。







 仁はふっと起きた。

 あれ?なんか白過ぎてなにもないとか…………


 「起きたかな?」

 「え?」

 「どうやら気付いたみたいだが、どうだね上手くやってるかね?」

 「あ、はい……、神さまですよね?なにも見えないのですが」

 「そうじゃよ、まあ見えないのは今の君の眼では見ることの出来ない神界と壁越しのような状態で繋げたからじゃ」

 「え?じゃあここは精神的な場所とかですか?」

 「まあ似たような場所だが、現在君が居る世界は管理者つまり神が不在でな、私がそちらを補足しきれてないのじゃ」

 「たまたまこうして繋げられたという緊急時だったのでこうなったのじゃ」

 「なるほど……、ところでこの世界の神が不在とか聞こえましたけど、何かありましたか?」

 「ん、まあだからこそこうして連絡出来ないか試みたのじゃ」

 「なので心して聞いてくれ、その世界の神と魔神が争ったと前回説明したのだが、今その世界の神つまり管理者がその世界を捨て既に居ないのじゃ」

 「は?どういうことですか?管理者が不在とかヤバいんですよね」

 「現在、その世界の管理者である者は神界で拘束され、裁きを待っているのだが、その世界の管理者を引き受けてくれる者がおらんのじゃ」

 「よって非常にまずい事態になっておる、あと1,000年程で魔神とその手下である魔獣や魔物を封じ込めてるダンジョンが復活する筈じゃ」

 「え?それってこの世界が魔界になるって事ですよね」

 「そうじゃ、魔界になればその世界は消滅するし、当然君もその世界の生物全ても消滅してしまうだろう」

 「だからそこへ送る管理者候補全員が拒否してしまったのじゃ」

 「はあ?ナンスカそれ!!」

 「俺は、いやこの世界は見捨てられるんですか?」

 「まあそうなるんじゃが、チャンスは出来た、だからこそ心して聞いてくれ、お主がそこの管理者にならんか?」

 「これは私が管理者の統括をしておられる方に直訴して得られた権限を使用し、特例措置による管理者任命を君が受ければその世界は君のものとなり、魔神や魔獣の復活は阻止出来ると思うのじゃ」

 「な、ムリです!管理者とか神とか御免被ります」

 「ただでさえ殺伐としてる世界で殺し合いしてるんですよ、俺には無理です!」

 「…………、分かった、まあ君ならそう言うと統括にも言ったんじゃがな、ちょっと待っておれ」

 「はい?なんすか……」

 「あー、聞こえるかね?田中仁くんだったかな?」

 「え?は、はい聞こえますが……、どちら様ですか?」

 「ふむ、聞こえているようだな、私は神界で管理者たちの監督官であり統括をしているゼノスという」

 「先ほどのやり取りは此方でも聞いていたのだが、本当にいいのか?断ればまず間違いなく魔界になってしまうのだがそれで良いのか?」

 「ぜ、ゼノスさまは何故こんな未熟な私にか、管理者などと、無理です」

 「ただでさえ今日もモンスターですが大量に虐殺して精神病む人間ごときに何をさせる気なのですか?絶対ムリです!」

 「…………、マジでか、マジで神には成りたくないと言うか………」

 「当たり前でしょう!そんな詰まらんもんになって如何すると言うんですか!」

 「ハハハハ……、まさか人間ごときに、そんな詰まらんとまで言われるとは、まさかな言う奴がしかも、監督官統括の私に言うか、ハハハハハハ」

 「よし!決めた私の権限で君に加護を与えよう……、そうだなただ与えるのは詰まらんよな?仁よなにがよい、好きなものをくれてやるぞ」

 「はい?好きなものと言われても困るのですが……」

 「そうか物欲とかも無いのか、それなら女はどうだ?」

 「え?……女性は、そのぉ……」

 「ん?まさかど」

 「ど!〇貞じゃねぇし……」

 「あぁ、ハイハィ……プグッ………失礼、じゃあ私の娘をそちらに送ろうか」

 「ちょ!ゼノス様それは流石にまずいです」

 「いや私が気に入った男だし大丈夫だろ…………たぶん」

 「え?な、なんで娘さんの話しが決まってるんです?それにまずいならお断りしますが?」

 「うん、大丈夫そうだぞ」

 「………分かりました。だがアリア様にはゼノス様が言い聞かせて下さいね」

 「え!マジか……仕方ない可愛い娘の為だしな、と言うことなので私の娘アリアをそっちに送るのでよろしくな」

 「え!ちょ、あ…………」










 仁は汗びっしょりで朝を迎えた。




いよいよアリアさんが登場です。

だが、もう少し先のお話なのでお待ち下さい。


※12/1.執筆活動開始からひと月が経ち、当作をご愛読されて下さり、有難う御座います。

少し思うこともあり、更新期間を変更したいと思いご報告させていただきます。

詳しくは、活動報告に残しますので、よろしくお願いします。

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