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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
序章、見習い冒険者マーク
21/206

マーク奔走する


 僕は今、冒険者ギルドに居ます。

 何故なら、口減らしにあった子達がここ冒険者ギルドで身柄預かり状態にあったからだ。


 彼ら子供たちだけで来た事で、事情を確認して、隣村の親元に状況と事情の確認に、非常に時間が掛かって居たため、急遽冒険者ギルドにて身柄預かりとなったのだ。


 最初、家出と思われ、人買いに攫われた後逃げたとか、大騒ぎだったらしい。

 そこで、口減らしじゃないのかといった話しになり、子供たちに確認したら、売られるんじゃないかと抜け出して来たと証された。


 確かに、子供を売る親も居るらしく、子供たちにとって売られるより、冒険者になり稼ぎたいと思うようになってる今の状況は、少なくともカシムの町とダンジョンにあるのだ。


 そこで動いたのが冒険者達であり、報告を受けた冒険者ギルドが預かっているというのが今なのだ。


 この状況でヒトシさんの話しは出来ないし、どうしようかと考えて居たとき、アレクさんの声が聞こえた。


 「よう、マーク、こんな所で何してんだ?」

 「あ、アレクさん、おはようございます、実は……」

 「ふむ、ヒトシさんの許可はあるんだな、なら代わりに交渉してみよう」

 アレクさんがギルマスのガイアさんと交渉してるのを見て、まだ大人に成りきれてない自分では出来ないなと思った。


 「お待たせ、とりあえず交渉は出来たぞ、親元と話しが通れば良いとギルマスの許可がでた」

 「あ、ありがとうございます。良かった、あの子達はなんとかなりそうですかね」

 「まあ、難しいんじゃないかな、後見人とか指導者とか、あと金が無いからな、親が許可しても金が無いと武具が買えないし、稼ぐ道具すら無いぞ……」

 「そ、そうですね、一度状況をヒトシさんに報告してみます」

 「おう、オレも一緒に行こう」

 僕はアレクさんとダンジョンに戻って、ヒトシさんに状況を報告した。


 「そうか、なら俺もギルドに行って状況次第だが直接話しをしてみるか」

 「えっと、お願いします……」

 「ヒトシさん、ちょっといいかな?、本気で面倒を見るつもりなのか?まあヒトシさんなら可能だから良いとは思うけど……」

 「良いも悪いも今回だけだぞ、そこだけは理解しないと、際限がなくなるからな」

 「あとマーク心配しすぎだ、言葉は悪いが、こういった事は成るようにしか成らんからな、後は神様の思し召しという奴だ」

 「はい、分かりました」

 「そうだぞ、ヒトシ様の思し召しという事だ」

 そうだ任せろ!ガハハと笑うヒトシさんは、アレクさんに蹴りをくれて、俺は神じゃねえよ!と突っ込んで、皆と笑いあった。


 「なんか増えてねえか?」

 「増えてますね……」

 「マジか、多すぎだろこれ……」

 最初の6人が居る場所とは別に30人は居るだろう子供たちが居た。

 「託児所だなこりゃ……」

 「託児所?」

 「ああ、こっち話しだ気にすんな、だが困ったなこりゃ、想定外だな、如何するんだギルドは?」

 「ちょっと聞いてきます」

 「ああ、頼むよ……」

 アレクさんがギルマスと話しているのを眺めて居ると、手招きをされヒトシさんと一緒に個室へ招かれた。


 「ヒトシ殿と言ったか、ゴードンと一緒に色々としていると聞いては居たが、あんた何者なんだ?」

 「はい、初めまして、私はタナカ・ヒトシといいます。先日ここで冒険者登録もさせて頂きました」

 「おう、あれか、やけに礼儀正しい対応をしてたという報告の奴か……」

 「あー、恐らく私かと思いますが、そういった報告も上がるとは……冒険者ギルドは大変なのですね」

 「そ、そうなんだ、分かるか、分かってくれる奴は初めてだぜ」

 「そうですか、まあ今回の騒ぎも冒険者ギルドだから起こったことでしょうしね」

 「うぐっ、マジかぁ、あ、あんたギルマスやらないか?スグ代わって欲しいぐらいなんだが」

 「ご冗談を、私など駆け出しのEランク冒険者ですし、流石に誰も相手にはしてくれませんよ、ハッハッハ」

 「……ま、まあそれは置いておくとして、あんた何者なんだ?」

 「ゴードンさんとは私の研究した物を実際に作って貰おうと、共同開発をお願いしたのです、現在ゴードンさんの店の裏手にある建造物も私の研究開発したものです」

 「そこで今回の騒動をマーク君から聞きまして、人手が足りない私の計画に協力して貰おうと思いまして参上しました」

 「そ、そうか、だがまだ子供だし、あの人数はどうなんだ?」

 「そうですね、子供でも出来るのですが、あれだけの人数はちょっと無理です、精々10人といったところが限界です」

 「うん、だが10人でも無いよりはマシだ、頼む協力して欲しい」

 「分かりました、でしたら冒険者として活動出来ない子供たちから10人預かるという事でよろしいですか?勿論、親御さんの同意がある事を条件としますが」

 「おう、それでお願いする、詳しくはうちの職員を送って事情説明はしておくからな、よろしく頼む」

 「ありがとうございます、では一度子供たちの状態を確認して、可能な子供たちのリストを作成しますのでその後でお願いします」

 「分かった、協力を感謝する」

 「では後程」

 僕たちは子供たちのリストを作る為、手分けして事情と状態を確認してリストを完成させ、ギルドに提出した。


 今回は僕に出来たことは無かった、だけどアレクさんやギルマスのガイアさん、職員さんが色々としてくれていた事を知る切っ掛けになったのは良かったと思う。


 まだまだ子供で、しかし大人として出来る事はたくさん有るのだと分かったのは大きい収穫だったと思う、そしてヒトシさんからこうして学ぶ機会を貰えられた事に感謝し、再度ヒトシさんと逢わせてくれた神様に感謝の祈りを捧げようと思った。


 あの騒動から2日後、親御さんの許可の出た子供たち10人が選ばれ、ヒトシさんと供に会いに行くことになった。


 男子、アキ(12)テツ(13)トーヤ(10)ペータ(10)

 女子、エル(13)ケイティ(12)シス(14)タエ(11)ハナ(8)ルナ(9)

 以上10名が決定しました。


 「さて、しばらくは様子を見ないとダンジョンには連れては行けない、何処かに預けようと思うのだが、何処かに良いところはないか?」

 「そうだな、人数的に宿は無理だし、近隣の村に交渉して預けるのはどうだ?」

 「でしたら、僕の家の裏手にある小屋が空いてます、父に聞いてみて使えるようなら、そこに住んでも良いかと」

 「ふむ、なら一度聞いてみてくれるか?」

 「はい、では行ってきます」

 「ありがとう、よろしく頼む」

 「よし、我々も子供たちと一緒ににマークの家に向かうとしよう」


 こうして僕は実家に向かって走りだし、先に父を探して話しをしなきゃと、何時もより早く走った。


 「ただいまー、誰かいる?」

 「あらマーク、どうしたの?」

 「あ、姉さん、父さんはどこに居るか知ってる?」

 「父さんなら、畑仕事をしてるんじゃないかしら」

 「あ、ありがとう、探してみるよ」

 「あ、たぶん北側だと思うわ」

 「分かった、ありがとう」

 僕は北側の畑に向かい、父さんは直ぐに見つかった。

 「父さん、ちょっと話しが有るんだけど良いかな?」

 「マークかどうかしたか?ちょっと待ってろ、そっちに行く」

 「うん、ありがとう」


 「で、どうした、急いでいるみたいだが」

 「実はこの間の子供たちをヒトシさんが預かるって話しで、僕が家の裏手の小屋の話しをしたんだ、それでヒトシさんが聞いてみて欲しいって事できたんだ」

 「そうか、そうだなうちは構わんが村長の許可が要るな」

 「あ、そうか……」

 「うん、他ならないヒトシさんの頼みだし、オレが頼んでみよう」

 「ありがとう、父さん」

 「ああ、恩返しの機会だ構わんよ」

 そのまま、父さんと一緒に村長の家に向かった。


 「こんにちは、村長はいま居るかい?」

 「マイクさんか、村長は居るよ、急用か?」

 「急用ではないが、頼み事が有るんだ、取り次いでくれないか?」

 「分かった、待っててくれ」

 「ありがとう」

 しばらくして、村長の部屋へと招かれた。

 「ようマイク、珍しいな頼み事なんて、何かあったのか?」

 「ああ、この間の町の騒動を知っているか?」

 「ああ、隣村の子供たちの話しだな、それがどうかしたのか?」

 「ああ、その子供たちの一部を家の裏手にある小屋で預かる話しが来てな、許可を貰いたい」

 「ふむ、なるほどな、この村も何時同じように成るかは分からん状態だが、敢えて頼んで来るのだから、なにかあるんだな、どうなんだ?」

 「分かるか、息子の恩人の願いだ、頼む」

 「そうか、マークの恩人か……、よし許可しよう、後は任せろ」

 「ああ、ありがとう、この礼は仕事で返す、なにかあれば言ってくれ」

 「いやいや、マークの恩人は我々の恩人だ、彼が来てからこの村はかなり楽になったからな、この機会は逃さんよ」

 「そうか、ならこの事は伝えておくそれで良いか?」

 「ああ、機会が有れば会いたいし、よろしく頼む」

 「分かった、こちこそ後は頼む」

 「ああ」

 父さんが戻ってきて、許可がでたと聞きほっとした。

 その後、家の前で子供たちが待って居たので急いでヒトシさんに報告をした。


 「あ、マイクさんお邪魔してます」

 「お久しぶりです、ヒトシさん」

 「すみません、なんか急なお願いをしたせいで、お仕事を邪魔してしまったようで、すいません」

 「いえいえ、恩を返せる機会なので構いません」

 「あ、ありがとうございます」

 「いえいえ、また何かあれば言って下さい」

 「分かりました、その時はご相談させて頂きますね」

 「それと村長から伝言があります、村長は今回会えないことは残念、また機会があれば会いたい、そして、今回の子供たちの件は自分達としても有り難い話しだと伝えて欲しいと言っていました。」

 「分かりました、色々とありがとうございます、村長さんにもよろしくお伝え下さい」

 「では、仕事が途中なので失礼させて貰います、ゆっくりしていって下さい、では」

 父さんはお辞儀して仕事に向かった。


 父さんは恩返しと言ったけど、これは僕の恩返しでもある。

 父さんにはまた恩が出来てしまったと僕は思う、頑張ろう、そして恩を返せるよう生きたいと思った。


 「マークありがとうな、随分親父さんに迷惑をかけてしまったな」

 「いえ、これは父さんが言ったように恩返しで、それは僕も同じ気持ちです、なので気にしないで下さい」

 「判った、マークにもだが、感謝すると伝えておいてくれ、ありがとう」

 「はい、父さんも喜ぶと思います」

 「さて、子供たちが待ってる、支度もしないとな」

 「はい」


 その後、片付けはアリアさんが来て、どういう訳かなにがどうやったらそうなるのかが分からないスピードで、小屋がきちんと寝床まである家へと変貌し、ヒトシさんまでポカンとしてしまっていた。



新たな仲間たちはどうなるか、それは………また未定です。

頑張ります。


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