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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
序章、見習い冒険者マーク
20/206

マークの成長



 皆とカツ丼を完食後、本日のメイン、レベリングをしようと現在9階に居る。



 現状ではダンジョン最下層なここは、カシムの町の冒険者ではヤバい場所である。


「説明したように、ここは君等でも危険な場所だ、くれぐれも油断することなく、無事生還する事を第一に行動して欲しい。いいな?」

「「「分かりました」」」


「よし、装備を確認、何時でもアイテムを使用出来るよう慌てずに行動しつつ、俺が居る10階の階段まで来い。 これは命がけのミッションだからな、油断せず無事な姿で会おう。 では、全員の健闘を祈る!」

「「「はい!!」」」


 俺はテレポートで移動した。



 ◆ ◇ ◆



 今僕は、ダンジョンの9階を先輩冒険者である、アレクさんのパーティーと行動を供にしています。


「全員、準備良いか?」

「おう、問題ない」

「私も大丈夫」

「僕も大丈夫です」

「オレはいいぞ後ろは任せろ」


「よし、打ち合わせ通りオレが先頭、リッキーが警戒とアタッカー、マークが遊撃で、ナターシャはサポート、カイが殿で警戒と援護を頼む良いな行くぞ」


 アレクさんの号令で出発、慎重に進むアレクさんの背中を着いていく僕も習うように歩く、緊張するが頑張ろう。


「リッキー、この先に何か有りそうなんだが、ここから見えるか?」

「ああ、罠があるな解除できそうだ」

「なら頼む、皆は警戒を……」


「…… よし解除はできたが、念のため近寄るなよ」

「お疲れさん。 よし行くぞ」

「「「了解」」」




 途中何度か戦闘になりつつ、ゴブリンとコボルド達を難なく倒し、少しだけ安堵した。

 だが油断なく進むアレクさん達を見て、僕も気を引き締め拳を握りしめた。



「多分、あの先に階段がある筈だ、最後まで油断なくいくぞ」

「あいよ」

「緊張するわね……」

「が、頑張ります!」


「よし、いくぞ!」

「「「了解!」」」



 気合を入れ、通路を進み何事もなく、最後であろう曲がり角を進むと、やつは居た。


「プギャアーー!!」


 通路いっぱいに鳴り響いた豚の鳴き声に、皆が耳を抑え悶えた。


「ぐっ、な、何だ!!」

「オ、オークだ!しかもでけぇ!上位種か!?」


「警戒! ナターシャ、バフを!」

「わかったわ!」

「オレは前にでる、マークはオレのサポートを頼む!」

「リッキー、奴の足を狙え!」

「カイは警戒しつつ援護を頼む! いくぞ、お前ら!!」

「「「おおー!!」」」


 アレクさんは盾を構え、オークの攻撃を受け流しで防ぎ、剣で大きく薙いでヘイトを稼ぎ、リッキーさんがオークの死角から足の関節へ攻撃を集中させていく、激高したオークの顔へ矢を放ち牽制するカイさん、その隙に僕が突撃し剣で脇腹を突き直ぐさまアレクさんと入れ替わりを繰り返したところでヒトシさんが来て戦闘は終了した。


 「オークソルジャーは下がれ、こいつらは俺の部下たちだ、判ったか?」

 「プギィ」

 「よし、ご苦労!」

 「…………」

 「ふぅ、いやぁ凄かった、よくぞここまでやれたな、合格だ」

 「…………えっと、終わりです?」

 「ああ、終わりだ、良くやった」

 「あ、ありがとうございます……」

 「まあ最後までこれたから最後は倒して終わりたいだろうが、あれは無理だな、まだレベルが足りてなかったな、気付いて無いだろ、あいつの実力」

 「え?どういうこと?」

 「あいつはオークソルジャーといって特殊個体なんだ」

 「それって、ヤバいやつですか?」

 「ああ、奴は仲間を呼ぶんだ」

 「な、なん……だと」

 「だから止めたんだ、ヤバいからな」

 「な、なるほど」

 「だが、いい経験にはなったろ?」

 「えぇ、怖かったわ……」

 「だな、アレクの指示が無かったらマズかっただろうな」

 「ああ、アレクよく指示ができたな、普通にすげぇと思ったぞ」

 「ただ、必死だっただけなんだが……」

 「緊急時に指示が出来てパーティーのリーダーなんだ、もっと自信を持て!」

 ハッハッハッと笑うヒトシさんを見て、やっと終わったと僕は安堵した。

 僕はこの人達と会えたこと、ヒトシさんと逢えたことを神様に感謝し祈った。




 休憩の為にヒトシさんは僕らをテレポートで喫茶室に招待してくれる。

 毎回思うがこれって凄い、すっと一瞬で移動するとか、凄すぎる。

 外で出来ないのかとアレクさんが聞いたけど、外だと必要な魔力が多くて、緊急時ぐらいじゃないと使えないと言っていた。

 僕が魔法を使えないか、今度ヒトシさんに聞いてみようと思う。


 「はぁ、ここはいつ来ても良いところよね」

 「そうだな別世界だよな」

 「ああ、お茶が旨い」

 「ヒトシさん、ここに住みたいです」

 「駄目だ、ここに住むと外で住めなくなるぞ、俺は外で長く活動出来ないから、ここに住んで居るんだ」

 「そうでしたね、何度もすみません」

 「ほら、ケーキが来たからそれで我慢しろ」

 「はい!いちご多めでお願いします!」

 「……アリア、よろしく」

 「はいマスター」

 「ありがとうございます!」

 ナターシャさんはいちごのショートケーキが大好きで、いつもヒトシさんにお願いしている。

 僕もたまにいちごを貰って帰るが、母さん達女性に喜ばれている。



 「さて、休憩は終わりだ、あと2時間あるが、1時間レベリングして今日は終わりにしよう」

 「はーい」「よし、いくか」

 「マークはいちご持ってくか?余ってるだろアリア」

 「はいマスター」

 「なら持っていってやれ、フルーツは体に良いからな」

 「はい、ありがとうございます」

 「よし、いくぞ」

 テレポートで先ほどの場所へと移動した。


 「さて今日相手は……やっぱりオークだな、ノーマルのだが」

 「はい、頑張ります」

 「よし……いくぞ、5、4、3、2、1、Go!」

 「うおおー!」

 そして僕らは倒れるまで闘い続けた。

 帰宅後、母さんにお土産を渡すと目を輝かせウキウキとしていた。




 翌日いつもの時間に起き、朝のランニングにでようとした時リクも行くと、同行することになった。

 聞けばやはり冒険者に成りたいと、目を輝かせて言った。

 まあ僕が冒険者になったので、断るのもどうかと思うし、面倒を見るのも良いかと思う。


 「リクも冒険者になるなら、なるまではちゃんと家の手伝いもしないと駄目だぞ」

 「はぁはぁ…う、うん、がんばる、はぁはぁ」

 「よし、なら冒険者になれたら一緒にダンジョンに行こう、鍛えて強く成らないとな」

 「はぁはぁはぁ、が、がんばる……はぁはぁ」

 リクは帰る前に倒れ、僕が背負って帰宅した。

 母さんに怒られたが、リクがボクが強くなりたいからやらせてと叫び、やれやれと父さんが母さんを宥めて許して貰えた。

 まだまだ冒険者はリスクが大きいから仕方ないと思うし、より頑張ろうと思った。


 朝食を食べ終わり、家を出ていつものように走っていると、東門のところに人が集まっていた。

 何だろうと覗いたら、隣村から来たという子供たちが止められていた。


 どうやら冒険者になる為に来たらしいが、どう見ても口減らしにあいやって来たようだ。

 それを門番が確認の為に止めているという事だった。

 たまにだが、こうやって口減らしの子供たちが町へと流れて来るけど大体が人買いによって別の町へと行き、どうなるかも判らなくなる子が多いと聞いた事がある。


 僕は一度冒険者ギルドに寄って、アレクさんを探してみた。

 だが今朝は来てないらしく、僕はダンジョンに行きヒトシさんに相談してみた。


 「ふむ、マークはその子達を如何したいんだ?助けたいのか?」

 「……ヒトシさんなら助けられるかな?と思っただけです」

 「そうか、なるほど、正直に答えてくれて良かったよ、ありがとうな、だが俺はその子たちを助けようとは思わない、何故なら、無責任になるからな」

 「はあ、えっと、どういうことですか?」

 「うん、そうだなこの際ちゃんと話そうか、俺がこの世界へ来たのは神様の願いってのは言ったよな」

 「はい……」

 「で、その願いが人々を育てて欲しいと俺に言っていたとも聞いたよな」

 「はい」

 「俺は俺にしか出来ない事があるから、その子たちを助けることはできないんだ」

 「申し訳ないが、その子たちは俺ではなく町か領主さまか、国、まあ国王様が助けるべきだと思っている」

 「はい……そうですね、そうでした、すみません」

 「うん、分かってくれて嬉しいよ、なら早く連れてこい、その子達を」

 「えっ?……えっと、でも」

 「良いから連れて来い、だが今回だけだぞ」

 「はい、ありがとうございます!」

 「お優しいのですねマスター」

 「ん?そうか?マークが今の話しをしてこなかったら、正直どうでも良かったよ」

 「そうですね、マーク様が言わねば起きませんものね」

 「どうした急に」

 「いえ、ちょっとした嫉妬です、失礼しましたマスター」

 「そっか、アリアも変わったな、マークのお陰かな?」

 「どうでしょう……」

 「だがこれは最初の一歩だな」

 「はいマスター」

 「よし、準備しとくか、アリアもよろしくな」

 「承知しました」



マーク君がどう成長するのかは、まだ確定してません。

ストーリーによっては多少変わると……いまはまだ未定ということで、よろしくお願いします。


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