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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
序章、見習い冒険者マーク
18/206

レベリング開始



 マークやアレク達を連れてダンジョンに戻った仁は、レベルという概念をレクチャーする事になった。



「では、これよりレベルという概念を教えようと思います。 えー、まずレベルとは、その人の強さ経験している回数や理解度、スキルの強さ習熟度、使用回数など多岐にわたり、大凡の強さを示す単位がレベルと言います」


 仁は、今までの経験をもとに、この世界のレベルという概念を説明する。


「ここまでで何となく分かれば良いんだが、判らない人は質問をどうぞ」


 ナターシャが手を上げた。


「はい、ナターシャくんどうぞ」

「くん?……、えっと、レベルという単位?大凡の強さを表すのは数字ですか?」


「はい、冒険者はA~Eクラスとされてますが、レベルの表記は1レベルやレベル2など単位の前後に数字を使って表します」


 アレクが手を上げた


「はい、アレクくん」

「あー、数字を使う単位と言うのは判ったけど、数字なら1より2の方が上ってことだよな、なら1から2に上げる為には具体的には何をすれば良いんだ?」


「うん、良い質問だね。 冒険者のランクはA~Eで認定されますが、全てのAランクの冒険者が強いのかというと流石に違ってきます、確かに大凡の強さが有るからランクはAまで上がるが、冒険者のランクは強さより信用や信頼を重視し、そして何よりも依頼達成率が高い人のみが成れる強さだと思う」


 仁は冒険者ギルドの仕組み、ランク制のあり方を語る。


「だが、レベルは個人の強さを1~99などの数値で表す事で、その強さを計る物差しになる訳だ。 なら強さとはどうしたら計れるのか? 重いものを持つこと。 ひたすら走ること。 技を習いを練習をすること。 技を磨くこと。本を読み知り理解し行動すること。 魔法を習い練習すること。 それらの力で敵を倒すこと。 ありとあらゆる努力、研鑽を積み、己を高める事でレベルは上がり、計れるようになるんだ」


 仁の長い講釈が終わると、全員が口を開けて呆けていた。


「あれ? えーっと、判ったかな?」

「「「………………」」」


 仁の問に、応える気配すらなかった。


「ん、判らんなら、ダンジョンで戦って敵を倒せ、ただそれだけでもお前らは強くなり、レベルというものが上がるだろう、判ったか?」


「はい……」

「声が小さい!」


「「「はい!!」」」

「よろしい、以上!」


 パチパチとアリアだけが拍手をしていた。




 仁は、マークやアレク達のレベリングをする為に、実力を知りたいので聞いてみる事にした。


「アレク、君たちが倒した事がある一番強いは敵はなんだ?」


「ん? なんだ急に」

「レベルの話しをしただろ? だから、今までで戦った敵の中で一番強かった敵は、なんだと聞いているんだよ」


「そうだな、他の地で戦った事が無いから判らんが、今までならオークだな」

「オークか、どんな感じで倒せる」


「感じ?まあパーティーなら余裕で、一人ならキツイ感じだな」

「そうか、なら8階あたりだな、リッキー達もそれ位か?」


「オレは無理だな、アレクが気を引いてくれれば、なんとか倒せるが」

「オレも無理だ」

「私も無理」

「そうか、パーティーなら大丈夫か……」


「マーク、君が勝てそうな強敵はなんだ?」

「勝てそうな強敵ですか? ここしか知らないないので……」


「そうか、そうだなここしか知らないなら、少しづつ進めばいいか。 よし、なら4階からいくか」

「ん?4階に何かあるのか?」


「……。 なにかじゃなく、そこからレベリングするんだよ」

「レベリング?」


「ああ、説明より実際にやれば判るだろ、さあ行くぞ」

「おう……」


 仁達は4階へと向かった。



 ◇ ◆ ◇



 さあさあと広めな場所まで行きレベリングを開始する。


「ふむ、ここがいいか、ちょっと待ってな用意すっから…… えっと、メニューからの、ほい」


 すると、目の前にゴブリンソルジャーが召喚された。


「オイ!」

「キャッ!」


 それを「ほい」と、撲殺した仁。


「マジかぁ、やっぱヒトシさんが分かんねぇ」

「ん? なにが?」


「いや、なにがじゃなく、強さが判らん……」

「ああ、俺の強さは魔物限定だからな」


「どういうことだ?」

「うん、魔物限定で無敵で、不死だから問題もないということだ」


「マジかぁ、スゲぇな……」


「ダンジョンマスターだからな、そうじゃないと色々とヤバい」

「なるほど……」


「よし、準備はできたし最初は全員でいってみようか」

「はい?」


「今からゴブリンソルジャーを召喚させるから、手早く倒せよ、いいか? 手早くだからな」


「おう」

「はい」

「頑張ります」


「じゃ、5秒まえ! 4! 3! 2! 1! Go!」


 ボムッ!と現れる


「いけぇー!!」


 うおおーー!!と雄叫びと供にゴブリンソルジャーとの闘いが開始された。



「ほれ、ポーションだ。 回復は任せろ! 死ぬ気でいけぇー」


 と、小一時間たたかい、皆が動かなくなった。


「ちょっと待ってなぁ…… おお、かなり上がったぞ」

「え?」


「アレクはレベル12、リッキーは11、カイも11、ナターシャは13、マークが9だ」

「ふぇ? な、ナターシャが13?」


「おうレベル13だな、ナターシャが最強」

「な、マジかぁ……」


 ナターシャは喜んでいるが、男達はお通夜状態である。


「どうだった、レベリングがどういうものか判ったか?」

「お、おう…… だが納得がいかん」


「なにがだ?」

「レベルって何なんだ?」


「まあ明日になれば判るから、今日は頑張れ」

「そうなのか?」


「ああ、必ず明日には結果はでる」


 そして、翌日同じ事をする。


「あ、あれ? 弱くね?」

「だな……、これがレベリングなのか……」


「だから、言ったろ? レベルは上がるって、理解できたか?」

「おう! スゲぇなレベリング」



 その後は、人数や構成を変えたり、ソロで戦ったりと色々と試し各々課題を話し合って連携を再構築、再確認してから、その日は終わった。



 翌日、アレクからダンジョンの調査依頼が出たと情報がもたらされた。


「うん、人数は多いが質は足りてないな……」


 仁は、スキル監視を使ってダンジョン内をスクリーンに映し観察していた。


「しかし、人が多過ぎだ。 いったい何の調査なんだ?」

「えっと、冒険者のガス抜きだって聞きました」


「ん? なんかあったのか?」

「はい、この間の素材が換金されて、それが他の冒険者にも知られました」


「ほう、じゃあ名ばかりの調査依頼ってことだな」

「はい……」


「明日は、貴族様が来たりするのか?」

「流石に1日は空けるだろうな」


「そうか、じゃあまた情報あったらよろしくな」


「そういえば、職人ギルドはどうなってるか判らないか? 買い取りは終わったんだろう?」


「それなんだが、おやっさんが職人を集めて、なんかでかいの造って騒ぎになってたな」

「へぇ、明日あたり見に行くかな」


「そろそろ防具をちゃんと揃えたいんだが、どうする?」

「金は出来たが、おやっさんがな……」

「私はローブが欲しいけどデザインが……」


「判った判った、作れば良いのだろう、なにそのあからさまな抗議は、だがお前らのあの要望書は無理だ、なにあのデザイン、防具の意味が分かってて書いたのか? 死にたいの? まったく……」


「ハハ、すんません」

「ほれ、これはゴードンにも出した改良型の新装備だからな、町中で着るなよ」


 仁はスキル作成から、改良型防具を精製した。


「ナターシャはローブか、どんなのが良いんだ?無茶は無しだぞ」

「えっと、可愛いのが欲しいです」


「可愛いのか…… なら、これでどうだ」

「あ…… こ、これは」


 ローブを着たナターシャは固まった。


 鏡に映った己の姿は、ネコだった。


「きゃー、何これ何これ」


 大騒ぎである。


「ネコみみローブだ、気に入ったようだな」

「はい、ありがとうございます!」


「お、おう、テンション高いな。 で、どうだ野郎どもは」

「ヒトシさん、これは何ですか?」


「ああ、チェインシャツか。 それはマーク用だ。 インナーの上に着て、その上に胸当てとかの装備を着けるんだ」

「なるほど……」


「インナーは、こっちの長袖で着てみろ」

「はい…… こ、これで良いですか?」


「そうだ。で、これをこう。 こっちはこれで。 こうすれば、出来上がりだ。 どうだ?」


「ふえぇ~……」

「お! マーク、カッコいいなそれ。 オレもそっちにする」


「オレは……」

「カイは、革鎧を同じように着ければ良い」

「あ、ならそっちに……」


「どうしたアレク?」

「え?」


「え? じゃねえ。 どうして軽装なんだ? お前はこっちだろ、戦士なんだそろそろ鎧に慣れろ」

「判った…… お、これは中々……」


 アレクは鎧を装着したが、身軽にステップを踏んで回避の練習をしだす。


 改めてレベリングの効果がチート臭く感じる仁だった。



「よし、全員それでいいか?」

「はい!」


「そろそろ調査の連中も少なくなってるし、今日は解散だな、明日はゴードンの様子を見に行くから、時間があれば何かする感じでいこう、以上だ」


「了解、お疲れさまでした」

「装備ありがとうございます」

「おい! 着ていくな!」


「…… 黙っていればいいのに」

「そこ! 聞こえているから!」


 装備を回収して廻る仁であった。




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