プロローグ3
俺と神様は、ちゃぶ台を挟み、座っている。
『では、改めて説明をしようか』
「宜しく、お願いします」
神様は経緯を話しだす。
『この後、君には転移してもらう事になっておる』
俺は、黙って頷いた。
『本来は、1万年前に転移してもらう筈だった、ここまではよいな?』
「はい」
『だが、転移先は神と魔神によって、滅びてしもうた』
神様は、湯呑みにお茶を注ぎ、ひとくち啜った。
(あれ? 今、何処からだした?)
『あれから1万年経ち、転移可能となった訳だが』
神様は、新たな湯飲みを出し、お茶を注ぎ、俺の前に置くと
何処からともなく茶菓子を出し、ちゃぶ台の真ん中に置いた。
俺は、余りにもスムーズな所作に見とれ、反応出来ずにいた。
(ちょ! 今のなに? どっから出したの?)
「あ、有り難う御座います」
俺は思わず頭を下げる。
『では、転移前に詳しい状況を説明しよう』
俺は緊張しながら頷き、御言葉を待つ。
『現在の彼の地は、以前と比べればかなり厳しいが、その反面安全な土地となった』
俺は少し息を吐き、ほっとした。
『だが、まだ油断は禁物じゃ』
神は、ひとくちお茶を啜る。
『ここからが本題じゃが、君にはダンジョンマスターとして、活動して欲しいのじゃ!』
神様は、俺をビシッと指差し、ニヤッと微笑んだ。
☆ ★ ☆
俺は、お茶を啜りながら、話しを聞いているのだが
どうやら神様は、俺が動揺していない事が、面白いらしい。
俺は、仕事の話をする時は、相手の目を見て、黙る傾向があるのだが、それが良いらしい。
転移先の情報を色々と教えてもらい、話が終わった後も神様は上機嫌に語り、お茶を啜っては茶菓子を食べている。
何でも、ここまで気分良く話をしたことが無かったらしい。
俺も、お茶を頂きながら茶菓子をご馳走になった。
『では、そろそろお別れじゃな』
神様は、少し寂しそうに微笑んでいる。
「色々と、有り難う御座います」
『もう大丈夫だと思うが、無理せずやりたいようにすると良いじゃろ』
「はい、頑張ります」
俺は、深々と頭を下げた。
『では、良い結果を祈っておるぞ!』
足下が徐々に光り、視界が無くなっていく中、俺は別れの言葉を叫んでしまった。
そして、新天地へと旅立った。