レベルアップ
仁回の始まりです。
神に見送られ、仁は異世界にやってきた。
そこは、その世界で比較的安全な場所であり、安定した土地だった。
「ん、ここが異世界か……」
独り言が、不安を煽る。
とりあえず、安全確認だよなと辺りを見回す。
「森の外れか……、人は居なそうだしどうするか」
そうだ、メニューがあるんだった。
ピロンと音が聞こえ、視界の隅にメニューが表示された。
「えっ!?…………マジで?」
ゲームのような演出に面喰らい、少しだけ神様のいたずらに感謝した。
若干、動揺していた事に気付き、一息つけた。
メニューにマップとあったので、押してみた。
だが、指先はすり抜けて押せない
どういう事だ?と思うと、マップの表示が薄く光っている事に気付いた。
なるほど、意識的に押すのか、と判り押してみた。
するとメニューの反対側の隅に円形のマップが表示された。
ちっさいなと思うとまた光っている
ほう、これも意識的に変わるのかと押してみる。
すると、視界全てに上から見た周辺の様子が映し出された。
焦って閉じろと念じ、マップは消えたが、動悸は止まなかった。
「あぁ、びびったぁ……いきなり全画面表示は焦ったな」
周りを見渡し安全確認して、もう一度マップを開く
全画面表示以外の表示を念じてみたら、ウィンドウタイプになりサイズも変えられたので使い易い大きさに調整した。
一息ついて、マップを確認し森以外ないので、範囲拡大を念じてみると森の奥に何かが映った。
そこを拡大表示してみると、洞窟の入り口のような窪みがある大きな岩があった。
どう見ても違和感があり、如何するかと悩んでいると、角度が変わり洞窟の入り口が前から見ている表示に変わった。
「はい?……なにこれ?」
これって、何でも観れるんじゃね?と思いそっと閉じた。
ちょっとだけ興味はあるが、これはダメな機能と思い止まり、洞窟に向かった。
行くところも当てもなく、ダンジョンマスターだしと洞窟にやっては来たが、不安は募る。
しかし、こうしていても時間の無駄だと思い、恐る恐ると慎重に伺いながら奥を覗く……
こういう時こそマップだろと、一度洞窟を出た。
安全確認は大事とばかりに辺りを見渡し、何も無いとマップを開いた。
するするとマップを操り洞窟内を見て回った。
30分ほど見た所で、奥に人型の生き物を見つけ、画面の表示を近寄らせるとそこにはゴブリンらしき姿が映されている。
「これ、ゴブリンじゃね?……マジかぁ、初遭遇はゴブリンかぁ」
如何する?倒すのか?いやダンジョンマスターだしコミュニケーションか?いやいやヤバいよなゴブリンだしなと、数分悩んだが戦闘ありきで何かないかとメニューを漁った。
メニューの中に「召喚」「作成」を見付けこれはと思い試してみた。
召喚はDPが必要で呼べそうなものは無かった。
では作成はどうだと思い試したが、どうやら素材が必要らしく作れるものが無かった。
何か無いかと思い辺りを見渡したが森の木と雑草だらけで何も無い。
う~んと考え棍棒ぐらいは作れるんじゃないかと作成で棍棒を探してみたら素材が表示され、木材だけで可能と判り早速作ってみた。
「結構重いけどこれなら」と振り回す
意を決して棍棒を握りしめ洞窟内に入り、慎重に歩みを進め目標の場所へと辿り着いた。
視界の奥にゴブリンらしき影が見え観察しているとメニューが開き鑑定のコマンドが光っている
これはと思い押すとゴブリンのステ一タスが表示された。
ゴブリン Lv2
HP.15/15
これだけ?と思ったが無いより良いかと思い、ゴブリンを観察した。
どうやら1匹?1体かと下らない事を思いつつ近づいた。
すると案の定襲ってきたので、棍棒を振り回し戦った。
流石に素人では中々当たらない、だが向こうも近寄れずに居るが、こちらは体力がヤバい。
これはと覚悟を決め構えつつ近寄り、棍棒が届く範囲にゴブリンを捉え振り切った。
ゴブリンも攻撃すべく飛び込んできたが打ち返す形で棍棒が腹へとめり込んだ。
棍棒を振り切りはしたが、重さに負けてよろけてしまい、ゴブリンが見えない形になり焦った。
ゴブリンがどうなったか確認しようと思ったとこに呻き声が聞こえ見てみるとゴブリンがのたうち回っていた。
思わず見取れたが、棍棒を頭上に振り上げ意を決し振り落とした。
ドンッと鈍い音がして、やってしまったと思いつつゴブリンを確認した。
ゴブリン Lv2 死亡
HP. 0/15
と、表示されていた。
そして、『レベルが上がりました』と表示された。
「えっ?今のであがんの?」
ふと、レベルが上がるというなら自分のステ一タスは何処だろうと思うと、やはりメニューの情報が光り押してみた。
田中 仁 Lv2
ダンジョンマスター
HP.5000/6000
MP.500/520
DP.50000/50000
STR.12
VIT.12
DEX.12
AGI.12
INT.26
MND.10010
LUK.2
スキル
通常.メニュー.マップ.情報.召喚Lv1.作成Lv1.分解Lv1.鑑定Lv1
戦闘.なし
耐性.全属性90%無効.状態異常無効.精神異常無効
加護.異世界の神(不老不死)
「えっ?HP6000?MND10010とかLUK2?……どうして?」
明らかにおかしい数値に、運が2とか酷い、ま、まあ1万年待たされたしなと無理やり納得するのだった。
ゴブリンを倒し、何か得るものがないかと探ったが腰みの?しかないので放置した。
すると天井からスッと何かが落ち、ゴブリンの上に乗った。
何ごとかと観察すると、また鑑定が光り押してみた。
スライム Lv1
HP. 6/6
お馴染み最弱モンスター、スライムでした。
ジクジクを音がしてゴブリンが溶け出している。
リアル溶解はマジ勘弁のレベルでした。
スライムをスルーして先を進むと、またゴブリンを発見し、観察すると何やら手に武器らしき物を持っていた。
未だこちらに気付かずに居るので、慎重に近づき頭を狙って棍棒を振り切った。
ドキドキと鳴り止まない心臓に手を当て様子をみたが、見事に頭から血が流れ出ていた。
するとまた『レベルが上がりました』と表示されたがステ一タスを見るのは怖いのでスルーして、ゴブリンの持ち物を漁った。
やはりゴブリンはナイフを持っていた。
錆びているがとりあえず鑑定してみると、武器ではなく素材と表示され、もしやと思い作成で確認すると、錫か銅など鉱石類の素材で強化出来ると判明した。
これによりテンションが上がり、やる気が溢れどうしてくれようと、暫く落ち着かなかったが、何処で鉱石採るの?道具ないし……と急速にテンションは下がった。
仕方がないので先に進み、同じようにゴブリンと遭遇し幾つかの錆びた武器のような物を手に入れた。
強化する為の鉱石が無いし、採るため道具が無いのに錆びた物だけが集まってもなぁと思い、何の気なしにメニューを開くと分解が光っているじゃないですか
「これで勝つる!」と叫び押してみた。
そこには錆びたものシリーズが表示され、分解されるのを待機していた。
錆びた剣らしきものだけ残し分解を繰り返し、分解がLv2になったところでやめ、作成を押した。
すると作成可能の一覧に『鉄の剣』の文字を発見、はやる心を抑え、一息ついて押してみた。
錆びた剣らしき物は溶け出し、分解された金属と混ざり合い、一つの形に変化していき、一振りの真新しい剣になった。
「おお!す、すげぇ……」
完成した剣を手にして、重さに感動した。
初めて作った剣を眺め、一振りしてスキルの重要性を認識した。
ど素人が作れる物ではないなと……
その剣を使って、ゴブリンを何度も倒しキレ味が落ちる度に、分解と作成を繰り返しレベルが上がり続けた。
レベルが6になった所で、下へと緩やかに降りていく通路があり、足を止めマップを開いた。
マップを眺めまだ行って無い場所が多いので、埋めることにした。
通路を戻り、奥へと続く道をすすむと小さな部屋へと続く横道があった。
横道を進み部屋の前で中を見渡す。
怪しい感じはしないが、行き止まりなので警戒しながら中に入った。
部屋の中央には、宝箱がポツンと在るのだが、どう見ても人が置いたと判るので、どうしたものかと思案し開ける事にした。
宝箱のなかには、液体の入った瓶が数本入っていた。
何だろうと鑑定したら、ポーションと表示され、HPを100回復すると詳細にあり、おお!と思わず声が出てしまった。
ゲームやファンタジー小説に出てくる回復薬が登場という事に感動してしまったのだ。
だがHPが1万近い俺には余り意味がないので、少し淋しかった。
通ってない通路が無くなり、外にでてしまったので、少し休憩にした。
外は既に暗く、森の中でもあり余計に暗い。
時折、風に煽られカサカサと鳴る音が寂しく感じ、腰をあげ洞窟へと戻った。
緩やかに下る通路まできたが、ふと今夜は何処で寝れば良いのかと思い、笑ってしまった。
どこでって、ダンジョンで寝るとか死ねると思い、ステ一タスに不老不死とか在ることにあほらしくなったのだ。
なら眠たくなったら寝ようと開き直り、降る通路を進んだ。
2階らしき通路を進み、何度かゴブリンに遭遇し倒して進む
まだ初日で、人型のゴブリンを殺し続ける自分に違和感が無い事に疑問を覚えたが、神と約束をした手前、続行を選択しまたゴブリンを倒していく。
感覚が麻痺しているのか、疲れているのかというと疲れているはずだと、そこで今日を終わる事にした。
壁に背をつけ座り込み、スウスウと寝息にかわりそのまま寝てしまった。
翌日、起きると通路で寝てたハズが入り口で起き、明るくなった森があった。
しばらく考え死んだのか?と思ったがどこもケガや痕跡らしきものも無かったし、謎過ぎる。
そういうものだと割り切り、夕べ寝たと思う場所へと戻り探索の続きを開始した。
仁視点は基本はソロプレイ+ゲーム風に表現してみました。
今後も同様に表現出来れば続きます。
お見苦しいかも知れませんが、宜しくお願い致します。




