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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
序章、見習い冒険者マーク
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旅立ち

少し短いと思いますが、宜しくお願いします。


 僕がヒトシさんと出逢い、本格的に冒険者の修行を開始し、2ヵ月が経ち振り返ると色々あり過ぎて、もう数年経ったと言われても、納得してしまう程の経験ができたと思います。


 しかし、訂正します。

 現在、僕の前には土下座をした領主様がいらっしゃいます。

 一体何が起きているのでしょう?

 何方か僕に教えて下さい、お願いします。


 「あ、あのぉ…………」

 領主様の土下座はまだ続くようです。

 困った、どうしたらいいかが分かりません。

 せめてお言葉があれば切っ掛けになると思うけど、ずっと黙って土下座とか、心が折れそうです。

 神様、お助け下さい………


 「しょうがないな……おい、もう土下座は辞めろ」

 「辞めなければ、帰るからな」

 ああ、ヒトシさんが来てくれた、良かったあ、これでなんとかなる……


 そんな事はなかった。


 「とりあえず、マークにちゃんと謝罪しろ、土下座などもう意味がない」

 「お前のバカ息子のお陰で、どれだけ迷惑が掛かったと思う?」

 「マークの両親や兄弟姉妹は、家まで焼かれたんだぞ、なんとか言えそれが謝罪というものだ」

 「黙って土下座など、嫌がらせだ」


 アルフレッドは震えた声で語りだす。

 「この度は、私の息子が大変ご迷惑をおかけし、領民ならびにマーク様ご家族様に多大な損害を与えてしまい、誠に申し訳ありません、尽きましては、直接の原因である息子は私が責任を持ちまして厳罰を以て裁きます」

 「既に私、公爵家の地位や名誉を排しことを成す所存です、どうかそれに免じて、王家ならび国民に、神のご加護を与えて下さりますよう、どうか宜しくお願い致します」


 「ん、判った全てを許そう」

 「………あ、有り難う御座います」

 「マークも、良いよなこれで」

 「はい……」

 「アルフレッド・カーラント、息子エルリック・カーラントを解放し、ここへ連れてこい」

 「はい………」


 暫くし、扉の向こうが騒がしくなり、連れて来られている有様が判る程に煩く入室時には雪崩れ込むように入ってきた。


 「ああ、此は駄目だな……、アルフレッドお前は悪くない、俺がこの目で確認した、国王には直接こいつの罪を裁くように言うから、安心してカーラント家を立て直せ、全力でだ」

 「はっ!有難きお言葉、身命に掛けて全力でお仕え致します」

 「お、おう、頑張れよ……、しかし、ここまで酷いとは、マジで災難としか言えないな」

 未だに暴れ絶叫し喚く、意味不明の生き物と成り果てたエルリック・カーラントは誰の目から見ても獣以下へと認識されるだろうと、全員一致で牢獄へと連れ去った。


 アルフレッド・カーラントは仁の言葉に救われた、そして仁は目線を合わせ「よくやった、神も見ていたはずだ」と言われ、思わず泣き崩れた。


 後日、王都へ向かうのだが、それはまたの機会に




 「ああ、しんどい、もう勘弁して、マークもお疲れ様、しかしなにあの生き物、ただ災難としか言えないな処が怖いわ、そう思うよな」

 「ああ、バカ息子とは聞いてたが、流石にあれは駄目だな」

 「だろ?よくやったとアルフレッドを同情する気にも成るよな、200年以上生きてるけど初めて見たわ」

 「マジかぁ、ヤバい奴だったのか……」

 「ああ、鑑定したら、国を傾かせるじゃなく、世界レベルで傾くバカだったな」

 「何それ?怖いわぁ……」

 「あ、鳥肌たった……」

 「よし、アルフレッド誘って良い酒で慰めてあげよう」

 「いいね、酒が飲めるなら賛成だ」

 「私はアリアさんのスイーツがいい」

 「なら早速準備すんべ」

 「了解」「あいよ」

 「今日は呑むぞー!」

 「マークはどうする?」

 「お手伝いはします」

 「じゃ、よろしくー」

 皆それぞれ宴会の準備を開始、その日の夜は、アルフレッドの一生に残る想い出となった。



 数日後、仁は王都へ行く為に、暫くダンジョンに専念すると宣言した。


 「騒動が落ち着き日常に戻った。そこで今後の事を踏まえて、俺はダンジョンに籠もることにした」

 「えっと、どういうことですか?」

 「うん、俺は一度王都へ行かねばならない、かつての王ジェフリー・エルトランドとの約束を果たすためだ」

 「そうするとここのダンジョンを数十日かひと月以上留守になる」

 「その間、ダンジョンに不具合が無いよう、調整と最深部を伸ばし本格的にダンジョンとして、機能の回復をさせようと思っている」

 「今後、ここは多くの人々が利用するはずだ、君等もここで修行し、日々の糧として利用して欲しい、その為のダンジョンだからな」

 「ここは俺が最初に訪れたダンジョンであり、奮闘を繰り返し、日々熾烈な闘いにより最初に手中に収めたダンジョンでもある」

 「決死で挑み、血塗れで手に入れたダンジョンだ。君達は俺のように不死身では無い、油断すれば死は逃れられない事実となる、決して油断せず確実に実力を付けレベルを上げ攻略していけば、いずれ英雄となれるレベルを手に入れるはずだ」

 「まあそうなる迄には、帰って来るから、無茶はするなよ」

 「居なくなるのかと思ったわ……」

 「オレも思った」

 「ハハ、まあ少しだけ会えないがな」

 「ここが安定期に入れば、次のダンジョンに行くが、まだまだ先になる、その時までは厳しくいくからな覚悟しとけよ」

 「はい!」

 「じゃ今日のレベリング行こうか」

 「え?………はい」

 「休む訳ないだろ」

 「ですよねぇ、ハハ」

 その日のレベリングは、10階の広間を使い、フォレストウルフの群れとの闘いを経験した。


 その日の夜から、10階から30階までの改装工事を進め、1~9階を見直し、新たな素材を設置していった。

 昼間は新たな素材を利用した装備や、薬草やポーション作成のレシピなどを纏めたり、農地改良の方法や機材の設計図などをゴードンやドラン達と話しあい今後の発展計画を立てていった。


 因みにこれらの情報はダンジョンマスターのメニュー機能からもたらされたものである。


 仁のスペックは高くはないが、こういった情報を活用し、200年生きてきた経験が活かされ、持ち前のひらめきがすべてである。


 それはさておき、全ての作業が終わったのは6日後のことだった。


 「それじゃあ、王都に行ってくる、皆は目標のレベルを目指し、精進してくれ、レベルの確認はアリアがしてくれるから、計画的にダンジョンの攻略をしろよ」

 「おう、任せろ」

 「なんでここにガイアが居るのか判らんが、無茶や油断はするなよな、俺からはそれだけだ」

 「はい、頑張ります」

 「あとは任せとけ」

 「では、行ってくる、またな」

 「はい」

 こうして仁は王都へと旅立った。


 ヒトシさんが旅立ち、僕は子供たちを連れ、ダンジョンで訓練しながら指導を行うようになった。


 冒険者を目指し、アレクさん達と過ごした日々を思い出し、子供たちに過去の自分を重ねた。

 こうして居られる自分は幸運だったと自覚できる。

 アレクさん達と出会い、ヒトシさん達に出会い、色々と学ぶ機会に恵まれた。


 これからは、この子達に指導をして恩を返していくことを、僕の生き方にしようと思った。

 


マーク回はここで一旦終わりです。

次回からは、仁の奮闘編になります。


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