ダンジョン稼働検証
ゴードンとの依頼を交わした後、町の職人ギルドの情報を聞きながら、今後の計画を話し合った。
「色々と研究しなければいけないな」
「俺らもやるべき事が出来たし、職人ギルドも忙しくなるな」
「そうだな、可能な限りは協力しよう」
「ああ、ヒトシ殿よろしく頼む」
ゴードンの店から辞去して、マークの家族に挨拶しようと話すと、弟と妹しか会えないらしいので、ダンジョンへと帰ることにした。
「お帰りなさいませマスター」
「ただいま、なにか変わりはないか?」
「はい、なにもありません」
「そうか、なら今夜の準備をして仮眠するから、後は頼むぞ」
「了解ですマスター」
今夜の作業計画書をあれこれ試行錯誤しながら予定を書き込み、準備を整え、仮眠をとった。
「さて、少し腹になにか入れるか」
食堂に向かうとアリアが厨房に居た。
「ん? なにか作るのか?」
「おはようございますマスター」
「おう、おはよう」
「今夜はおにぎりにしようかと思いまして」
「おお! おにぎりかいいな!」
「では、ご用意しますのでお待ちを」
俺は食堂で待つことにした。
「お待たせしましたマスター」
「うむうむ、うまそうだな、では、いただきます」
「右から、さけ、うめ、おかかとなっています」
「そうか、ありがとう」
俺は無心にかぶり付いていた。
食事を済ませ、1~3階の様子を見て調整し亜鉛鉱を追加、昨晩造った4~6階の様子を見てもう一度配置を変えながら、素材の配置内容を変えていった。
各階の調整や今後の追加素材の検討をしつつ、7~9階の改装を進め下地づくりを終え、一度休憩にする。
「はてさて、足りないものだらけで大変だ……」
「お疲れさまですマスター」
「ん、ありがとう」
「夜食は如何しましょうか?」
「あー、今夜はいいや何か甘いものないか?」
「でしたらチョコレートがあります」
「じぁ、チョコとビスケット当たりで」
「畏まりました」
アリアが紅茶と菓子を持って来たので一緒にお茶をした。
「とりあえず9階までは出来たしガーディアンでも置くか。 うーん、ミノくん……、我ながら鬼畜過ぎか? やっぱオークソルジャーあたりかな…… よし、おいでませ、オークソルジャー!!」
言ったからといって出てくる訳がないので、メニューより召喚する。
「オークソルジャーよ、今よりここの警備を命ずる。 許可無き者は排除し、投降した者は縛り上げ、逃走した者には笑ってやるがいい、よいな」
うん、ニヤリと笑ってるからOKだろう。
問題は素材配置だな、足りない物を足し、他の階と調整していくか。
次はお待ちかねのお宝だな、どれどれとマークやアレク達の要望書を見る…… うん、俺が決めようと心に誓った。
「よしこれでOKだろう」
「お疲れさまでしたマスター」
「久しぶりのダンジョンクリエイトは疲れたな。 今日からマークやアレク達が来るから稼働しようと思う、調査前に確認しとかないとな」
「はい、マスター」
なんだかんだと朝焼けが見える時間だった。
仮眠を取って、マークが来たとアリアに起こされ、ダンジョンから出たところでアレク達も見えてきた。
「おはよう」
「ヒトシさん、おはようございます」
「うん、ところで後ろの子は弟くんかな?」
「はい、弟のリクです」
「そうか、リクくんおはよう、俺はヒトシだ、よろしくな」
「ちゃんと挨拶しろリク」
「うん、おはようございます、リクです…… よろしくおねがいします」
「お、ちゃんと挨拶できるのか、偉いな、偉い子にはこれをやろう」
おれはチョコレートを渡した。
リクは黒い物体を見て悩み、俺が口をあけほうり込む仕草をみて、自分の口に入れた。
「んーーーー!!あまーーい!」
リクが歓喜の叫び声をあげ、皆がもの欲しげに俺を見た。
「欲しいなら、今日の仕事ぶりでくれてやろう、ハッハッハ」
「おし!頑張るか!」
「そうね、俄然やる気がでてきたわ」
「だな、頑張ろう!」
「おい、やる気出し過ぎだお前ら」
皆で笑い、打ち合わせをした。
「それじゃ、俺は台車を持ってくるから、各自それぞれの仕事場に向かってくれ」
「了解」
「おうよ」
「リクはオレといっしょな」
「お! マークがオレとか初めて聞いたな」
「え? あ、はい、そ、そうですね…… すいません」
「いや、それでいいぞ、お兄ちゃんだからな、なんなら敬語禁止にすっか?」
「え? あ、あの……」
「ハハ、冗談だ冗談。 お前らしくすれば良い」
「はい」
「じゃ、始めるぞー」
俺は号令をかけ、台車を取りに行く。
「どうた?順調か?」
「はい、これで3台目です」
「よし、じゃあ一度町に運ぶか」
「はい、リクは採れたのを袋に入れて、兄ちゃんはそれを運ぶからな」
「は~い」
「うん、ここは問題無さそうだな、リクくんケガしないようにな、じゃマークなんかあったら知らせてくれ」
「はい、分かりました」
俺は他の現場に向かい、一度町に運ぶと告げた。
「階層の移動はちときついか、改良するか……」
「ん?野郎どもが頑張れば良いだろうこの程度は」
「そうだな、階段は担げば行けるし冒険者なら問題ないな」
「そうか? なら台車を増やすか?」
「そうですね、護衛さえ居れば女子でも運べますし、増やす方向で良いと思うわ」
「ふむ、じゃあ増やすか」
「ヒトシさん、これで全部です」
「あいよ、じゃ行くかぁ」
「おうよ!」
俺達は、大量の素材を載せた馬車で町に向かった。
「ヒトシさん、このアメという菓子は甘いですね、どうやって作るんですか?」
「作ったのはアリアだな、大量の水飴を固めたのかもな」
「水飴ですか?」
「水飴は……、なにで水飴を作ったのかアリアに聞いてみるか?」
「うちでは作れないと思うので……」
「そうか、ならアリアに作って貰うか……」
「でしたら、私も欲しいです、買います」
「オレも買います」
「なら、大量に作れるか検討するか」
「是非、お願いします」
町の北門前で俺達は止められていた。
「荷台の積み荷はなんだ」
「ダンジョンから色々と採れた物です」
「ダンジョンからだと……、少し待て確認する」
しばらくすると、ゴードンと冒険者ギルドのギルマス、ガイアがやってきた。
「お前ら、なんちゅう量を取って来たんだ」
「持ち込みと聞いたから、リュックだろうと思ってたんだがな」
「駄目ですか?」
「駄目ではない、この量はすぐには無理だ」
「なら、どうします? どっかに保管しときますか?」
「ああ、冒険者ギルドで一度保管する、流石にこのまま通すと問題がある」
「了解です」
馬車は冒険者ギルドに向かい、保管されることになった。
「鉄や銅の鉱石、キノコや薬草とかの植物、魔物の討伐部位や素材が少量。 あとはポーション類と宝石が幾つか…… ざっと計算すると10万Gは超え、下手すると20万Gも超えますね……」
「マジかぁ……、こりゃあ想像以上の成果になるな」
「そうだな、ダンジョン発見の200年前と同じかそれ以上かもな」
「よし、こうしちゃいられねぇ、直ぐに報告書作って各所に送らねぇとな」
「そうだな、俺ら職人ギルドも忙しくなるだろうし、互いに頑張ろうて」
「おうよ!」
冒険者ギルドに保管された素材の換金は後日となり、急遽依頼扱いとなって、前金10万Gとなり大騒ぎとなった。
「かなりの成果になったが、この後どうする?」
「特にする事もないしな、訓練でもするかな」
「ふむ、訓練かいいなどこでやるんだ?」
「ギルドの訓練所はうまってるしな」
「ならダンジョンで実戦訓練でもいいぞ、レベルも上がるだろうしな」
「え?」
「ん? もしかして知らんのか?」
「なんの事ですか?」
「な、なんだと、知らなかったか」
「レベルとは、なんです?」
「レベルとは……」
色々と知らずにいた事に驚愕する。
皆を連れてダンジョンでレクチャーする事になった。




