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とあるダンジョンの探索記  作者: アイネコ
序章、見習い冒険者マーク
15/206

鉄を運ぶお仕事です



 ダンジョンの復活まで、あと半日となった頃マークとアレク達がやって来た。



「こんにちは! ヒトシさんいらっしゃいますか?」


 マークがダンジョンの入り口で叫んでいたので、俺はテレポートを使い入り口に転移した。


「なんだ、なんかようか?」

「ふぁっ!? こ、こんにちは……」

「いつの間に、てか何処から?」


「はは、俺は神出鬼没だからな」

「まあ、そらそうだな神の使徒様だしな」


「で、なにかあったのか?」

「ああ、王都からダンジョンの視察団が来た」


「ふむ、随分早くないか?」

「だな、だがミスリルの剣の件だと思う」


「そうなのか?ミスリル程度でか」

「ん? 程度とは?」


「ああ、もっと良いものが在る、これとか」


 俺はアイテムボックスから()()取りだす。


 それは、太陽の光を浴びて輝くオリハルコンのバスタードソードだった。


「ほれ」

「「「…………」」」


 全員がポカーンとしていた。


「こんなんもあるんだが」


 アイテムボックスから、オリハルコンの鎧の一式を出して、マークに着せてみた。


「おお、似合うなおい! キャー、カッケェー」(棒)


 アレク達が目を見開き驚いた。




「アレク、満足したか?」

「はい!!ヒトシさん、一生ついています」

「オレもついていきます」


「それはいいが、これはやれないぞ」

「着れただけでも十分です!」


「男ってバカばっか……」

「そうだな、ほれ」


 俺はプラチナのティアラとダイヤモンドの装飾品を並べてみた。


「キャーキャーキャー」

「遊び過ぎですマスター」

「ハハハ、すまん」




「あー、ナターシャもういいか?」

「は、はい……」


「ナターシャ、オレ頑張るから、な?」

「なに? そういうこと?」

「そうなんすよ、ヒトシさん」


「へぇ……、大丈夫か? 変なフラグ立てんなよ」

「え? フラグ?」


「オレこの(いくさ)が終わったら、彼女と結婚します! って言った奴は大概死んじゃうやつな」

「あ、なるほど、アレク程ほどにな」

「えー……」


 と、微妙空気なってしまいオリハルコンの装備品は回収しティアラと装飾品たちはアリアに回収された。


 まあ嬉しそうなので、見なかった事にしよう。




「で、視察団が来たんだったな」

「はい、昼前に大勢の兵士と、立派な馬に乗った王国の騎士、あと馬車が数台あったので、貴族か領主さまかも知れません」


「結構大事(おおごと)になってないか?」

「ですね、だが100年以上前に枯渇したダンジョンが復活とか、かなり凄いと思うし」


「ふむ、まあそうか俺が居たのが200年位前だったな」

「はい、182年前ですね」

「え?マジかぁ……」


「うん、まあ知り合ったばかりだし、気にすんな。 で、どうなんだ? なんか問題になってるのか?」


「ギルドの話しだと、3日後に調査に入り、安全であれば視察に入るとか言ってたらしい」


「なんだ、安全とかダンジョン舐めてんのか」

「ま、まあ貴族ですし、そんなものじゃないですかね」


「よし、目にものを見せてやる」

「ちょっ!ちょっま…… お、落ちていて下さいっ!」


「そ、そうです、貴族なんて人を見下すのが仕事とか思ってるし、低俗な人が多いですし、ヒトシさんが相手にする必要はないです」


「ん?そうなのか?」

「はい……」


「そうか、残念……」




「なるほど3日後か、丁度良いかもしれんな」

「丁度いいとは?」


「まだ稼働してないが、3階までは造ったからな、3日間あれば10階位いけると思う」

「えっ!?もう出来てるんで?」


「3階までは出来てるぞ」

「えっ? 入ってもいいですか?」


「まあいいけど、稼働してないからつまらないぞ」

「「「お願いします!」」」


「お、おう…… せっかくだし稼働させるか」

 「「「やったあ!」」」


 ダンジョンを稼働させて、アレク達を連れて入っていった。



「まあ、こんな感じだ」

「すげぇ、めっちゃ変わってるし」

「はぁ…… あっ、スライム!」

「えっ、どこ?」

「あ、ホントだ、めっちゃ居るなぁ……」


「スライムさんはレギュラーだかんな」

「え?レギュラー?」


「うん、ダンジョンはすぐ汚れるから、スライムが居ないとゴミだらけになる」

「えっ? どういう事?」


「ん、知らんのか? スライムは何でも溶かすし、何でも食べるんだ」


「え? 何でも……」

「ああ、〇〇ことか〇ロとか死体とか溶かして食べるぞ」

「マジかぁ、すげぇな」


「だから、スライムさんは苛めないでくれな」

「ああ、判った」


「今はスライムとゴブリンぐらいしか居ないし、素材が採れるスポットしかない、見ていくか?」

「「「はい、お願いします」」」




「こっちだ、そこの行き止まりに銅を埋めてある、ほれこれを使ってみろ」

「あ、ありがとうございます」


 俺はマークにつるはしを渡した。


「あっ、えっ? 一振りで採れた」

「なに!? オレにやらせてくれ」


 ガッ!と、鶴橋が刺さりゴロッと何かが落ちてそれを拾うと


「マジかぁ、一振りって誰でも採れるんじゃねぇか? これ」

「ナターシャ、やってみ」

「わ、私ですか?」


「ああ、誰でも採れるからな」


 ナターシャがつるはしを振ったが刺さらず苦笑いした、しかしゴロッと落ちたものがある。


「あっ、ホントだ!」

「な、採れるだろ、子供たちでも爺さんでもつるはしを振れれば採れる、これなら働けるだろ」

「マジかぁ!うちのじじぃでもか!」


「まあ、働きたければな」

「これなら弟たちでも仕事が出来ます! ヒトシさんありがとうございます」


「うん、まあ頑張れ……」

「「「はい!」」」



「ここには10カ所ほど造ったから、かなりの人数で掘らない限り仕事はあるし、護衛の仕事もでるだろう。 食い扶持に困ることは無いはずだ」


「かぁー、すげぇな、ヤバいなこりゃ王都行ってる場合じゃねえ、じじぃに手紙出さなきゃ」


「えっ、マジだったのか?」

「ああ、腰やっちまって仕事ねぇんだと」


「ならいいけど無茶させんなよ」

「ああ、分かってる」


「さて、ゴブリンでも見るか?」

「ああ、見てみたい」


「じゃあこっちだ、襲ってくるから気をつけくれ。 ああそうだ、マークやってみるか?」

「はい、がんばります!」




「この先は部屋みたいになってて、その中にゴブリンがいるはずだ、気をつけいけよ」

「はい……」


「よし、行ってこい」


 俺達はマークを送り出した。


 マークは部屋の隅からのぞき込み、しゃがみながら忍び足で入って行った。


『やあ!』と、叫びゴブリンの背中を切り裂いた。


 警戒しながらゴブリンにトドメを指して俺達に振り向いた。


「うん、思ったよりは強いな、かなり狩ってるのか?」

「ああ、マークは同年代下手したら他の冒険者より強いからな」


「えっ?」


 マークは褒められたが焦っていた。


「そうか、そんなにか」

「ああ、そんなにだ」


 アレク達は楽しそうに笑っていた。


「1階はこんな感じだな、2階も見るか?」

「ああ、それもだが、ここで採れていた素材とかは取れないのか?」


「ん、なにか不足してるのか?」

「ああ、鉄がもう無くなるって、おやっさんが嘆いていてな……」


「そうか、なら3階で採っていくか?」

「是非、お願いする」

「だな、オレたちおやっさんにはいっつも世話になってるからな、出来るだけ持っていって恩返ししようぜ」


「ならいくか、因みにそのおやっさんってどんな人だ?」

「ん?…… そうだな、俺達冒険者全員の親父みたいな人だ」


「そうか、なら会ってみるか……」

「えっ!?マジ?」


「ああ、なんかマズいか?」

「いや、会ってくれ! あ、でも町に……」


「ん? 町でいいならいくぞ? 会うだけなら大丈夫だ」

「なら、ギルマスにも会わせたいが…… いやあの人はやらかすとヤバいから駄目だな」


「ん?どんなヤツなんだ? ヤバいって……」

「ああ、マークがギルドの試験でここに来る原因をつくった人なんだ、人はいいんだがトラブルメーカーって昔から言われて居るんだ……」


 アレク達マークも含め全員が苦笑いをしていた。


「マジか、なら今回は見送りだな……おやっさんって人は問題無ければ会ってみたいな」

「ああ、お願いする」


「うん、なら鉄採りにいくか」

「あ、それがあったな」


「アレク、しっかりしろナターシャが見てるんだからな」

「す、すまん」


「じゃあ、しっかり稼いでいけよ、おまえら!!」

 「「「おう!!」」」


 アレク達は3階で持てる限りの鉄を掘り、町に帰るのだった。




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